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青年

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「ヒース!いい加減にしてくれよ。今日こそ授業に出てもらうぞ」
話している私達の中にそう言って現れた1人の青年。
・・・バカ猿の友達か・・・こいつのお守りなんて苦労しそうだな。そんな事をぼんやり思っていたらその青年がこちらを見た。
「ごめんね、迷惑掛けて」
そう言った青年は何でこの猿と友達なの?と思う程常識的な好青年だった。
「貴方から迷惑を被った訳ではないので謝って頂かなくても大丈夫ですわ」
私がそう言うとその青年は意外なものを見るような目でこちらを見ていた。
何だろうと私もその青年をじっと見る。
「・・・どこかで・・・」
青年が小さな声でそう言いかけた所でティナが大きな声で言ってくる。
「パメラ!もう時間!」
「あっ本当だ。慌ただしくて申し訳ありません、私達はそろそろ授業に向かいますわ」
そう言って私達は急いでその場を立ち去る。だから気付かなかった・・・。
「パメラって・・・あの?」
立ち去る私達を見て青年がそう呟いていたのを。



「ヒース・・・いつからパメラと仲良くなったの?」
「ん?ああ、お前も知っているのか?パメラを」
「えっ?知ってるって・・・」
「成績優秀者クラスにいるらしい。賢くてあんなに美しいとは同じ名前なのに俺の名ばかりの婚約者とは大違いだ!」
ヒースのその言葉を聞いてその青年・・・ファニーは唖然とする。
「いや、大違いって・・・あれ・・・パメラだろ」
そう呟いたファニーの言葉は新たな女の子の尻を追いかけ出した馬鹿な猿には聞こえていなかった。



「パメラ」
次の日廊下を歩いていると後ろから声をかけられた。
「あら、貴方は・・・バカ・・・いえ、ヒース様のお友達の・・・」
「・・・そう、久しぶり」
「久しぶり?昨日お会いしたと思いますけど」
「あのパーティー以来・・・6年ぶりだね」
そう言って笑った彼の顔は・・・。
「・・・ファニー?」
「うん、そうだよ」
「・・・・・・・・・」
私は人好きのする笑顔のファニーを見る。
昨日気付いたのね、どういうつもりなのかしら・・・。まさかあの馬鹿猿に言ったのかしら。
「お久しぶりです」
あのパーティーでは仲良くなれた気でいたけど・・・所詮はあいつと同じ高位貴族・・・影ではバカにしていたんだろう。兎に角油断してはいけない
「随分変わったね、初めは分からなかったよ」
「お陰様で・・・私はあの日に現実を見たので・・・」
「それどういう・・・」
「絶対に邪魔させないわ!」
私はそう言ってファニーから離れる。
私は唯前を見て走って行く。
絶対絶対絶対絶対邪魔させない!
「パメラ・・・・・・どうしたんだ」
1人残されたファニーは去って行くパメラの背中を見送るしか出来なかった。
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