111 / 152
第2章 カフェから巡る四季
第111話 定休日は映画三昧!
しおりを挟む
定休日の今日、しっかり休みたいがために仕込みも完璧に終わらせた莉子だったが、全ての作業が終了したのは、本日の午前3時を回っていた。
そのため彼女がベッドから体を起こした時刻は、朝の10時に迫る頃だった。
連藤にはあらかじめ連絡を入れておいたので、問題はないだろう。
そう思って携帯を見ると、5通もメールがある。
最初はおはようだが、体調は大丈夫か? 食事はとれているか? しっかり休んでいるか? やっぱり体調が悪いのか? 続く心配の言葉の数々に、莉子は思わず「お前は母親かっ」画面にツッコミを入れたのは言うまでもない。
歯を磨きながら携帯で、今起きました、これからご飯です。と打ち込み送ると、瞬く間に返信が届く。
『今日は定休日だから、ゆっくり休んでくれ』
そうだからゆっくり休んでいるのだが、彼はもっとゆっくりしろと言う。
「……さぁ、何しようか……」
莉子はポットに水を注ぎながら呟いた。
いつもどおり部屋の片付けから始まる定休日だが、片付けもこまめに行なっていたかいがあり、10時に起きたにも関わらず、12時30分の段階で自由な時間が生まれた。
さきほど簡単な食事も済ましたため、昼食はまだ早く、それならと莉子はテレビの電源を押した。
久しぶりのテレビだ。
連藤が来ているときはラジオのように使うことがあっても映像を見ることは少ない。
「今日は映画でもみるか」
莉子はひとり呟き、月額登録しているビデオ配信アプリにテレビをつなげた。
新作から探し、さらにジャンルを絞って探していくと、ゾンビ特集が現れた。
何も考えず、ポテトチップスを頬張りながら、ダラダラ見たい……!
その一心で探していくと、引っかかった映画がある。「ゾンビスクール!」だ。
イライジャ・ウッドが出ているらしい。ホラーコメディでもあるようだ。
「よし、これ見るか」
そう決めると、冷蔵庫からゼロカロリーのコーラとポテトチップスをテーブルに置いて、さっそく再生にボタンを合わせ、リモコンを操作していく。
──冒頭から主人公のダメっぷり、また小学校を舞台にしているのだが、その先生方の個性的な登場シーン。
笑える。これは笑える。
莉子にとってはツボにはまったようだ。
が、なかなかゾンビが出てこない。
主人公のバックボーンが長い気がする。
早送りしたい気持ちを抑え、ゾンビを待つことしばらくして……
(自主規制。ネタばらしになるので割愛)
割と笑い通しで終わった、かも……
小出しにされる笑いのネタをすべて拾い上げた感がある。
その間コーラはもうひとつ消費され、大袋のポテトチップスは半分より進んだだろうか。
「結構疲れたな……」
莉子は指を舐めつつ、一度テレビを消し、音楽をかけることにする。
あなたへのオススメというカテゴリーがあったため、それをランダムで流してみる。
……確かに、自分好みの曲だ。
その音楽に合わせて、さらにもう少しだけ部屋の片付けを進めたとき、携帯が震えた。
メールが来たのを教えてくれたのだ。
服を片付けながらメールを開くと、今日の夕飯はどれがいい? というメッセージとともに、写真が添付されていた。
連藤がランチにフレンチ惣菜の店へ行ったようだ。それはいいのだが、撮ったのは誰だろう。
巧が見切れて入っている。惣菜がメインで撮られてはいるが、頭の先や横顔がうまい具合に入り込んでいる。
こんな手の込んだことをするのは、瑞樹ぐらいか?
惚れ惚れするほど美しい巧の横顔を眺めながら、莉子はどの惣菜にするか悩む。
唸る声が部屋に響くほど、真剣に悩むのも無理はない。
本当にどの写真も美味しそうなのだ。
写真の中で季節限定の商品が3つあるのがわかった。春野菜を使った惣菜だ。菜の花、タラの芽と、本当に春の香りが写真から漂ってきそうなほど。
莉子はこの春野菜の惣菜が欲しいと決め、連藤に返信するが、逆にどんな白ワインが似合うか、またはロゼにするべきか悩み始めてしまう。
春は桃色がよく似合う。そのためロゼも多く出回る時期なのだ。
ロゼは万能ワイン。スパイシーな料理からさっぱりした料理まで幅広く対応できるポテンシャルがある。
春野菜の苦味もロゼなら味わいに変えてくれるだろうか……
「白とロゼ、どっちも冷やしとこ」
今晩の食事の確保も確認できた莉子は、一度背のびをした。
今日は時間の進み方が遅いようだ。
「もう一本、映画みちゃおうかなぁ……」
再びテレビの電源をつけると、映画選びが始まった。
缶ビールに手を伸ばさないように注意して、今回もコーラと残りのチップスで過ごすことにしよう。
莉子が次に選んだのは「メン・イン・キャット」。
どんな映画なのだろう? 可愛らしいふわふわな猫が主役なのだろうか……
たまらず莉子は再生を押したのだった。
そのため彼女がベッドから体を起こした時刻は、朝の10時に迫る頃だった。
連藤にはあらかじめ連絡を入れておいたので、問題はないだろう。
そう思って携帯を見ると、5通もメールがある。
最初はおはようだが、体調は大丈夫か? 食事はとれているか? しっかり休んでいるか? やっぱり体調が悪いのか? 続く心配の言葉の数々に、莉子は思わず「お前は母親かっ」画面にツッコミを入れたのは言うまでもない。
歯を磨きながら携帯で、今起きました、これからご飯です。と打ち込み送ると、瞬く間に返信が届く。
『今日は定休日だから、ゆっくり休んでくれ』
そうだからゆっくり休んでいるのだが、彼はもっとゆっくりしろと言う。
「……さぁ、何しようか……」
莉子はポットに水を注ぎながら呟いた。
いつもどおり部屋の片付けから始まる定休日だが、片付けもこまめに行なっていたかいがあり、10時に起きたにも関わらず、12時30分の段階で自由な時間が生まれた。
さきほど簡単な食事も済ましたため、昼食はまだ早く、それならと莉子はテレビの電源を押した。
久しぶりのテレビだ。
連藤が来ているときはラジオのように使うことがあっても映像を見ることは少ない。
「今日は映画でもみるか」
莉子はひとり呟き、月額登録しているビデオ配信アプリにテレビをつなげた。
新作から探し、さらにジャンルを絞って探していくと、ゾンビ特集が現れた。
何も考えず、ポテトチップスを頬張りながら、ダラダラ見たい……!
その一心で探していくと、引っかかった映画がある。「ゾンビスクール!」だ。
イライジャ・ウッドが出ているらしい。ホラーコメディでもあるようだ。
「よし、これ見るか」
そう決めると、冷蔵庫からゼロカロリーのコーラとポテトチップスをテーブルに置いて、さっそく再生にボタンを合わせ、リモコンを操作していく。
──冒頭から主人公のダメっぷり、また小学校を舞台にしているのだが、その先生方の個性的な登場シーン。
笑える。これは笑える。
莉子にとってはツボにはまったようだ。
が、なかなかゾンビが出てこない。
主人公のバックボーンが長い気がする。
早送りしたい気持ちを抑え、ゾンビを待つことしばらくして……
(自主規制。ネタばらしになるので割愛)
割と笑い通しで終わった、かも……
小出しにされる笑いのネタをすべて拾い上げた感がある。
その間コーラはもうひとつ消費され、大袋のポテトチップスは半分より進んだだろうか。
「結構疲れたな……」
莉子は指を舐めつつ、一度テレビを消し、音楽をかけることにする。
あなたへのオススメというカテゴリーがあったため、それをランダムで流してみる。
……確かに、自分好みの曲だ。
その音楽に合わせて、さらにもう少しだけ部屋の片付けを進めたとき、携帯が震えた。
メールが来たのを教えてくれたのだ。
服を片付けながらメールを開くと、今日の夕飯はどれがいい? というメッセージとともに、写真が添付されていた。
連藤がランチにフレンチ惣菜の店へ行ったようだ。それはいいのだが、撮ったのは誰だろう。
巧が見切れて入っている。惣菜がメインで撮られてはいるが、頭の先や横顔がうまい具合に入り込んでいる。
こんな手の込んだことをするのは、瑞樹ぐらいか?
惚れ惚れするほど美しい巧の横顔を眺めながら、莉子はどの惣菜にするか悩む。
唸る声が部屋に響くほど、真剣に悩むのも無理はない。
本当にどの写真も美味しそうなのだ。
写真の中で季節限定の商品が3つあるのがわかった。春野菜を使った惣菜だ。菜の花、タラの芽と、本当に春の香りが写真から漂ってきそうなほど。
莉子はこの春野菜の惣菜が欲しいと決め、連藤に返信するが、逆にどんな白ワインが似合うか、またはロゼにするべきか悩み始めてしまう。
春は桃色がよく似合う。そのためロゼも多く出回る時期なのだ。
ロゼは万能ワイン。スパイシーな料理からさっぱりした料理まで幅広く対応できるポテンシャルがある。
春野菜の苦味もロゼなら味わいに変えてくれるだろうか……
「白とロゼ、どっちも冷やしとこ」
今晩の食事の確保も確認できた莉子は、一度背のびをした。
今日は時間の進み方が遅いようだ。
「もう一本、映画みちゃおうかなぁ……」
再びテレビの電源をつけると、映画選びが始まった。
缶ビールに手を伸ばさないように注意して、今回もコーラと残りのチップスで過ごすことにしよう。
莉子が次に選んだのは「メン・イン・キャット」。
どんな映画なのだろう? 可愛らしいふわふわな猫が主役なのだろうか……
たまらず莉子は再生を押したのだった。
0
お気に入りに追加
138
あなたにおすすめの小説
自称ヒロインに「あなたはモブよ!」と言われましたが、私はモブで構いません!!
ゆずこしょう
恋愛
ティアナ・ノヴァ(15)には1人の変わった友人がいる。
ニーナ・ルルー同じ年で小さい頃からわたしの後ろばかり追ってくる、少しめんどくさい赤毛の少女だ。
そしていつも去り際に一言。
「私はヒロインなの!あなたはモブよ!」
ティアナは思う。
別に物語じゃないのだし、モブでいいのではないだろうか…
そんな一言を言われるのにも飽きてきたので私は学院生活の3年間ニーナから隠れ切ることに決めた。
チートな転生幼女の無双生活 ~そこまで言うなら無双してあげようじゃないか~
ふゆ
ファンタジー
私は死んだ。
はずだったんだけど、
「君は時空の帯から落ちてしまったんだ」
神様たちのミスでみんなと同じような輪廻転生ができなくなり、特別に記憶を持ったまま転生させてもらえることになった私、シエル。
なんと幼女になっちゃいました。
まだ転生もしないうちに神様と友達になるし、転生直後から神獣が付いたりと、チート万歳!
エーレスと呼ばれるこの世界で、シエルはどう生きるのか?
*不定期更新になります
*誤字脱字、ストーリー案があればぜひコメントしてください!
*ところどころほのぼのしてます( ^ω^ )
*小説家になろう様にも投稿させていただいています
【本編完結】転生令嬢は自覚なしに無双する
ベル
ファンタジー
ふと目を開けると、私は7歳くらいの女の子の姿になっていた。
きらびやかな装飾が施された部屋に、ふかふかのベット。忠実な使用人に溺愛する両親と兄。
私は戸惑いながら鏡に映る顔に驚愕することになる。
この顔って、マルスティア伯爵令嬢の幼少期じゃない?
私さっきまで確か映画館にいたはずなんだけど、どうして見ていた映画の中の脇役になってしまっているの?!
映画化された漫画の物語の中に転生してしまった女の子が、実はとてつもない魔力を隠し持った裏ボスキャラであることを自覚しないまま、どんどん怪物を倒して無双していくお話。
設定はゆるいです
オタクな母娘が異世界転生しちゃいました
yanako
ファンタジー
中学生のオタクな娘とアラフィフオタク母が異世界転生しちゃいました。
二人合わせて読んだ異世界転生小説は一体何冊なのか!転生しちゃった世界は一体どの話なのか!
ごく普通の一般日本人が転生したら、どうなる?どうする?
誰にも愛されずに死んだ侯爵令嬢は一度だけ時間を遡る
月
ファンタジー
癒しの能力を持つコンフォート侯爵家の娘であるシアは、何年経っても能力の発現がなかった。
能力が発現しないせいで辛い思いをして過ごしていたが、ある日突然、フレイアという女性とその娘であるソフィアが侯爵家へとやって来た。
しかも、ソフィアは侯爵家の直系にしか使えないはずの能力を突然発現させた。
——それも、多くの使用人が見ている中で。
シアは侯爵家での肩身がますます狭くなっていった。
そして十八歳のある日、身に覚えのない罪で監獄に幽閉されてしまう。
父も、兄も、誰も会いに来てくれない。
生きる希望をなくしてしまったシアはフレイアから渡された毒を飲んで死んでしまう。
意識がなくなる前、会いたいと願った父と兄の姿が。
そして死んだはずなのに、十年前に時間が遡っていた。
一度目の人生も、二度目の人生も懸命に生きたシア。
自分の力を取り戻すため、家族に愛してもらうため、同じ過ちを繰り返さないようにまた"シアとして"生きていくと決意する。
【完結】婚姻無効になったので新しい人生始めます~前世の記憶を思い出して家を出たら、愛も仕事も手に入れて幸せになりました~
Na20
恋愛
セレーナは嫁いで三年が経ってもいまだに旦那様と使用人達に受け入れられないでいた。
そんな時頭をぶつけたことで前世の記憶を思い出し、家を出ていくことを決意する。
「…そうだ、この結婚はなかったことにしよう」
※ご都合主義、ふんわり設定です
※小説家になろう様にも掲載しています
one day only ~1日だけのカフェで
yolu
ライト文芸
終電前に帰れたと喜んだ由奈だが、仕事に忙殺される毎日に嫌気がさしていた。
ついもらした「死んじゃおっか」。
次の快速まで、残り1時間。
それまでの命だと割り切った由奈は、家とは逆のコンビニに向かっていく。
しかし、夜中にも関わらず、洋館カフェ「one day only」が現れて──
不思議な『1日だけのカフェ』開店です。
世界最強の公爵様は娘が可愛くて仕方ない
猫野真鶴
ファンタジー
トゥイリアース王国の筆頭公爵家、ヴァーミリオン。その現当主アルベルト・ヴァーミリオンは、王宮のみならず王都ミリールにおいても名の通った人物であった。
まずその美貌。女性のみならず男性であっても、一目見ただけで誰もが目を奪われる。あと、公爵家だけあってお金持ちだ。王家始まって以来の最高の魔法使いなんて呼び名もある。実際、王国中の魔導士を集めても彼に敵う者は存在しなかった。
ただし、彼は持った全ての力を愛娘リリアンの為にしか使わない。
財力も、魔力も、顔の良さも、権力も。
なぜなら彼は、娘命の、究極の娘馬鹿だからだ。
※このお話は、日常系のギャグです。
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。
※2024年5月 タイトルとあらすじを変更しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる