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呪いの鎧武者
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「そう? では今回の調査の方針を教えよう。当てずっぽうに調べても埒があかないからね。今回の私達の関心は、『この事故が鎧武者の呪いか、只の偶然か』にある。という事は、いつもと一緒さ。『鎧武者に関する全ての疑問を解き明かし、人を呪う程の能力があるかどうか』を調べればいい。ならば、保がさっき言っていた『何故あんな場所に鎧武者の魔鏡が置かれているか』という疑問を解消する事、そこから始める。廊下にまでカーテンを掛けて、鎧武者の姿を外から見られる事を避けるぐらいだ。それなりの意味があるのだろう。――そして、学園という場所にそんな細工が出来る人物となると……」
「そっか! 理事長」
パチンと指を鳴らした松岡に、依羅さんが微笑む。
「そう。その学園の創始者に他ならない。その細工をしたのは、きっと初代の理事長だろうが、今の理事長でも少しは何かを知っているだろう」
「判った。上手く訊き出してみる! なあ? 山下」
「おう!」
りきむ俺達を、依羅さんが細めた目で見下ろした。
「では保、一樹。明日、いい報告を持っておいで」
初めて名前で呼ばれ、俺は信じられない思いで顔を上げた。
やっと『群れ』に入れてもらえた。
そんな風に、感じてしまった。
「気を付けてお帰り。それこそ、事故になど遭わないようにね」
フフッと笑った依羅さんは、俺達をドアまで送ってくれた。暫く歩いて振り返っても、ドアに凭れるようにして、依羅さんは俺達を見つめたままでいた。
「そっか! 理事長」
パチンと指を鳴らした松岡に、依羅さんが微笑む。
「そう。その学園の創始者に他ならない。その細工をしたのは、きっと初代の理事長だろうが、今の理事長でも少しは何かを知っているだろう」
「判った。上手く訊き出してみる! なあ? 山下」
「おう!」
りきむ俺達を、依羅さんが細めた目で見下ろした。
「では保、一樹。明日、いい報告を持っておいで」
初めて名前で呼ばれ、俺は信じられない思いで顔を上げた。
やっと『群れ』に入れてもらえた。
そんな風に、感じてしまった。
「気を付けてお帰り。それこそ、事故になど遭わないようにね」
フフッと笑った依羅さんは、俺達をドアまで送ってくれた。暫く歩いて振り返っても、ドアに凭れるようにして、依羅さんは俺達を見つめたままでいた。
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