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5話 ディナータイムの前に……

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 ぬるい紅茶を飲み干して、私はひと息つく。
 となりのオフィクスは全く動じてないし、今までこう言うスキンシップだったでしょ? と過去の記憶が教えてくれる。


 が、おい、レイヤ、こんな美味しい過去がありながら、どうして、お前は!


 と思っても仕方がないので、今は私がレイヤ。
 しっかりと、いただきますっ!!!!!!


 でも、本当にオフィクスは優しいし、声はイケボだし、落ち着く。
 私の高校生活が霞んでくるなー……
 こんなイケメンの男子なんて、うちの学校にはいなかったし、通学途中の電車のなかでも見かけなかったなぁ。
 この世界は美しいもので構築されてるのがすごくわかる。
 きっとこのキラキラが普通だから、眩しいとも美しいとも思わないのか………

「ちょっと寂しいね」

 もう1杯紅茶を淹れようかと、ポットを手に取り呟いた。
 すぐにオフィクスがすりより、

「どうかしたか?」
「いえ、あー……ホームシック、みたいなものです」
「明日からは忙しい。今日の予定はあとはディナーだけだから、ゆっくり過ごそう」

 カップを持った私の肩を優しく抱きとめ、ソファへと腰掛けさせるあなたは、私の彼氏かなんかですか!?!?


 はぁぁぁぁ~………勘違いする!!!!!!!


 まだ熱い紅茶を飲み込んだとき、ドアがノックされた。

「はい」

『あ、あたし! ソ、ソフィア! お菓子、一緒に食べない?』

 ドア越しにでも大きな声だとわかる。
 ドアを開けた先にいたのは、ソフィアと、双子座の神、ジェーとミニだ。

「レイヤの部屋、青でカッコいい! すごい素敵ねっ!」

 ソフィアはトレイに載せたクッキーを落とさないように器用に運びながら入ってくる。

「ジェーもお呼ばれだよ!」
「ミニも来たよ! ね、レイヤはジェーとミニの見分けはつく?」
「ジェーは癖っ毛、ミニはストレート。しっかり見分けてます」
「「さすがだね!」」

 なだれ込んできた子犬のような彼らに、私は紅茶を淹れて差し出した。
 すぐに3人から歓声があがる。

「「「いい香りぃー」」」

 目を輝かせる3人に呆れたため息をつきながら私は聞く。

「あんたたち、兄妹かなんか?」
「違うよ、レイヤ。あたしは一人っ子」
「ジェーはミニと兄弟!」
「ミニもジェーと兄弟だよ」

 騒がしく紅茶を飲み、クッキーを頬張る彼らに、オフィクスが睨みをきかせた。

「少しは静かにしろ。レイヤが休めないだろ」

 だがその鋭い視線もなんのその。

「だって、クッキー食べたかったもんね、ミニ?」
「うん、ジェーとミニは食べたかったの!」

 紅茶のおかわりを催促され、注ぎ足してやると、ソフィアが顔を上げる。

「ね、レイヤ、レイヤはどこから来たの?」
「ん?」
「あたしさ、北海道の高校だったんだけど」


 ちょ、今それ、ここで言う!?!?!?
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