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第1話 再会
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僕はNコースの教室に行く前に、ひとまず先に校長室を訪れることにした。コンコンとノックすると、中からどうぞと声がしたので中に入った。すると、目の前にいたのは幼気な少女だった。
「やあ、玻座間 陽君。今日中に来るとは思っていたが、まさか朝一から来るとは思わなかったよ。」
その見た目に似合わない、聞いているこっちが緊張してくるような厳かで、フランクな口調で、少女は予言していたかのように言った。
「(どこからどう見ても、小学生にしか見えないが若しかして...。)」
ある予想に行き着いた陽だったが、少女がいきなり席を立ったことで、その思考は遮られてしまう。少女は校長が座る席を立ち、近くにあるソファーに座りなおした。と、同時に陽に座るよう促してくる。それに従い、ソファーに座り直した陽は少女に問いを投げかける。
「若しかして、あなたが校長先生ですか?」
それは、半ば確信に近いものに基づく問いだった。
「いかにも。私がこの征閃学園高等学校の校長、汐留 雪菜だ。こんな身なりだから、よく間違われることも多いのだが、よくわかったね。」
「まあ、察するに必要な情報は揃っていましたから。例えば、校長先生の席に堂々と座っていたこととか。」
「だが、それだけだったら、校長の孫とかもしれないだろう。」
「いえ、それはないと思います。なぜなら、僕が入ってきた時、校長先生は僕の名前をフルネームで普通に言っていました。征閃学園は生徒が多い為、生徒の個人情報漏洩に特に気を使っていると、聞いたことがあります。特に、今のこの学園の校長は、優秀な方だと聞きました。そんな方が身内とはいえ、生徒の名前を話すはずがないと確信しております。最も、容姿については知りませんでしたが。」
頭の中で考えていたことをスラスラと口に出していく。
「成る程、そこまで考えていたのか...。やるね、玻座間 陽君。ちょっと予想外だよ。」
いかにも成る程なーという風に、顎に手を当てて考えて様は熟練の刑事の様だった。
「それで、僕がここに来たのは、NコースをHコースに変えてもらう為なんですが。」
ついつい、横道にそれてしまった話を元に戻して、本来の目的を話す。
「すまないね、玻座間君。一年後のクラス編成テストの結果でしか、本校はコース変更を認めていないんだ。それを変えることは、校長の私でも出来ない。例え、手違いであってもね。」
しかし、教えられた事実は、予想していたものとかけ離れていた。
「そんな・・・!」
「それに君も書類にサインをしただろう?そこに書かれていた多少の手違いは容認するという部分がことを決定的に変えられなくしているんだ。」
「全然多少じゃないですよ....!」
「残念ながら多少なんだ。HコースとNコースは学力的に差ほとんどない、Nコースの方がちょっとだけ高いぐらいでね。だから、多少になってしまうんだよ。」
「僕は一年間、謎に包まれたクラスで過ごさないといけないのか。ハア・・・。」
これから先のことを考えて、陽はすっかり気が小さくなっていく。
「まぁそんなに気を落とさないでくれ。あそこは慣れれば快適だぞ。慣れればな。」
見かねた校長は、まるで悪徳セールスのような口振りで、いや、悪意が露見してる分もっとタチが悪い言い方をする。もちろん、これは彼女なりの慰めのつもりだったのだが。
「なんか胡散臭いですね。」
陽にとっては、余計酷く不安を加速させるだけだった。
「おっとそろそろ最初のホームルームの時間だぞ。行きたまえ。」
それを見た校長は堪らず、HRを引き合いに逃げようとする。
「なんか上手くかわされた気がしますが、分かりました。一年間頑張ります。」
渋々といった感じでその様子を飲み込んだ陽は、直ぐに気持ちを切り替えて、教室に向かうことにした。
********************
校長室を辞した陽は、教室のドアの前で一人不安に狩られながらも、意を決して中に入りことにした。
「ここが、Nー1か....。僕も男だ、覚悟を決めるか。....ハア。」
ため息をつきつつ、ガラガラと僕がドアを開けると、既に教室にいた数人のクラスメイトに一斉に視線を向けられた。
「(なんていうか思っていたよりは普通だな。思っていたよりはだが。)」
明らかに一癖も二癖もありそうなクラスメイトを見なかったことにした僕は、黒板に書いてあった指示に従い、自分の席に座った。
「(色々言いたいことがありすぎて、なんて言えばいいか....。)」
僕が席に座って、先程の光景を思い出していると、こちらに近づいてくる女子生徒に気付いた。
「陽君?もしかして、玻座間 陽君かな?」
話しかけられたので、そちらに振り返ってみると、昔何度も何度も見た、少し茶色がかったポニーテールの女の子がいた。
「え、唯ちゃん?朝倉 唯...ちゃん?」
「やっぱり!!陽君だ!!また、いや、やっと会えたね陽君。」
「え?う、うん。(やっと会えた?まるで会うことを知っていたかのような口振りだな?)」
「陽君今までどこで何してたの?心配したんだよ・・・!中二の頃突然引っ越しちゃったから。一年間ずっーーーーーーーーーと寂しかったんだから!」
「ごめんね。連絡しようと思ったんだけど、何故かいつも携帯電話をなくしちゃったんだ。(今にして思えば、明らかにおかしいよな)」
「・・・それは大変だったね。」
「(ちょっと、探ってみるか....。)聞いてよ。他にも、夜中突然携帯電話に電話がかかってきたり、変な僕宛の手紙?が届いたり、変な視線を感じたり、大変だったんだよ。」
「・・・・・・・・・」
「誰だったんだろう?」
「きっと、陽君のことがすごーーーーく、すごーーーーーく好きだから、ついやっちゃったんだよ。」
「そーかな?僕はてっきり恨まれているからかと。」
「だいじょーぶだよ。陽君は私が守るから。(悪い女から)」
「あはは、ありがとう。唯ちゃん。(おいおい、この口振りといい、お前なのか?)」
ーーその頃、校長室では。
「やはり玻座間 陽、面白い子だな。期待以上だ。」
敵役を思わせる三日月型の笑みを浮かべていた。
「やあ、玻座間 陽君。今日中に来るとは思っていたが、まさか朝一から来るとは思わなかったよ。」
その見た目に似合わない、聞いているこっちが緊張してくるような厳かで、フランクな口調で、少女は予言していたかのように言った。
「(どこからどう見ても、小学生にしか見えないが若しかして...。)」
ある予想に行き着いた陽だったが、少女がいきなり席を立ったことで、その思考は遮られてしまう。少女は校長が座る席を立ち、近くにあるソファーに座りなおした。と、同時に陽に座るよう促してくる。それに従い、ソファーに座り直した陽は少女に問いを投げかける。
「若しかして、あなたが校長先生ですか?」
それは、半ば確信に近いものに基づく問いだった。
「いかにも。私がこの征閃学園高等学校の校長、汐留 雪菜だ。こんな身なりだから、よく間違われることも多いのだが、よくわかったね。」
「まあ、察するに必要な情報は揃っていましたから。例えば、校長先生の席に堂々と座っていたこととか。」
「だが、それだけだったら、校長の孫とかもしれないだろう。」
「いえ、それはないと思います。なぜなら、僕が入ってきた時、校長先生は僕の名前をフルネームで普通に言っていました。征閃学園は生徒が多い為、生徒の個人情報漏洩に特に気を使っていると、聞いたことがあります。特に、今のこの学園の校長は、優秀な方だと聞きました。そんな方が身内とはいえ、生徒の名前を話すはずがないと確信しております。最も、容姿については知りませんでしたが。」
頭の中で考えていたことをスラスラと口に出していく。
「成る程、そこまで考えていたのか...。やるね、玻座間 陽君。ちょっと予想外だよ。」
いかにも成る程なーという風に、顎に手を当てて考えて様は熟練の刑事の様だった。
「それで、僕がここに来たのは、NコースをHコースに変えてもらう為なんですが。」
ついつい、横道にそれてしまった話を元に戻して、本来の目的を話す。
「すまないね、玻座間君。一年後のクラス編成テストの結果でしか、本校はコース変更を認めていないんだ。それを変えることは、校長の私でも出来ない。例え、手違いであってもね。」
しかし、教えられた事実は、予想していたものとかけ離れていた。
「そんな・・・!」
「それに君も書類にサインをしただろう?そこに書かれていた多少の手違いは容認するという部分がことを決定的に変えられなくしているんだ。」
「全然多少じゃないですよ....!」
「残念ながら多少なんだ。HコースとNコースは学力的に差ほとんどない、Nコースの方がちょっとだけ高いぐらいでね。だから、多少になってしまうんだよ。」
「僕は一年間、謎に包まれたクラスで過ごさないといけないのか。ハア・・・。」
これから先のことを考えて、陽はすっかり気が小さくなっていく。
「まぁそんなに気を落とさないでくれ。あそこは慣れれば快適だぞ。慣れればな。」
見かねた校長は、まるで悪徳セールスのような口振りで、いや、悪意が露見してる分もっとタチが悪い言い方をする。もちろん、これは彼女なりの慰めのつもりだったのだが。
「なんか胡散臭いですね。」
陽にとっては、余計酷く不安を加速させるだけだった。
「おっとそろそろ最初のホームルームの時間だぞ。行きたまえ。」
それを見た校長は堪らず、HRを引き合いに逃げようとする。
「なんか上手くかわされた気がしますが、分かりました。一年間頑張ります。」
渋々といった感じでその様子を飲み込んだ陽は、直ぐに気持ちを切り替えて、教室に向かうことにした。
********************
校長室を辞した陽は、教室のドアの前で一人不安に狩られながらも、意を決して中に入りことにした。
「ここが、Nー1か....。僕も男だ、覚悟を決めるか。....ハア。」
ため息をつきつつ、ガラガラと僕がドアを開けると、既に教室にいた数人のクラスメイトに一斉に視線を向けられた。
「(なんていうか思っていたよりは普通だな。思っていたよりはだが。)」
明らかに一癖も二癖もありそうなクラスメイトを見なかったことにした僕は、黒板に書いてあった指示に従い、自分の席に座った。
「(色々言いたいことがありすぎて、なんて言えばいいか....。)」
僕が席に座って、先程の光景を思い出していると、こちらに近づいてくる女子生徒に気付いた。
「陽君?もしかして、玻座間 陽君かな?」
話しかけられたので、そちらに振り返ってみると、昔何度も何度も見た、少し茶色がかったポニーテールの女の子がいた。
「え、唯ちゃん?朝倉 唯...ちゃん?」
「やっぱり!!陽君だ!!また、いや、やっと会えたね陽君。」
「え?う、うん。(やっと会えた?まるで会うことを知っていたかのような口振りだな?)」
「陽君今までどこで何してたの?心配したんだよ・・・!中二の頃突然引っ越しちゃったから。一年間ずっーーーーーーーーーと寂しかったんだから!」
「ごめんね。連絡しようと思ったんだけど、何故かいつも携帯電話をなくしちゃったんだ。(今にして思えば、明らかにおかしいよな)」
「・・・それは大変だったね。」
「(ちょっと、探ってみるか....。)聞いてよ。他にも、夜中突然携帯電話に電話がかかってきたり、変な僕宛の手紙?が届いたり、変な視線を感じたり、大変だったんだよ。」
「・・・・・・・・・」
「誰だったんだろう?」
「きっと、陽君のことがすごーーーーく、すごーーーーーく好きだから、ついやっちゃったんだよ。」
「そーかな?僕はてっきり恨まれているからかと。」
「だいじょーぶだよ。陽君は私が守るから。(悪い女から)」
「あはは、ありがとう。唯ちゃん。(おいおい、この口振りといい、お前なのか?)」
ーーその頃、校長室では。
「やはり玻座間 陽、面白い子だな。期待以上だ。」
敵役を思わせる三日月型の笑みを浮かべていた。
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