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座敷童のサチヨちゃん編
小洗屋のシラタマと座敷童のサチヨちゃん 5話
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今日も変わらず小豆洗いに川に来ている。
とても穏やかな日だ。
天気予報では、お昼ごろに雨が降るかもと言っていたが、空を見上げれば、問題なさそうだ。
一本傘の天気予報は絶対に外れないのに、珍しいなと思っていたとき、
「おーい、シラタマちゃーん!」
声がかかる。
顔を上げると、サチヨちゃんだ。
大きな岩に飛び乗ると、ぴょんぴょんと跳ねながら、こちらに渡ってくる。
「シラタマちゃん、本当にありがと!」
いきなりのお礼とあわせて、むぎゅっと抱きしめられ、シラタマの頬がふわりと押される。
「ななななんのこと、サチヨちゃん……?」
頬擦りするサチヨちゃんを押しもどしながら聞けば、この前の運動会の件だという。
「ウチの子の願いの理由を調べるって大事なこと、思い出させてくれて、本当にありがとう! 見て! 雨を降らせて、1週間のびたから、……ほら!」
サチヨちゃんが鞠をなでた。
すると、この前見た少年が浮かび上がる。
『母さん、みんなで今日、飛べたんだ! よかったー! 雨ふってよかったよ!』
大喜びの少年が、母親に大興奮で報告している。
お弁当タイムなのか、おにぎりを頬張り、楽しげな昼食風景だ。
「……ふふ、よかった」
ふわふわの肉球を口にあて、うふふと笑うシラタマをサチヨちゃんはもう一度抱きしめる。
「本当にありがとう、シラタマちゃん! だから今日はお礼にね、魔女ミランダのアップルパイ、食べましょ」
サチヨちゃんが風呂敷からそっと出したのは、言った通り、2ピースのアップルパイだ。
さくさくとしたパイ生地はもちろん、甘酸っぱいりんごの香りがふわっと広がる。
瞬間、口の中に涎がじゅわっとあふれだす。
「……え、でも、これ」
「いいの、いいの! うちの父ちゃんと母ちゃんがね、シラタマちゃんと食べなってくれたから」
「じゃあ、あたし、お茶、淹れるね。ほうじ茶とアップルパイって、とってもおいしいのよ?」
「そうなの? たのしみー!」
洗い終わった小豆を手早くまとめ、またあの小豆小屋へと向かっていく。
2人の可愛らしい楽しげな声は止まらない。
とても穏やかな日だ。
天気予報では、お昼ごろに雨が降るかもと言っていたが、空を見上げれば、問題なさそうだ。
一本傘の天気予報は絶対に外れないのに、珍しいなと思っていたとき、
「おーい、シラタマちゃーん!」
声がかかる。
顔を上げると、サチヨちゃんだ。
大きな岩に飛び乗ると、ぴょんぴょんと跳ねながら、こちらに渡ってくる。
「シラタマちゃん、本当にありがと!」
いきなりのお礼とあわせて、むぎゅっと抱きしめられ、シラタマの頬がふわりと押される。
「ななななんのこと、サチヨちゃん……?」
頬擦りするサチヨちゃんを押しもどしながら聞けば、この前の運動会の件だという。
「ウチの子の願いの理由を調べるって大事なこと、思い出させてくれて、本当にありがとう! 見て! 雨を降らせて、1週間のびたから、……ほら!」
サチヨちゃんが鞠をなでた。
すると、この前見た少年が浮かび上がる。
『母さん、みんなで今日、飛べたんだ! よかったー! 雨ふってよかったよ!』
大喜びの少年が、母親に大興奮で報告している。
お弁当タイムなのか、おにぎりを頬張り、楽しげな昼食風景だ。
「……ふふ、よかった」
ふわふわの肉球を口にあて、うふふと笑うシラタマをサチヨちゃんはもう一度抱きしめる。
「本当にありがとう、シラタマちゃん! だから今日はお礼にね、魔女ミランダのアップルパイ、食べましょ」
サチヨちゃんが風呂敷からそっと出したのは、言った通り、2ピースのアップルパイだ。
さくさくとしたパイ生地はもちろん、甘酸っぱいりんごの香りがふわっと広がる。
瞬間、口の中に涎がじゅわっとあふれだす。
「……え、でも、これ」
「いいの、いいの! うちの父ちゃんと母ちゃんがね、シラタマちゃんと食べなってくれたから」
「じゃあ、あたし、お茶、淹れるね。ほうじ茶とアップルパイって、とってもおいしいのよ?」
「そうなの? たのしみー!」
洗い終わった小豆を手早くまとめ、またあの小豆小屋へと向かっていく。
2人の可愛らしい楽しげな声は止まらない。
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