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みるみるうちに顔色が土のような色になる夫。
「お顔の色が優れない様ですけれど?」
私は微笑みながら夫に1歩近付く。
「・・・・・・」
あらあら、だんまりですか?
「折角皆様に来て頂いたのですから・・・彼女さんのお話・・・されてはいかがです?」
そして私はまた1歩夫に近付く。
「く、来るな」
・・・人をお化けか何かみたいに・・・。来るなって、失礼でしょ!
「ダメですよ、旦那様?まだお茶会は終わってませんわ」
今にも逃げ出しそうな夫にそう言った。
「それに、こちらのご婦人達・・・是非貴方とお話したいと思いますよ?」
ね?とご婦人達に向かい首を傾げる。
「ええ、貴方の旦那様とは・・・是非ゆっくりとお話させて頂きたいわ。あの女のどこに魅力を感じるのか・・・とかね」
私の親ぐらいの歳のご夫人がそう言った。
「それは宜しいですわ!皆様に貴方の彼女の素晴らしさを知って頂く絶好のチャンスですものね」
いい事を思い付いたと言わんばかりに夫にそう提案する。
夫はまさかの事態にもう何も言えないよう。声にならない声を発しながら首をずっと横に振っている。
「あの女のどこに魅力を感じてらっしゃるの?」
「どこで出会ったんですか?」
「いつからお付き合いを?」
「彼女はどう言う方?」
「私達に彼女の素晴らしさを教えてくださいな」
質問責めにされる夫。すると1人の若い奥様が私に話しかけてくる。
「貴方の旦那様、お屋敷にあまり帰っていないと噂で聞きましたけど」
「ええ、本当ですよ。どうも彼女さんと暮らしているようなんです!ねぇ、旦那様?」
「はっ!一緒に暮らしている?ふふふ、そう思っている方が一体何人いるかしらね?」
彼女がそう言うと他のご婦人方も一様に頷く。
「な、何を。私はちゃんと彼女と暮らして・・・」
まさかの言葉に夫も反論する。
・・・彼女と暮らしている(事実はどうであれ)と大勢の前で言ってしまった夫。もう、この人終わったわ(笑)
するとご婦人達の目がますます鋭くなる。
「貴方のご主人も一緒に暮らしているらしいですね」
聞かれたご婦人が頷く。
「うちもですわ」
聞いたご婦人も頷く。
「あら、うちも同じ事言ってますわ」
「そうなんですか?うちもですのよ」
「本当に奇遇ですわ。うちもですのよ!しかも、うちの夫なんて彼女が本当は私の妻でお前はただのお飾りだと私に向かいそう言いますのよ・・・酷いと思いません?」
どこかで聞いたような話ですねぇ。

皆さん彼女と暮らしていると思ってらっしゃるみたいですけれど・・・まさかの共同生活ですか?(笑)
・・・報告書を読んで知っていたけど、彼女は付き合う男達全員から別宅を1つ貰いそこに家をくれたのとは違う男を連れ込み、これは私の家でここで貴方と暮らしているのと装っているらしい。つまり別の男から貰った家で彼女と一緒に暮らしていると思い込んでいる哀れな男達って事ね。
付き合ってる男の数だけ家を持ち・・・か。
よくもまぁそんな面倒な事を・・・。凄いわぁ。
あの馬鹿も報告書盗み見るならそこら辺もちゃんと見なさいよ。     
その夫を見ると今にも倒れそう。さっきよりも酷い顔・・・いやいや酷い顔色。
「ご気分が優れない様でしたら、お部屋に戻って頂いて構いませんよ」
私がそう言うと夫は1つ頷き部屋へと向かった。
このままだとお茶会で何を言い出すか分からない夫を部屋へと帰し私は今日のお茶会の終わりを告げる。大成功。
私と同志の奥様達とはまた別の機会にゆっくり話をする約束をした。


諸々片付けなど終わらせて私が部屋に戻ると夫はもう出て行ったと執事から報告を受けた。
でしょうね、その為に早く引き上がらせたのだもの。今頃彼女さんの所に向かっているでしょう。
さぁて、彼女さんとの事・・・どうなるかしら。たぁのしみ!                                                                                              
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