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第1章 café R 〜ふたりの出会い、みんなの出会い〜
第24話:再び、これからのこと!
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無事退院を迎え、リハビリをしながらリノベーションの打ち合わせは、楽しいものだった。
もちろん連藤と巧の経済的なサポート、さらには建築デザイナーの選出から、アイデア出しまで至れり尽くせり。
おかげで今風のこじゃれたカフェに生まれ変わったと言っていい。
ただ、莉子もこだわったところがある。
みんなにどう言われてもくずさなかったところ。
昔の印象だ。
『懐かしさのある、居心地のいいカフェ』
これが莉子が目指していたものであり、これからも目指すカフェの形でもある。
だからどこかレトロで、色合いも褪せた雰囲気で、裸電球もさがる、ちょっと独特なカフェ。
店内を眺めたあと、莉子は扉横の大きな窓の前に立った。
「……やっぱり、ここの景色好きだな」
イチョウ並木が見渡せる。
まるで並木路の途中にカフェがあるように見える。
それがここを広く見せ、さらに日差しを取り込んで、柔らかなカフェへと彩ってくれている。
莉子は、指で窓を薄くなでた。
指紋をつけないように、そっと。
この窓は、両親のときからあった窓。
間取りはかわっても、この扉横の窓だけは残してもらった。
莉子は冷たいガラスに触れながら思い出していた。
子供の頃、学校から帰ると窓から両親の働く姿が見えて、それはとても誇りであったし、両親からこぼれる笑顔がたまらなく好きだった。
今は、ここから大好きな人たちが店に来るのが見える。
それがたまらなく好きだ。
そう思った莉子は、両親の笑顔の意味に気づいた。
両親が笑っていたのは仕事が楽しくて、ばかりではなかった。
私を見つけて微笑んでいたんだ────
ドアベルが鳴る。
今日はプレオープンの日だ。
たくさん迷惑をかけた4人へ、食事をもてなす日でもある。
「みなさん、いらっしゃいっ!」
莉子の楽しげな声が店内に響く。
4人の笑顔に包まれた莉子は、さっそくと腕をまくり、準備にかかった。
今日の1日も穏やかに、居心地のいい時間を────
もちろん連藤と巧の経済的なサポート、さらには建築デザイナーの選出から、アイデア出しまで至れり尽くせり。
おかげで今風のこじゃれたカフェに生まれ変わったと言っていい。
ただ、莉子もこだわったところがある。
みんなにどう言われてもくずさなかったところ。
昔の印象だ。
『懐かしさのある、居心地のいいカフェ』
これが莉子が目指していたものであり、これからも目指すカフェの形でもある。
だからどこかレトロで、色合いも褪せた雰囲気で、裸電球もさがる、ちょっと独特なカフェ。
店内を眺めたあと、莉子は扉横の大きな窓の前に立った。
「……やっぱり、ここの景色好きだな」
イチョウ並木が見渡せる。
まるで並木路の途中にカフェがあるように見える。
それがここを広く見せ、さらに日差しを取り込んで、柔らかなカフェへと彩ってくれている。
莉子は、指で窓を薄くなでた。
指紋をつけないように、そっと。
この窓は、両親のときからあった窓。
間取りはかわっても、この扉横の窓だけは残してもらった。
莉子は冷たいガラスに触れながら思い出していた。
子供の頃、学校から帰ると窓から両親の働く姿が見えて、それはとても誇りであったし、両親からこぼれる笑顔がたまらなく好きだった。
今は、ここから大好きな人たちが店に来るのが見える。
それがたまらなく好きだ。
そう思った莉子は、両親の笑顔の意味に気づいた。
両親が笑っていたのは仕事が楽しくて、ばかりではなかった。
私を見つけて微笑んでいたんだ────
ドアベルが鳴る。
今日はプレオープンの日だ。
たくさん迷惑をかけた4人へ、食事をもてなす日でもある。
「みなさん、いらっしゃいっ!」
莉子の楽しげな声が店内に響く。
4人の笑顔に包まれた莉子は、さっそくと腕をまくり、準備にかかった。
今日の1日も穏やかに、居心地のいい時間を────
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