上 下
7 / 32

やっと現れた婚約者

しおりを挟む
やはりと言うか当然と言うか、翌日学園ではビッチェさんとドナウドが言っていた事がデタラメだと広まった。
「まぁ当然ね」
私は教室に向かって歩く。あちこちから視線を感じるがまぁそれも仕方ないか。
「おい!ミレニア」
突然私を呼ぶ不躾な声。振り返るとそこには私の婚約者であるドナウドがいた。
「あら、おはようございます。ドナウド様。どうなさいました?ほぼ会った事も無い私を呼び捨てにして何の御用ですか?」
私は穏やかに微笑みながらそう言う。
「き、貴様は俺の婚約者なんだから呼び捨てで何が悪いんだ!」
あらあらあら、なんて頭の悪い事仰っているのかしらこの方。
「ふふふ、私の婚約者であるはずの貴方がさも当然の様に他のご令嬢を連れて歩いているのは何故なんでしょうね?」
私は笑いながら1歩彼に近付く。
「ぐっ・・・」
「貴方に貴様などと呼ばれる間柄では無かったと記憶していますが・・・いかがですか?」
また1歩近付く。
「私があのビッチェさんを虐めた、私が貴方のお母様から嫌われている・・・最近妙な噂ばかりで少々傷付いていますの、ふふふ。一体何処からそんな噂が立つのでしょう・・・ね?全く事実とは違う噂ですのに・・・ね?」
そしてもう1歩彼に近づき耳元に唇を寄せる。
「次はどのような手で来るのか楽しみにしていますわ。精々私を楽しませてね。私の退屈な婚約者様」
そして薄く微笑んだ私は彼から離れる。
「では御機嫌よう・・・ビッチェさんにもよろしくね」



今の彼とのやり取り、きっとまた周りの方達が広めて下さるでしょう。会話は聞こえずとも親密そうに映ったことでしょうね・・・ふふふ。

この噂を聞いてビッチェさんはどうするのかしらね。
楽しみだわ。

私は足取りも軽く教室へと向かうのだった。

しおりを挟む
感想 30

あなたにおすすめの小説

そんな事も分からないから婚約破棄になるんです。仕方無いですよね?

ノ木瀬 優
恋愛
事あるごとに人前で私を追及するリチャード殿下。 「私は何もしておりません! 信じてください!」 婚約者を信じられなかった者の末路は……

私達、政略結婚ですから。

恋愛
オルヒデーエは、来月ザイデルバスト王子との結婚を控えていた。しかし2年前に王宮に来て以来、王子とはろくに会わず話もしない。一方で1年前現れたレディ・トゥルペは、王子に指輪を贈られ、二人きりで会ってもいる。王子に自分達の関係性を問いただすも「政略結婚だが」と知らん顔、レディ・トゥルペも、オルヒデーエに向かって「政略結婚ですから」としたり顔。半年前からは、レディ・トゥルペに数々の嫌がらせをしたという噂まで流れていた。 それが罪状として読み上げられる中、オルヒデーエは王子との数少ない思い出を振り返り、その処断を待つ。

【完結】ご安心を、問題ありません。

るるらら
恋愛
婚約破棄されてしまった。 はい、何も問題ありません。 ------------ 公爵家の娘さんと王子様の話。 オマケ以降は旦那さんとの話。

婚約破棄をされて魔導図書館の運営からも外されたのに今さら私が協力すると思っているんですか?絶対に協力なんてしませんよ!

しまうま弁当
恋愛
ユーゲルス公爵家の跡取りベルタスとの婚約していたメルティだったが、婚約者のベルタスから突然の婚約破棄を突き付けられたのだった。しかもベルタスと一緒に現れた同級生のミーシャに正妻の座に加えて魔導司書の座まで奪われてしまう。罵声を浴びせられ罪まで擦り付けられたメルティは婚約破棄を受け入れ公爵家を去る事にしたのでした。メルティがいなくなって大喜びしていたベルタスとミーシャであったが魔導図書館の設立をしなければならなくなり、それに伴いどんどん歯車が狂っていく。ベルタスとミーシャはメルティがいなくなったツケをドンドン支払わなければならなくなるのでした。

婚約破棄が国を亡ぼす~愚かな王太子たちはそれに気づかなかったようで~

みやび
恋愛
冤罪で婚約破棄などする国の先などたかが知れている。 全くの無実で婚約を破棄された公爵令嬢。 それをあざ笑う人々。 そんな国が亡びるまでほとんど時間は要らなかった。

【完結】こんな所で言う事!?まぁいいですけどね。私はあなたに気持ちはありませんもの。

まりぃべる
恋愛
私はアイリーン=トゥブァルクと申します。お父様は辺境伯爵を賜っておりますわ。 私には、14歳の時に決められた、婚約者がおりますの。 お相手は、ガブリエル=ドミニク伯爵令息。彼も同じ歳ですわ。 けれど、彼に言われましたの。 「泥臭いお前とはこれ以上一緒に居たくない。婚約破棄だ!俺は、伯爵令息だぞ!ソニア男爵令嬢と結婚する!」 そうですか。男に二言はありませんね? 読んでいただけたら嬉しいです。

婚約破棄から~2年後~からのおめでとう

夏千冬
恋愛
 第一王子アルバートに婚約破棄をされてから二年経ったある日、自分には前世があったのだと思い出したマルフィルは、己のわがままボディに絶句する。  それも王命により屋敷に軟禁状態。肉塊のニート令嬢だなんて絶対にいかん!  改心を決めたマルフィルは、手始めにダイエットをして今年行われるアルバートの生誕祝賀パーティーに出席することを目標にする。

大好きな第一王子様、私の正体を知りたいですか? 本当に知りたいんですか?

サイコちゃん
恋愛
第一王子クライドは聖女アレクサンドラに婚約破棄を言い渡す。すると彼女はお腹にあなたの子がいると訴えた。しかしクライドは彼女と寝た覚えはない。狂言だと断じて、妹のカサンドラとの婚約を告げた。ショックを受けたアレクサンドラは消えてしまい、そのまま行方知れずとなる。その頃、クライドは我が儘なカサンドラを重たく感じていた。やがて新しい聖女レイラと恋に落ちた彼はカサンドラと別れることにする。その時、カサンドラが言った。「私……あなたに隠していたことがあるの……! 実は私の正体は……――」

処理中です...