上 下
4 / 14

第3話 本性を現す幼馴染

しおりを挟む
 前途多難であることを察した陽は、今日最後のイベント、入学式アンド始業式に出席していた。


 「それではこれより校長先生から、祝いの言葉をもらいたいと思います。」


 司会進行役の先生がマイクで、体育館中の生徒に呼び掛けた。そして、あの校長先生(ロリ)がステージに出てくる。


 『小さい.....』


 『ロリだ.....』


 『かわいい.....』


 案の定というべきか、ざわざわと校長先生(ロリ)について、体育館中の生徒達が喋り出した。しかし、相変わらずというか、僕のクラスを含め、Nコースの三つのクラスの人は誰一人として校長先生について喋っていないようだ。それどころか...


 「(寝ていたり、ゲームしてやがる・・・。)」


 そもそも興味が無いというか、何というか、そんな感じだった。というか、なぜか先生達は、他のコースの生徒には姿勢を正しくしろとか、ちゃんと前を向いて話を聞けとか言うくせに、Nコースの生徒だけはスルーしている。


 「(このコース何か裏がありそうだな。なんか強い力が働いているみたいだ。)」


 陽がそんなことを考えていると、どうやら校長先生(ロリ)の話が終わったみたいだ。


 「校長先生、ありがとうございました。では、そろそろ終わりに移っていきましょう。次は.......」


 ********************


 「やっと、終わったー。(あのロ、いや、校長随分と機嫌良さそうだったが、何かいいことでもあったのか?)」


 「おつかれー、陽君。」


 「どうも。(まあ、どうでもいいか。)」


 実は校長先生(ロリ)が機嫌良かったのは、陽の所為なのだが、陽はそんなことには気付かずに、早々に忘れることにした。その後、諸連絡等諸々の面倒ごとを聞いた後、今日はどうやら、自己紹介と入学式アンド始業式だけだったみたいで、陽は今久しぶりに、唯と帰路につくことになった。


 「しかし、変なクラスだったよね。ですわ口調の人や、厨二病の人や、トゲトゲしいっていうか、毒々しい人や、メッチャゆる~~い人がいたりさ。」


 「そうだねー。ちょっと、個性的な人達だったねー。・・・あ、駅に着いたみたいだよ。」


 「あ、ホントだ。それじゃあ、また明日学校で会おうね。」


 「うん!じゃあね。」


 そうして、陽は唯と別れた。


 「(やっと、観察出来る!!)」


 そう、別れたつもりだった。


 「(あーやっぱりいいなぁ。後ろから、隠し撮りするのは。)」


 陽は全く気付いていないが、 陽の背後から凄まじい速さでシャッター音が鳴り続ける。ただし、ずっと背後から撮っているわけではなく、ある時は塀の上から、ある時は下水道の中から、ある時は変装して、通りすがりの人を装いながらしていた。しかし、この程度ならまだかわいい方だった。本当に恐ろしいのは......


 「(陽君の家、到着・・・!!)」


 ・・・これからだった。


 「ただいまー。(あー、無駄に疲れた。)」


 「(裏口から入ろう。)」


 唯はいつも出入りするのに、便利な裏口をあらかじめ作っていた。その裏口を知っているものは他には居ない。


 「少し、ゲームでもするか。」


 陽は自分の部屋でくつろいでいた。そのため、唯はこの部屋に入れない。・・・そんなことはなかった。


 「(クローゼットの中に秘密の通路を作って正解だったね。うーん、ここからだと何をいっているのかよく分からないなあ~。よし、盗聴機を使って、イヤホンで聴こう。・・・なになに、唯ちゃんかわいかったな。・・・照れるなぁ~~。好きだって?私も陽君のことがすごくすごくすごく好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好きだよ。)」


 ・・・このストーカーの恐ろしいことは、自分の都合のいいように解釈してしまうところである。更に、陽のプライバシーもへったくれもないことを平気でやってのける。


 「(トイレっと。)」


 陽が部屋を出たと同時にストーカーも、移動を開始した。今、唯の頭の中は.....


 「(え、トイレについてきて欲しい?陽君の頼みならもちろんついていくよ!だって、私は陽君の将来の.....)」


 いや、本当に怖いのはこのストーカー、


 「(お嫁さんだから!!)」


 ストーカーの自覚がないことかもしれない。

 
 「(あ、待ってよ~~。陽君~~。)」


 ストーカーの1日は、長い。


 

 


 

 


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【ヤンデレ鬼ごっこ実況中】

階段
恋愛
ヤンデレ彼氏の鬼ごっこしながら、 屋敷(監禁場所)から脱出しようとする話 _________________________________ 【登場人物】 ・アオイ 昨日初彼氏ができた。 初デートの後、そのまま監禁される。 面食い。 ・ヒナタ アオイの彼氏。 お金持ちでイケメン。 アオイを自身の屋敷に監禁する。 ・カイト 泥棒。 ヒナタの屋敷に盗みに入るが脱出できなくなる。 アオイに協力する。 _________________________________ 【あらすじ】 彼氏との初デートを楽しんだアオイ。 彼氏に家まで送ってもらっていると急に眠気に襲われる。 目覚めると知らないベッドに横たわっており、手足を縛られていた。 色々あってヒタナに監禁された事を知り、隙を見て拘束を解いて部屋の外へ出ることに成功する。 だがそこは人里離れた大きな屋敷の最上階だった。 ヒタナから逃げ切るためには、まずこの屋敷から脱出しなければならない。 果たしてアオイはヤンデレから逃げ切ることができるのか!? _________________________________ 7話くらいで終わらせます。 短いです。 途中でR15くらいになるかもしれませんがわからないです。

ヤンデレ幼馴染が帰ってきたので大人しく溺愛されます

下菊みこと
恋愛
私はブーゼ・ターフェルルンデ。侯爵令嬢。公爵令息で幼馴染、婚約者のベゼッセンハイト・ザンクトゥアーリウムにうっとおしいほど溺愛されています。ここ数年はハイトが留学に行ってくれていたのでやっと離れられて落ち着いていたのですが、とうとうハイトが帰ってきてしまいました。まあ、仕方がないので大人しく溺愛されておきます。

冗談のつもりでいたら本気だったらしい

下菊みこと
恋愛
やばいタイプのヤンデレに捕まってしまったお話。 めちゃくちゃご都合主義のSS。 小説家になろう様でも投稿しています。

初めてなら、本気で喘がせてあげる

ヘロディア
恋愛
美しい彼女の初めてを奪うことになった主人公。 初めての体験に喘いでいく彼女をみて興奮が抑えられず…

恋人の水着は想像以上に刺激的だった

ヘロディア
恋愛
プールにデートに行くことになった主人公と恋人。 恋人の水着が刺激的すぎた主人公は…

ヒロインではないので婚約解消を求めたら、逆に追われ監禁されました。

曼珠沙華
恋愛
「運命の人?そんなの君以外に誰がいるというの?」 きっかけは幼い頃の出来事だった。 ある豪雨の夜、窓の外を眺めていると目の前に雷が落ちた。 その光と音の刺激のせいなのか、ふと前世の記憶が蘇った。 あ、ここは前世の私がはまっていた乙女ゲームの世界。 そしてローズという自分の名前。 よりにもよって悪役令嬢に転生していた。 攻略対象たちと恋をできないのは残念だけど仕方がない。 婚約者であるウィリアムに婚約破棄される前に、自ら婚約解消を願い出た。 するとウィリアムだけでなく、護衛騎士ライリー、義弟ニコルまで様子がおかしくなり……?

見知らぬ男に監禁されています

月鳴
恋愛
悪夢はある日突然訪れた。どこにでもいるような普通の女子大生だった私は、見知らぬ男に攫われ、その日から人生が一転する。 ――どうしてこんなことになったのだろう。その問いに答えるものは誰もいない。 メリバ風味のバッドエンドです。 2023.3.31 ifストーリー追加

×一夜の過ち→◎毎晩大正解!

名乃坂
恋愛
一夜の過ちを犯した相手が不幸にもたまたまヤンデレストーカー男だったヒロインのお話です。

処理中です...