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緋い記憶

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 額に手をあて、頭が痛くなる程考え抜いた挙句に出た結論がそれだった。

「あー、言っとくけどな。ありゃ事故だぜ。ワザとじゃない。それに、ケガしたのはこっちなんだから、根に持つ程の事じゃないだろ」

「さっきのあの友達。彼には近付かない方がいいね」

「聞いてんのか? あいつには関係ねぇだろ」

「学校も休んだ方がいいかも」

「なんでよ」

 噛み合う事のない会話に、ブチッと何かが切れる。

「だって命にかかわ――」

「なんだそりゃ! 脅しのつもりかぁ!」

 カッと目を見開きブチ切れた彬に、それでも動じない男があっさりと首を振る。

「脅し? 違うよ」

 マイペースな男の声音には、悪意も嫌味もない。ただ真実を言ってるだけ、という感じを受けた。

「じゃあ、なんだ。そういや、質問があるとかって言ってなかったか? 今のがその質問か?」

「違うよ」

 即答する相沢に、相性の悪さを実感する。

 ――俺。こいつとは絶対、友達になんかなれねぇや。

 はーっと、長く溜め息を吐く。

「質問っていうのは、何故サッカーをやめたのかって事なんだけど」
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