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ぬらりひょんの孫・セイヤくん編
小洗屋のシラタマとぬらりひょんの息子・セイヤくん編 1話
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シラタマは今日も小豆を洗う。
じゃりしゃり。じゃりしゃり。
しゃりじゃり。しゃりじゃり。
リズム良く洗うと小豆に入る力加減も均一になるし、なにより洗うのが早くおわる。
今日は大粒の小豆だ。赤丸という品種だというが、これは最近できたばかりの品種だそう。
皮が厚いが、煮ると甘みと香りがよく引き立つのだという。
甘納豆にも適しているし、餡子にもいい品種になると注目株の小豆である。
『よかったら、小洗屋さんで、最初つかってみてほしくて……』
そう言って持ってきてくれたのは赤鬼家のおじちゃんだ。
真っ赤な肌を真っ黒に焼けていて、それだけで、丹精込めて育ててくれた小豆だというのがわかる。
「……大事に、あらわないと……」
大粒の豆だが、決して硬い豆ではない。
水につければすぐにふやけてしまう、そんな豆だ。
丁寧に汚れを落として、おいしい餡子になってもらうように、シラタマは祈りながら洗っている。
どうにか洗い終え、一度、小豆小屋で陰干しをする。
昨日洗っておいた小豆を代わりにふろしきに包み、背負うと、シラタマは今日のお昼のおにぎりはなんだっただろうと思いを巡らせる。
今日のおにぎりは、厚焼き卵だ!
甘い厚焼き卵をおにぎりの具にして握った大好物のおにぎり。
海苔には醤油が染みてあって、笹の葉で上手に手に持って食べないといけないのだが、この海苔がまたおいしい!
「……お腹へってきた……」
シラタマのふわふわな足が大きく前へ出たとき「おお」と声がする。
「えらいねぇ、シラタマちゃん。孫とは大違いじゃなぁ」
ぬらりひょんの賢造爺ちゃんだ。
重そうな頭を揺らしながら、今日は隣町まで駄菓子の買い付けに行っていたよう。
背中に大きな荷物を背負っている。
賢造の後ろには、孫のセイヤくんもいる。
セイヤくんはシラタマの顔を見ると、べーと舌をだした。
それをみて、シラタマは小さくため息をつく。
なぜかはわからないが、セイヤくんはシラタマのことが大嫌いだ。
それだけはよく知っている。
「ちゃんと家のことをして、えらいえらい。ほら、シラタマちゃん、この駄菓子あげるねぇ」
せんべいに水飴がはさまっているお菓子だ。
リッカちゃんがベロベロにして、いつも食べているお菓子。
「これ、食べてみたかったの。ありがとう、賢造爺ちゃん」
「いいんだよ、いいんだよぉ。……よし、行こうか、セイヤ」
セイヤくんは無言で賢造の後ろをついていくが、振り返ると、思いっきりアッカンベーをしてくる。
「へんなの」
だけど、そのアッカンベーの意味を、シラタマは翌日、知ることになる──
じゃりしゃり。じゃりしゃり。
しゃりじゃり。しゃりじゃり。
リズム良く洗うと小豆に入る力加減も均一になるし、なにより洗うのが早くおわる。
今日は大粒の小豆だ。赤丸という品種だというが、これは最近できたばかりの品種だそう。
皮が厚いが、煮ると甘みと香りがよく引き立つのだという。
甘納豆にも適しているし、餡子にもいい品種になると注目株の小豆である。
『よかったら、小洗屋さんで、最初つかってみてほしくて……』
そう言って持ってきてくれたのは赤鬼家のおじちゃんだ。
真っ赤な肌を真っ黒に焼けていて、それだけで、丹精込めて育ててくれた小豆だというのがわかる。
「……大事に、あらわないと……」
大粒の豆だが、決して硬い豆ではない。
水につければすぐにふやけてしまう、そんな豆だ。
丁寧に汚れを落として、おいしい餡子になってもらうように、シラタマは祈りながら洗っている。
どうにか洗い終え、一度、小豆小屋で陰干しをする。
昨日洗っておいた小豆を代わりにふろしきに包み、背負うと、シラタマは今日のお昼のおにぎりはなんだっただろうと思いを巡らせる。
今日のおにぎりは、厚焼き卵だ!
甘い厚焼き卵をおにぎりの具にして握った大好物のおにぎり。
海苔には醤油が染みてあって、笹の葉で上手に手に持って食べないといけないのだが、この海苔がまたおいしい!
「……お腹へってきた……」
シラタマのふわふわな足が大きく前へ出たとき「おお」と声がする。
「えらいねぇ、シラタマちゃん。孫とは大違いじゃなぁ」
ぬらりひょんの賢造爺ちゃんだ。
重そうな頭を揺らしながら、今日は隣町まで駄菓子の買い付けに行っていたよう。
背中に大きな荷物を背負っている。
賢造の後ろには、孫のセイヤくんもいる。
セイヤくんはシラタマの顔を見ると、べーと舌をだした。
それをみて、シラタマは小さくため息をつく。
なぜかはわからないが、セイヤくんはシラタマのことが大嫌いだ。
それだけはよく知っている。
「ちゃんと家のことをして、えらいえらい。ほら、シラタマちゃん、この駄菓子あげるねぇ」
せんべいに水飴がはさまっているお菓子だ。
リッカちゃんがベロベロにして、いつも食べているお菓子。
「これ、食べてみたかったの。ありがとう、賢造爺ちゃん」
「いいんだよ、いいんだよぉ。……よし、行こうか、セイヤ」
セイヤくんは無言で賢造の後ろをついていくが、振り返ると、思いっきりアッカンベーをしてくる。
「へんなの」
だけど、そのアッカンベーの意味を、シラタマは翌日、知ることになる──
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