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第7章
44 本部の鼻を明かす方法 ☆
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「……なあ、また力貸してくんねえかな……」
「あんた、何しようと思ってんの?」
「んなもん、決まってんだろ。あのジジイんことぶっ殺すんだよ……!」
「やめときな。ラックは本部からの依頼に応えただけ。責めるのはお門違いだよ」
「関係ねえ! やったんはあのジジイだ! オレ、ヴィネんこと……マジだったのに……っ! あいつ……あの野郎……っ!」
「気持ちはわかるけど、諦めた方がいい。第一、相手が悪いよ。あのオッサン、半端じゃない」
「あア!? あんなん、夜会のロシアンルーレットで運よく生き残った、ただの新入りだろうがよ! 凌遅さんが飼ってるクソ生意気な雌犬と変わんねえ! オレのが立っ端あっし、力だって……!」
「じゃあ、聞くけどさ。あんた、ハンニバルとガチのタイマンして、生きていられる自信あんの?」
「……は? 何で今、そんな話……」
「どうなの?」
「……いや、あの人は別っつーか、あんなヤベえ人と比べられても意味ねえっつーか……」
「同じだよ。あれは、あたしやあんたが太刀打ちできる相手じゃない」
「んなわけねえだろ! ジジイくらい余裕だわ!」
「馬鹿。ライブ配信見てて何も気づかなかったのかよ……」
「はア? どういう意味だよ!」
「だから、これはあのハンニバルすら躊躇う案件ってこと。ヴィネはあの男の連絡員なんだよ? 普通なら、自分のリエゾンがむざむざ嬲り殺されるのを指くわえて見ているわけないんだ。事実、“この後約束があるから殺すな”ってラックを牽制してたろ? だけど“本部の指示だからご理解ください”って言われた挙句、引っ込めた。あんた、これがどういう意味かわかんないほどマヌケじゃないよね?」
「……っ!」
「おそらくハンニバルも、あのオッサンとぶつかったら、いろんな意味でタダじゃ済まないって悟ったんだよ」
「…………」
「真性のヤバイ奴には、近づかないに越したことないんだ。本部に楯突くのもね。ヴィネはきっと、よっぽどのことやらかし――」
「っせえ! 黙っとけ!」
「…………」
「クソ……っ!!」
「…………」
「…………」
「…………」
「……悪い、あんたにキレても意味ねえよな」
「いいよ、気にしてない」
「オレ、頭悪いから、ヒトとどうやって距離詰めたらいいかわかんねえし、ヴィネにもウザがられてばっかだったんだけどよ。でも、あいつんこと、いつか絶対振り向かせるって決めてたんだよ……」
「…………」
「勘違いかも知んねえけど、あいつ最近、オレと一緒ん時、前より笑うようになったんだ。あのクソガキの話ばっかしててムカついたけど、会って話す回数増やせばなんか上手く行きそうな気ぃしてたんだよ……」
「そっか。だからあんた、あたしに発信機の相談なんかしてきたんだね」
「ああ、あん時はどうもな。あれ、役に立ったわ。ヴィネにはバチクソキレられたけどな……」
「ひとつ、本部の鼻を明かす方法があるって言ったら、どうする?」
「そんなん、あんのか?」
「あるよ。ただ、直接あんたの願いを叶えることには繋がらない。本部に間接的な損失を与えるだけ。それでもいい?」
「難しいこたわかんねえ。けど、何でもいいから思い知らせてやりてえ……」
「わかった。あんたとは同期のよしみだしね。一肌脱いでやる。その代わり、勝手なことして自滅するんじゃないよ」
「悪い、頼むわ。ところであんた、普段何の仕事してんだ? 何かただ者じゃねえ気ぃすんだけど……道具屋とかか?」
「そんなんじゃない。でもちょっとした伝手があるんだ、いろんなとこにね」
「あんた、何しようと思ってんの?」
「んなもん、決まってんだろ。あのジジイんことぶっ殺すんだよ……!」
「やめときな。ラックは本部からの依頼に応えただけ。責めるのはお門違いだよ」
「関係ねえ! やったんはあのジジイだ! オレ、ヴィネんこと……マジだったのに……っ! あいつ……あの野郎……っ!」
「気持ちはわかるけど、諦めた方がいい。第一、相手が悪いよ。あのオッサン、半端じゃない」
「あア!? あんなん、夜会のロシアンルーレットで運よく生き残った、ただの新入りだろうがよ! 凌遅さんが飼ってるクソ生意気な雌犬と変わんねえ! オレのが立っ端あっし、力だって……!」
「じゃあ、聞くけどさ。あんた、ハンニバルとガチのタイマンして、生きていられる自信あんの?」
「……は? 何で今、そんな話……」
「どうなの?」
「……いや、あの人は別っつーか、あんなヤベえ人と比べられても意味ねえっつーか……」
「同じだよ。あれは、あたしやあんたが太刀打ちできる相手じゃない」
「んなわけねえだろ! ジジイくらい余裕だわ!」
「馬鹿。ライブ配信見てて何も気づかなかったのかよ……」
「はア? どういう意味だよ!」
「だから、これはあのハンニバルすら躊躇う案件ってこと。ヴィネはあの男の連絡員なんだよ? 普通なら、自分のリエゾンがむざむざ嬲り殺されるのを指くわえて見ているわけないんだ。事実、“この後約束があるから殺すな”ってラックを牽制してたろ? だけど“本部の指示だからご理解ください”って言われた挙句、引っ込めた。あんた、これがどういう意味かわかんないほどマヌケじゃないよね?」
「……っ!」
「おそらくハンニバルも、あのオッサンとぶつかったら、いろんな意味でタダじゃ済まないって悟ったんだよ」
「…………」
「真性のヤバイ奴には、近づかないに越したことないんだ。本部に楯突くのもね。ヴィネはきっと、よっぽどのことやらかし――」
「っせえ! 黙っとけ!」
「…………」
「クソ……っ!!」
「…………」
「…………」
「…………」
「……悪い、あんたにキレても意味ねえよな」
「いいよ、気にしてない」
「オレ、頭悪いから、ヒトとどうやって距離詰めたらいいかわかんねえし、ヴィネにもウザがられてばっかだったんだけどよ。でも、あいつんこと、いつか絶対振り向かせるって決めてたんだよ……」
「…………」
「勘違いかも知んねえけど、あいつ最近、オレと一緒ん時、前より笑うようになったんだ。あのクソガキの話ばっかしててムカついたけど、会って話す回数増やせばなんか上手く行きそうな気ぃしてたんだよ……」
「そっか。だからあんた、あたしに発信機の相談なんかしてきたんだね」
「ああ、あん時はどうもな。あれ、役に立ったわ。ヴィネにはバチクソキレられたけどな……」
「ひとつ、本部の鼻を明かす方法があるって言ったら、どうする?」
「そんなん、あんのか?」
「あるよ。ただ、直接あんたの願いを叶えることには繋がらない。本部に間接的な損失を与えるだけ。それでもいい?」
「難しいこたわかんねえ。けど、何でもいいから思い知らせてやりてえ……」
「わかった。あんたとは同期のよしみだしね。一肌脱いでやる。その代わり、勝手なことして自滅するんじゃないよ」
「悪い、頼むわ。ところであんた、普段何の仕事してんだ? 何かただ者じゃねえ気ぃすんだけど……道具屋とかか?」
「そんなんじゃない。でもちょっとした伝手があるんだ、いろんなとこにね」
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