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「考え直せとは……」
「言葉のままそのままに、是非考え直して頂きたいなぁと思いまして」
「……無理ですね」
「そこを何とか」
そう言ってへらりと笑う側近の方の顔を見て私はため息を一つ。
「貴方も知っている筈ですよね。私が何故王子に婚約者として選ばれたか」
「はい、勿論」
側近の方は頷く。それはそうだろう、まだ幼かったあの日に私を婚約者に選んだ理由を聞かせていたのがこの方なのだから知らない筈が無い。
「正直な所、あんな下らない理由で選ばれた婚約者に王妃とか務まらないと思います」
「そうですか?」
「そうでしょう。あの地位が誰がなっても良いという地位では無いことなんて王子の側近である貴方で無くても、それこそ子供でも知っていますわ」
「そうですねぇ」
「はい、ですから。あんな理由で選ばれて、しかも本人にその気も意欲も無いのですから一刻も早く私との婚約を破棄して他のその地位にふさわしい方を選ばれた方が良いと思います。一からの王妃教育となればまた時間も掛かるでしょうし」
「そうなんですけどねぇ……」
それきり黙り込む側近の方。私の方は言いたい事を言ったしこれ以上何か言われるのも嫌だったので私は早口で捲し立てる。
「と、言うことで、貴方様からも一刻も早い婚約破棄を王子にお願いして下さい。用件がそれだけなのであれば私はこれで失礼致します」
言いたい事は全て伝えた。
あとはあの人が王子にどう伝えてくれるか。
あぁ、それにしても緊張したぁ。もう心臓がバクバクしてる!
私は元々大人しい性格なの!本当なら目立ちたく無い!それなのに王子があんな下さない理由で私を婚約者に選んだりするから!
王子相手なら怒りが勝るから最近は開き直って言いたい事が言えるようになったけど……親しくもない人と二人で話すなんて。

そもそもあんな貴族のご令嬢みたいな話し方無理~!精一杯笑顔も作ったけど全然キャラじゃ無いよ~!
私は一人羞恥に悶えながら教室へと急ぐのだった。

明日もきっと来るであろう王子のお弁当をピーマンの次に嫌いな豆にしてやろうと思いながら。


そんな二人を見ている影。
それは明日の昼食がロゼの手により嫌いな豆づくしになるとはこの時は露ほども思わない王子だった。

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