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11 異常な身体と狂気の片鱗
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リリィが背を向けると同時に兵士が立ち上がったのを見たレイジは、一切の躊躇いなく走り出していた。
完全に油断しているリリィ。
言葉で警告しても対応できるとは限らない。
そう判断したレイジは、リリィと兵士の間に割って入る。
そして、振り抜かれる剣の前にその身を晒す。
傍からみれば、身を呈してリリィを庇ったようである。
しかし、彼は。
そのように命を掛けて誰かを救うような、自己犠牲精神の持ち主ではない。
「腕と命、交換と行こうぜ・・・!」
剣の軌道に、左腕を割り込ませる。
何度も重たい攻撃を受け止めたその剣は、最初の切れ味を既に失っている。
間合いに割り込み、最大威力を発揮させなければ骨で止められるとレイジは判断。
その行動の結果は。
「ぐぅっ・・・!」
「なっ・・・」
目論見通り、兵士の振るった剣はレイジの腕で止められていた。
飛び散るレイジの血。
彼は痛みに小さく呻いたが、それだけだ。
むしろ、その傷にも構わず彼は笑う。
「はっ、痛えじゃねえか・・・ほら、お返し、だ。」
そして。彼は右手に握っていた漆黒のナイフを。
一切の躊躇なく、兵士の眼球に突き立てた。
脳まで届く刃。
既に死にかけだった兵士は、その攻撃で完全に息絶えた。
完全に心臓が止まったことを確認し、レイジはナイフを引き抜く。
「ふぅ・・・ほらよ、お前のだ。少しばかり汚れちまったがな。」
軽く血を振り払い、ナイフをリリィに差し出すレイジ。その顔は、悪戯好きな子供のような笑顔である。
たった今、人間の顔面にナイフを刺したとは思えないその無邪気ささえ感じる笑顔に、リリィは言葉にできない怖気を覚えた。
「い、いいよ、それはもうレイジにあげる。」
「お、そうか?じゃあ有難くいただくとするか。・・・ところでリリィ、火とか出せたりしないか?腕を消毒したい。」
レイジのその言葉に、リリィは少し考えてから答える。
「火は、出せないこともないけど・・・あなたには、必要ないと思う。ほら、腕、見てみて。」
「ん・・・?」
リリィの言葉に従い、レイジは剣を受け止めた左腕を見る。
彼が着ていた儀礼用の服は、剣を受け止めたところが大きく裂けていた。
しかし、それだけだ
「なっ・・・ど、どういうことだ!?」
服には血も付いておらず、何よりも、袖の下には傷一つ無い彼の腕があった。
間違いなく、剣を生身の腕で止めたはずだ。
血も飛び散り、痛みも感じた。
そもそもそれ以前にも、ワイバーンの気を引くために血を流したはずだ。
だが、今彼の目に映っている光景は、その事実さえも疑わせるような代物だった。
「俺の腕、ついさっき斬られたよな・・・?」
「ええ、間違いなくね。でも、あの程度の傷はあなたにとって何の障害にもならない。そう、吸血鬼の始祖たるあなたには。」
「は・・・?きゅう、けつ、き?」
心底意味がわからないという顔になるレイジに、リリィは思わず小さく笑ってしまう。
「ふふっ・・・」
「お、おい、なにを笑ってんだよ。」
「ご、ごめんごめん。なんでもないの。・・・えっと、少し聞きたいんだけど・・・レイジは、自分の傷が再生する事を知らなかったんだよね?それなのにどうして怪我をしてまで私を助けてくれたの?その、いきなりナイフで襲いかかってきた相手なのに・・・」
「ん?ああ、別に複雑な理由はねぇよ。単純に、どちらの方が価値があるかの問題だ。・・・まあ、簡単に説明するか。」
レイジは頬を掻きながらリリィに話す。
「まず、リリィに対する兵士どもの言動で何となくこの世界の現状は分かった。つーか、事前に知っていた情報と合致したって言った方が良いか。その時点で、リリィは少なくとも敵になる可能性は低い。最初に俺に襲いかかってきたのも、あいつらのリリィに対する認識や発言をみれば全く分からない話じゃねぇ。お前にとっちゃ人間・・・なかでも異世界人ってのは敵そのものってわけだ。」
「うん・・・そうだね。」
「最初にも軽く説明したが、俺はこの世界にいる他の異世界人・・・ややこしいな、日本人を倒すために来たんだ。もっとも、やれと言われたからやるのは性にあわねぇし、最終的には実情を見てから決めるつもりではあるが、一応の方針はそれを軸にしている。」
その上で、とレイジは続ける。
「リリィの能力・・・問答無用の洗脳みたいなあの力は、強力な手札になり得ると思ってな。少なくとも、俺の片腕以上の価値はある。」
「そ、そう?」
自分の力を評価され、リリィは少し照れたように笑う。
「ああ。さっき少し動いて思ったが、ワイバーンみたいな化け物が普通にいる世界では、この肉体は脆弱に過ぎる。まあ、それはあの兵士やリリィも同じことかもしれないが・・・」
先程、肉体の限界を超えて骨や筋肉を破壊していた兵士を思い出す。
あの時の動きは少なくとも、レイジの常識を大きく外れたものでは無かった。
レイジのその推測に、しかしリリィは首を振る。
「あの兵士は、人間の中でもかなり弱い方だよ。それでも、装備のせいでかなりの脅威ではあるんだけど・・・」
「装備・・・あの鎧か?」
「剣もだよ。鎧にはあらゆる魔法攻撃を軽減する耐性が付与されてるし、剣には亜人を殺すことに特化した呪いが込められてる。そうじゃなかったら、私だって一回くらい切られても大した傷じゃない。」
「マジかよ・・・っていうか、もしかして俺もやばかったのか?でも、特に過剰に痛い訳でもないし、なんならもう治ってるぞ?」
改めて、綺麗になった自らの左腕を見るレイジ。
レイジの問いに、リリィは少し考える。
「そう、だね・・・あなたが大丈夫だった理由は、さっきも言ったけど吸血鬼の『始祖』だから、なんだけど・・・私も、それがどういうものかは詳しく知らないんだ。一応、凄まじい再生能力を持ってることくらいは分かるけど。」
「吸血鬼、か。そういやあのおっさんも、どんな種族になるかは分からないとは言っていたけどよ・・・」
と、そこでレイジは思い出す。
「つーか、あのおっさんマジでいつになったら来るんだよ。サポートはどうしたサポートは。」
「え、なんの話?」
「ああいや、こっちのことだ、気にすんな。・・・つっても自分のこともよくわかんねえってのは気持ち悪いな。なにか、その『始祖』とやらについて情報が欲しいところだが。」
顎に手を当て、考え始めるレイジ。
と、そんなレイジの後ろから彼を呼ぶ声が聞こえてくる。
【始祖、指定された目標の無力化及び鹵獲を完了しました。】
「ん、ああ・・・鹵獲できたってことは、一応ワイバーンは生きてるのか?」
【肯定。ただし、各部位の損傷が甚大。当該箇所を未処置の場合、約1200秒後に生命活動を停止することが予想されます。】
「あー・・・マジか。それ鹵獲できたっていうのか・・・?ま、まあいいか。パンドラ、この神殿になにか治療できるものとかあるか?」
【否定。始祖及びその眷属には治療は不要。敵対存在に利用されることを防ぐため、当施設には治療施設及びそれに類する施設、器具等は存在していません。】
変わらない平坦な口調で、パンドラは語る。
「いくらなんでも思い切りすぎだろ、その建築は・・・」
「そ、そうだね・・・外部の協力者とか想定してなかったのかな?」
「よっぽど傲慢だったか・・・あるいは、別の何らかの手段があるか、か。パンドラ、なにかこの場でできる治療方法とかあるか?」
レイジの問いに、パンドラは澱みなく答える。
【想定される最も確実な方法は、始祖の眷属とし、対象を吸血鬼化させることです。】
「眷属って・・・そんな簡単にできるものなのか?」
【難度については、当機では判断しかねます。】
「・・・いや、そうじゃなくてだな。あー、その、眷属?とやらをつくるにはどうすればいいんだ?後は、なにか危険性やデメリットとかはあるか?」
【当機は防衛兵器のため、始祖の情報について詳細な情報を保持しておりません。】
「急にはしごを外すなよ・・・あークソ、勿体ないがワイバーンは諦めるか。」
残念そうにため息をつくレイジ。
「いずれにしろ、情報が足りねぇな。この施設を、少し調べてみるか・・・?」
「いいとおもうけど、私もこの神殿に書いてある文字とかまでは読めないよ?」
「そこはまあ・・・実物を見てから考える。」
とりあえずの方針を決めるレイジ。
「ただ、あまり長居はしない方が良いだろうな。調査に来た兵士が帰らないとなれば、また別の人員が送られてくるだろうしな。」
「それは・・・そうだね。」
「よし、そうと決まればさっさと動くとする・・・」
そう言って、レイジが行動を開始しようとしたその時。
『ふむ、やっと見つかったか。城鉄霊時よ、聞こえるか?』
「え・・・って、その声、管理者のおっさんか!?」
突如、部屋に男の声が響いた。
『まさか、始祖に転生するとはな。各種族の幼体を中心に地道捜していたから、なかなか見つからなかったぞ。』
「そんなで原始的な方法で探してたのかよ・・・っていうか、幼体を探してたってことは本来は生まれる所から始まる予定だったのか?」
『ああ。転生とは元来そういうものだからな。もっとも、その場合はこちらで適正な年代まで成長させるつもりだったが。』
「むちゃくちゃ言ってやがるな・・・」
嫌そうな顔をするレイジ。
と、そんな彼にリリィは恐る恐る話しかける。
「その、レイジ?いきなり一人で喋りだして、どうしたの?」
「え、一人って・・・リリィには聞こえてないのか、この声。」
「わ、私にはあなたが虚空に話しかけてるようにしか見えないけど・・・」
そこで、補足するように管理者の声。
『言い忘れていたが、私の声は汝にしか聞こえていない。』
「先に言えよ!」
「ご、ごめんなさい・・・?」
「ああいや、今のはリリィに言ったわけじゃなくてだな・・・ちょっと、改めて説明させて貰えるか?」
状況が散らかってきたと感じたレイジは、一旦落ち着くために管理者についての説明を始めた。
完全に油断しているリリィ。
言葉で警告しても対応できるとは限らない。
そう判断したレイジは、リリィと兵士の間に割って入る。
そして、振り抜かれる剣の前にその身を晒す。
傍からみれば、身を呈してリリィを庇ったようである。
しかし、彼は。
そのように命を掛けて誰かを救うような、自己犠牲精神の持ち主ではない。
「腕と命、交換と行こうぜ・・・!」
剣の軌道に、左腕を割り込ませる。
何度も重たい攻撃を受け止めたその剣は、最初の切れ味を既に失っている。
間合いに割り込み、最大威力を発揮させなければ骨で止められるとレイジは判断。
その行動の結果は。
「ぐぅっ・・・!」
「なっ・・・」
目論見通り、兵士の振るった剣はレイジの腕で止められていた。
飛び散るレイジの血。
彼は痛みに小さく呻いたが、それだけだ。
むしろ、その傷にも構わず彼は笑う。
「はっ、痛えじゃねえか・・・ほら、お返し、だ。」
そして。彼は右手に握っていた漆黒のナイフを。
一切の躊躇なく、兵士の眼球に突き立てた。
脳まで届く刃。
既に死にかけだった兵士は、その攻撃で完全に息絶えた。
完全に心臓が止まったことを確認し、レイジはナイフを引き抜く。
「ふぅ・・・ほらよ、お前のだ。少しばかり汚れちまったがな。」
軽く血を振り払い、ナイフをリリィに差し出すレイジ。その顔は、悪戯好きな子供のような笑顔である。
たった今、人間の顔面にナイフを刺したとは思えないその無邪気ささえ感じる笑顔に、リリィは言葉にできない怖気を覚えた。
「い、いいよ、それはもうレイジにあげる。」
「お、そうか?じゃあ有難くいただくとするか。・・・ところでリリィ、火とか出せたりしないか?腕を消毒したい。」
レイジのその言葉に、リリィは少し考えてから答える。
「火は、出せないこともないけど・・・あなたには、必要ないと思う。ほら、腕、見てみて。」
「ん・・・?」
リリィの言葉に従い、レイジは剣を受け止めた左腕を見る。
彼が着ていた儀礼用の服は、剣を受け止めたところが大きく裂けていた。
しかし、それだけだ
「なっ・・・ど、どういうことだ!?」
服には血も付いておらず、何よりも、袖の下には傷一つ無い彼の腕があった。
間違いなく、剣を生身の腕で止めたはずだ。
血も飛び散り、痛みも感じた。
そもそもそれ以前にも、ワイバーンの気を引くために血を流したはずだ。
だが、今彼の目に映っている光景は、その事実さえも疑わせるような代物だった。
「俺の腕、ついさっき斬られたよな・・・?」
「ええ、間違いなくね。でも、あの程度の傷はあなたにとって何の障害にもならない。そう、吸血鬼の始祖たるあなたには。」
「は・・・?きゅう、けつ、き?」
心底意味がわからないという顔になるレイジに、リリィは思わず小さく笑ってしまう。
「ふふっ・・・」
「お、おい、なにを笑ってんだよ。」
「ご、ごめんごめん。なんでもないの。・・・えっと、少し聞きたいんだけど・・・レイジは、自分の傷が再生する事を知らなかったんだよね?それなのにどうして怪我をしてまで私を助けてくれたの?その、いきなりナイフで襲いかかってきた相手なのに・・・」
「ん?ああ、別に複雑な理由はねぇよ。単純に、どちらの方が価値があるかの問題だ。・・・まあ、簡単に説明するか。」
レイジは頬を掻きながらリリィに話す。
「まず、リリィに対する兵士どもの言動で何となくこの世界の現状は分かった。つーか、事前に知っていた情報と合致したって言った方が良いか。その時点で、リリィは少なくとも敵になる可能性は低い。最初に俺に襲いかかってきたのも、あいつらのリリィに対する認識や発言をみれば全く分からない話じゃねぇ。お前にとっちゃ人間・・・なかでも異世界人ってのは敵そのものってわけだ。」
「うん・・・そうだね。」
「最初にも軽く説明したが、俺はこの世界にいる他の異世界人・・・ややこしいな、日本人を倒すために来たんだ。もっとも、やれと言われたからやるのは性にあわねぇし、最終的には実情を見てから決めるつもりではあるが、一応の方針はそれを軸にしている。」
その上で、とレイジは続ける。
「リリィの能力・・・問答無用の洗脳みたいなあの力は、強力な手札になり得ると思ってな。少なくとも、俺の片腕以上の価値はある。」
「そ、そう?」
自分の力を評価され、リリィは少し照れたように笑う。
「ああ。さっき少し動いて思ったが、ワイバーンみたいな化け物が普通にいる世界では、この肉体は脆弱に過ぎる。まあ、それはあの兵士やリリィも同じことかもしれないが・・・」
先程、肉体の限界を超えて骨や筋肉を破壊していた兵士を思い出す。
あの時の動きは少なくとも、レイジの常識を大きく外れたものでは無かった。
レイジのその推測に、しかしリリィは首を振る。
「あの兵士は、人間の中でもかなり弱い方だよ。それでも、装備のせいでかなりの脅威ではあるんだけど・・・」
「装備・・・あの鎧か?」
「剣もだよ。鎧にはあらゆる魔法攻撃を軽減する耐性が付与されてるし、剣には亜人を殺すことに特化した呪いが込められてる。そうじゃなかったら、私だって一回くらい切られても大した傷じゃない。」
「マジかよ・・・っていうか、もしかして俺もやばかったのか?でも、特に過剰に痛い訳でもないし、なんならもう治ってるぞ?」
改めて、綺麗になった自らの左腕を見るレイジ。
レイジの問いに、リリィは少し考える。
「そう、だね・・・あなたが大丈夫だった理由は、さっきも言ったけど吸血鬼の『始祖』だから、なんだけど・・・私も、それがどういうものかは詳しく知らないんだ。一応、凄まじい再生能力を持ってることくらいは分かるけど。」
「吸血鬼、か。そういやあのおっさんも、どんな種族になるかは分からないとは言っていたけどよ・・・」
と、そこでレイジは思い出す。
「つーか、あのおっさんマジでいつになったら来るんだよ。サポートはどうしたサポートは。」
「え、なんの話?」
「ああいや、こっちのことだ、気にすんな。・・・つっても自分のこともよくわかんねえってのは気持ち悪いな。なにか、その『始祖』とやらについて情報が欲しいところだが。」
顎に手を当て、考え始めるレイジ。
と、そんなレイジの後ろから彼を呼ぶ声が聞こえてくる。
【始祖、指定された目標の無力化及び鹵獲を完了しました。】
「ん、ああ・・・鹵獲できたってことは、一応ワイバーンは生きてるのか?」
【肯定。ただし、各部位の損傷が甚大。当該箇所を未処置の場合、約1200秒後に生命活動を停止することが予想されます。】
「あー・・・マジか。それ鹵獲できたっていうのか・・・?ま、まあいいか。パンドラ、この神殿になにか治療できるものとかあるか?」
【否定。始祖及びその眷属には治療は不要。敵対存在に利用されることを防ぐため、当施設には治療施設及びそれに類する施設、器具等は存在していません。】
変わらない平坦な口調で、パンドラは語る。
「いくらなんでも思い切りすぎだろ、その建築は・・・」
「そ、そうだね・・・外部の協力者とか想定してなかったのかな?」
「よっぽど傲慢だったか・・・あるいは、別の何らかの手段があるか、か。パンドラ、なにかこの場でできる治療方法とかあるか?」
レイジの問いに、パンドラは澱みなく答える。
【想定される最も確実な方法は、始祖の眷属とし、対象を吸血鬼化させることです。】
「眷属って・・・そんな簡単にできるものなのか?」
【難度については、当機では判断しかねます。】
「・・・いや、そうじゃなくてだな。あー、その、眷属?とやらをつくるにはどうすればいいんだ?後は、なにか危険性やデメリットとかはあるか?」
【当機は防衛兵器のため、始祖の情報について詳細な情報を保持しておりません。】
「急にはしごを外すなよ・・・あークソ、勿体ないがワイバーンは諦めるか。」
残念そうにため息をつくレイジ。
「いずれにしろ、情報が足りねぇな。この施設を、少し調べてみるか・・・?」
「いいとおもうけど、私もこの神殿に書いてある文字とかまでは読めないよ?」
「そこはまあ・・・実物を見てから考える。」
とりあえずの方針を決めるレイジ。
「ただ、あまり長居はしない方が良いだろうな。調査に来た兵士が帰らないとなれば、また別の人員が送られてくるだろうしな。」
「それは・・・そうだね。」
「よし、そうと決まればさっさと動くとする・・・」
そう言って、レイジが行動を開始しようとしたその時。
『ふむ、やっと見つかったか。城鉄霊時よ、聞こえるか?』
「え・・・って、その声、管理者のおっさんか!?」
突如、部屋に男の声が響いた。
『まさか、始祖に転生するとはな。各種族の幼体を中心に地道捜していたから、なかなか見つからなかったぞ。』
「そんなで原始的な方法で探してたのかよ・・・っていうか、幼体を探してたってことは本来は生まれる所から始まる予定だったのか?」
『ああ。転生とは元来そういうものだからな。もっとも、その場合はこちらで適正な年代まで成長させるつもりだったが。』
「むちゃくちゃ言ってやがるな・・・」
嫌そうな顔をするレイジ。
と、そんな彼にリリィは恐る恐る話しかける。
「その、レイジ?いきなり一人で喋りだして、どうしたの?」
「え、一人って・・・リリィには聞こえてないのか、この声。」
「わ、私にはあなたが虚空に話しかけてるようにしか見えないけど・・・」
そこで、補足するように管理者の声。
『言い忘れていたが、私の声は汝にしか聞こえていない。』
「先に言えよ!」
「ご、ごめんなさい・・・?」
「ああいや、今のはリリィに言ったわけじゃなくてだな・・・ちょっと、改めて説明させて貰えるか?」
状況が散らかってきたと感じたレイジは、一旦落ち着くために管理者についての説明を始めた。
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