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あれから更に月日がたち私は15才になった。
15才にもなると流石に断れない夜会というものも出てくるもので今日の夜会がそれである。
この世界は15才で必ず社交界デビューをする、例外なく全員が。


私の憂鬱な気分に反してビアンカは朝からご機嫌だ。
「お嬢様を思う存分着飾れるなんて久しぶりですわ!うふふふふ」
満面の笑である。
ドレスやアクセサリーを選んでいるビアンカの背に
「そんな頑張らなくても、あの、ふつうよりましかな?ぐらいで大丈夫」

ニッッッッコリ!!! 

笑顔怖いです。
あ、うん、その、はい。
サカライマセン。

  朝からお風呂、香油でマッサージ。
髪も入念にブラッシング。色も元の金髪に戻させられた。今日は化粧もいつもより念入りにされた。それでも元がいいからこれでも薄いほうだと言われた。

…マジか。

そんなこんなでドレスを纏い(ちなみに今日のドレスはお父様とお母様がデビュー用にと用意してくださった薄い紫色だ)
髪を丁寧に結われやっと完成した。
鏡の中にはいつもと別人のような美しく華やかな私。透き通るような白い肌(引きこもりだから)赤く魅惑的な唇、それに眼鏡……。
いい感じだ!やっぱり眼鏡だ!
折角のドレス姿を半分以下な感じにしてくれている。ふふふ。
あーなんか楽しくなってきた!
今日は思う存分壁の華になろうっと!
おっとそろそろ時間だ。私は
「言ってくるわ」
とビアンカに告げ部屋を出ようと思ったその瞬間!
「お嬢様!お待ち下さい」
ビアンカが扉の前に立ち塞がる。
「まだ何か準備があるの?」
私は自分のドレスを見ながら言う。
するとビアンカは犬にお手をさせるかの如くてを差し出してくる。
首を傾げながらその手に自分の手をのせると
「違います!お嬢様、眼鏡は置いていって下さい!」
え……………、えーーーーー!
「えーーー、ムリムリムリ!」
眼鏡を押さえながら後ずさる
ジリジリ……ジリジリ私達はにらみ会う。
「お嬢様、観念してください」
暫く私達は追いかけっこするがごとく部屋のなかを走り回る、しかしわたしは引きこもり。毎日働いて体力のあるビアンカに敵う訳もなくあっけなく捕まり眼鏡を取られた。
さっきまでの何だか楽しくなってきた気持ちは消え失せ一気に地獄の底に突き落とされたように憂鬱になった。

 
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