苦しくて痛いほど。

水瀬の日常

「はっ、あっん……」
吐息が漏れる。
小さく方を震わせる。
角度、体制、目線。
興奮している。
私を見て…興奮している…。

好きだ。
別にただセックスが好きなわけじゃない。
何が好きかっていうとね。
「ね…もう無理。挿れていい？」
この瞬間。
この理性が外れる瞬間が大好きなの。
男は、本能に従って生きるべきよ。




特に何が得意って訳では無い。
勉強もスポーツも並程度だ。
顔は、まあいい方だって言われることが多い。
今日の人にも綺麗だね、と褒められた。
顔のこと以外にもあるかもしれないが…。
私はスタイルだけは前から自信があった。
腰が細いから胸が大きく見える。
ただの錯覚だが、それ以上に私は才能があることがわかった。
それは相手を興奮させる才能だ。
そんなの魅力があればできると思いがちだがそんなことはない。
私は、今まで体を重ねて来た人で1度も萎えさせたことは無い。
気持ちがいいという訳では無い。私は理性を外させたい。
特に…
貴方みたいな堅物はね？


私が目につけたのは生徒会長だった。
今は一応彼氏はいない。
ちゃんと別れてから毎度付き合っている。
なんだかんだで偉いと友達の絵里香には褒められたが、ただ面倒事に巻き込まれたくないだけだ。
そして、いま狙っているー…市橋 尚。
彼は文武両道、品行方正。
完璧だった。
私は彼が堕ちる姿が見たくて仕方なかった。
私の前でどんな姿で請うのか、達するのか。
楽しみで仕方なかった。
初めから色仕掛けは使わない。
あくまで自然に。

「あの、なおくん…今、空いてる？」