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ぞくっ!
何だか寒気が?!
……風邪でもひいたかしら?
王宮から帰り両親には王妃様及び殿下から謝罪された事など報告した。
マクシミリアン家からはイザベル様に正式に抗議した。
王妃様からも少しお仕置きがあったらしくあれからとても大人しいそうだ。
まぁ、自業自得。因果応報ですな。
それから私の周りは平穏に日々が過ぎていった。お父様が何故か婚約者探しを邪魔する事、皇太子殿下とやたら会う事以外は。
本当に会うのだ、やたらめったら会う。もう、偶然の範疇を越えている。行くところ行くところに現れる。
しかし本人はいつも
「やぁ、偶然だな」
とどこかぎこちなく挨拶してくるので私の方も取り敢えず偶然という事にしている。怪しいなぁ。私に何か言いたい事とかありそうなんだよなぁ。
う~ん。
と考えたところで殿下が何を考えているかなんて私に分かる訳もなく。
私はすぐに考える事を放棄した。何かあったらその内言ってくるでしょ!
それよりも私にはしなければならないことがある。それは私の16歳の誕生日のパーティーだ。
この国は15歳は社交デビューの夜会が催されるため自宅でのパーティーを控える。その代わり16歳のパーティーを盛大にする。
社交デビューして一年、この誕生パーティーで婚約発表をする人も多い。
私には無理だ。虚しい。
まぁ、いい!この誕生パーティー に婚約者のいない令息達を招待しよう。
……そういえば殿下の婚約者の話もきかないなぁ。今度タイプの子を聞いてみよう、しょうがないから殿下の好みのご令嬢も招待してあげよう。
なんて失礼な事を考えながらパーティーの準備をするのだった。
あれから1ヶ月今日はいよいよ私の16歳のパーティーだ。
好みの女の子を聞きに行った時に余計な事はしなくてもいいと力強く言われたので殿下の好みの子は招待出来なかったがどうしても私の誕生日は祝いたいと言って下さったので殿下も招待している。
「友達だからな!」
と仰っていた。有り難いことだ。
さぁ、そろそろ皆さんおそろいかしら?私は会場となる広間の扉の前で
深呼吸をした。いざ!参ります!
扉を開けるときらびやかな会場に正装で着飾った方々。こんなに沢山の方々が私の誕生日を祝ってくれるのかと思うと胸がいっぱいだ。
その皆様方が入ってきた私の方を見ていた。
「本日はわたくしの16の誕生パーティーにお越しいただきありがとうございます。皆様どうぞごゆるりとお楽しみください」
私は精一杯の感謝の気持ちを込めて挨拶をした、すると会場からは割れんばかりの拍手が贈られた。私は自然と満面の笑みを浮かべていた。
まずはお父様とお母様を探しましょう。会場の中、お祝いを言って下さる方々にお礼を言いつつ両親を探す。
「おめでとうございます。ミリア孃、本日はいつもにも増してお綺麗ですね」
「ありがとうございます」
「おめでとうございます。良ければ後程一曲踊っていぢけますか?」
「ありがとうございます。わたくしで良ければ喜んで」
……うふふ。凄い祝ってくれるけど最早表情筋に限界が!
いやいや、まだまだ始まったばかり頑張るのよミリア!
早くお父様達を見付けなければ。
あっ!いた!お父様もお母様も見目麗しいからすごく人に囲まれている。
その人の一人がこちらに気付き声を掛けてくれる。
「おめでとうございます、ミリア孃。とても良いパーティーですね」
「ありがとうございます」
その声を聞いて両親の周りの人が道を空けてくれる。その人垣の間を通りお父様達の前で挨拶する。
「本日はわたくしの為にこんなに立派なパーティーを開いて頂いてありがとうございます。わたくしお父様とお母様の子供に生まれて幸せです」
そしてスカートをつまみ上げお辞儀をする。ちなみにこの挨拶は16歳のパーティーでの決まり文句のようなものである。
しばし両親と話をしていると
「やぁ、ミリア孃。本日はお招きいただきありがとう。16歳おめでとう!」
といつもより少しピシッとした格好の殿下がいらっしゃった。
「ありがとうございます、殿下。お忙しい中わざわざわたくしの為にありがとうございます」
私は先程両親にしたように礼儀正しいお辞儀をする。
「本日は我が娘の為にありがとうございます」
両親も殿下に挨拶をする。
殿下は初めて我が家を訪れてから実はちょくちょく家に来ていた。何でも私の発明に興味が沸いたらしい。 びっくり!
そして王妃様と殿下から謝罪されたあの日。その日を境に家にいらっしゃる頻度が格段に増えた最初のうちは私も両親もどうしたことかとびっくりしていたが
「ミリア孃の発明に興味がある!それに友達なのだし」
と仰られてなんやかんや、3日に1度位の感じで来られるのでもうすっかり仲の良いお友達である。
そして殿下にすっかり慣れた両親は
「日頃のご公務を忘れて今宵は楽しんでください」
と殿下に優しい笑みを向けていた。
「ミリア」
「はい」
お父様に呼ばれ振り返る。
「殿下と一緒に一曲踊って来てはどうだい?皆様ミリアのダンスを見たがっておられるようだし」
そう言われ周りのを見回すと皆様微笑みながら頷いてくださる。
私は殿下の顔を見る。
「えっと、よろしいでしょうか?」
私は殿下に聞いてみる。
「勿論」
そう言った殿下は、私の前に膝まずき手を差し出す。
「ミリア孃私と踊って頂けますか?」
おぉ、本物の王子様!
いつもより少し格好良い殿下の手を取り
「喜んで」
と微笑み返し私達はホールの真ん中で踊り始めた。
何だか寒気が?!
……風邪でもひいたかしら?
王宮から帰り両親には王妃様及び殿下から謝罪された事など報告した。
マクシミリアン家からはイザベル様に正式に抗議した。
王妃様からも少しお仕置きがあったらしくあれからとても大人しいそうだ。
まぁ、自業自得。因果応報ですな。
それから私の周りは平穏に日々が過ぎていった。お父様が何故か婚約者探しを邪魔する事、皇太子殿下とやたら会う事以外は。
本当に会うのだ、やたらめったら会う。もう、偶然の範疇を越えている。行くところ行くところに現れる。
しかし本人はいつも
「やぁ、偶然だな」
とどこかぎこちなく挨拶してくるので私の方も取り敢えず偶然という事にしている。怪しいなぁ。私に何か言いたい事とかありそうなんだよなぁ。
う~ん。
と考えたところで殿下が何を考えているかなんて私に分かる訳もなく。
私はすぐに考える事を放棄した。何かあったらその内言ってくるでしょ!
それよりも私にはしなければならないことがある。それは私の16歳の誕生日のパーティーだ。
この国は15歳は社交デビューの夜会が催されるため自宅でのパーティーを控える。その代わり16歳のパーティーを盛大にする。
社交デビューして一年、この誕生パーティーで婚約発表をする人も多い。
私には無理だ。虚しい。
まぁ、いい!この誕生パーティー に婚約者のいない令息達を招待しよう。
……そういえば殿下の婚約者の話もきかないなぁ。今度タイプの子を聞いてみよう、しょうがないから殿下の好みのご令嬢も招待してあげよう。
なんて失礼な事を考えながらパーティーの準備をするのだった。
あれから1ヶ月今日はいよいよ私の16歳のパーティーだ。
好みの女の子を聞きに行った時に余計な事はしなくてもいいと力強く言われたので殿下の好みの子は招待出来なかったがどうしても私の誕生日は祝いたいと言って下さったので殿下も招待している。
「友達だからな!」
と仰っていた。有り難いことだ。
さぁ、そろそろ皆さんおそろいかしら?私は会場となる広間の扉の前で
深呼吸をした。いざ!参ります!
扉を開けるときらびやかな会場に正装で着飾った方々。こんなに沢山の方々が私の誕生日を祝ってくれるのかと思うと胸がいっぱいだ。
その皆様方が入ってきた私の方を見ていた。
「本日はわたくしの16の誕生パーティーにお越しいただきありがとうございます。皆様どうぞごゆるりとお楽しみください」
私は精一杯の感謝の気持ちを込めて挨拶をした、すると会場からは割れんばかりの拍手が贈られた。私は自然と満面の笑みを浮かべていた。
まずはお父様とお母様を探しましょう。会場の中、お祝いを言って下さる方々にお礼を言いつつ両親を探す。
「おめでとうございます。ミリア孃、本日はいつもにも増してお綺麗ですね」
「ありがとうございます」
「おめでとうございます。良ければ後程一曲踊っていぢけますか?」
「ありがとうございます。わたくしで良ければ喜んで」
……うふふ。凄い祝ってくれるけど最早表情筋に限界が!
いやいや、まだまだ始まったばかり頑張るのよミリア!
早くお父様達を見付けなければ。
あっ!いた!お父様もお母様も見目麗しいからすごく人に囲まれている。
その人の一人がこちらに気付き声を掛けてくれる。
「おめでとうございます、ミリア孃。とても良いパーティーですね」
「ありがとうございます」
その声を聞いて両親の周りの人が道を空けてくれる。その人垣の間を通りお父様達の前で挨拶する。
「本日はわたくしの為にこんなに立派なパーティーを開いて頂いてありがとうございます。わたくしお父様とお母様の子供に生まれて幸せです」
そしてスカートをつまみ上げお辞儀をする。ちなみにこの挨拶は16歳のパーティーでの決まり文句のようなものである。
しばし両親と話をしていると
「やぁ、ミリア孃。本日はお招きいただきありがとう。16歳おめでとう!」
といつもより少しピシッとした格好の殿下がいらっしゃった。
「ありがとうございます、殿下。お忙しい中わざわざわたくしの為にありがとうございます」
私は先程両親にしたように礼儀正しいお辞儀をする。
「本日は我が娘の為にありがとうございます」
両親も殿下に挨拶をする。
殿下は初めて我が家を訪れてから実はちょくちょく家に来ていた。何でも私の発明に興味が沸いたらしい。 びっくり!
そして王妃様と殿下から謝罪されたあの日。その日を境に家にいらっしゃる頻度が格段に増えた最初のうちは私も両親もどうしたことかとびっくりしていたが
「ミリア孃の発明に興味がある!それに友達なのだし」
と仰られてなんやかんや、3日に1度位の感じで来られるのでもうすっかり仲の良いお友達である。
そして殿下にすっかり慣れた両親は
「日頃のご公務を忘れて今宵は楽しんでください」
と殿下に優しい笑みを向けていた。
「ミリア」
「はい」
お父様に呼ばれ振り返る。
「殿下と一緒に一曲踊って来てはどうだい?皆様ミリアのダンスを見たがっておられるようだし」
そう言われ周りのを見回すと皆様微笑みながら頷いてくださる。
私は殿下の顔を見る。
「えっと、よろしいでしょうか?」
私は殿下に聞いてみる。
「勿論」
そう言った殿下は、私の前に膝まずき手を差し出す。
「ミリア孃私と踊って頂けますか?」
おぉ、本物の王子様!
いつもより少し格好良い殿下の手を取り
「喜んで」
と微笑み返し私達はホールの真ん中で踊り始めた。
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