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まだ続く断罪?…いやむしろされる側…
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「これはお二人が出会ってから今日までの愛の軌跡を綴った思い出…そう言うなれば愛のメモリーなのです!」
そう言ってメリルさんに向かってとてもいい笑顔を向けた。
「あ、愛の、メモリー?」
「はい!そうなんです。ウィルは私と婚約関係にあります、でもメリルさんという最愛の方を見付けていずれは私もこの婚約が無かった事になるだろうと思っていました、ですが私達の婚約は両家の政略的なもの…婚約が無かった事になると困ると言ってくるものもいると思ったのです。そこでこの愛のメモリーが役にたつのですわ!ここに書いてある内容を見て二人がこんなにも愛し合っていると知れば周りもしょうがないこんなにも想いあっている二人を引き裂く訳にはいかないとそう思って頂ける筈だと思いまして!」
周りにいた正常な考え方を持つ大半の人間は«いやいやいや!そんな事ある訳無いだろ!»と心の中でツッコミを入れていたが、どうやら元々から正常な考え方を持っていなかったであろうウィルとメリルの二人はシエラの言葉に満更でもないようだった。
「ふ、ふん。お前もたまにはいい事をするな!」
「そうですね……中身の出来によっては虐めていたこと許さない事もないですよ」
«……………………ヤバイ、正真正銘の馬鹿だな»とその場に居たウィル、メリル、シエラ以外の気持ちが完全に一致した瞬間だった。
そんな会場に異様な一体感が漂う空気の中、何にも気付かないようにシエラは口を開く。
「では、序章二人の出会い編~を読ませて頂きますわ」
今から自分達の不貞の内容が明るみにされると気付かない馬鹿な二人は今か遅しとその内容を読まれるのを心待ちにしていた。
そんな光景を誰からも気付かれない場所から見ている四つの影。
男女二人づつのその四人はそれぞれ夫婦らしく、片方の夫婦は顔を真っ赤にしてその表情は怒りに満ちていた。
一方もう片方の夫婦は顔を真っ青にしてブルブルと夫婦身を寄せあって震えていた。
「さあ!早く私とウィルの美しい想い出を聞かせなさい!」
メリルがシエラにそう言うのを聞いて周りは耳を塞いでしまいたかったが流石にそんな訳にもいかず、そうしているうちにシエラは二人の美しい想い出とやらを一言一句余すことなく正確に読み始めた。
「あれは学園の入学式の朝。欠伸をしながら歩くウィルの前に一人の少女が現れます。その少女は急いでいて転けてしまったらしく「痛ったぁい」と言いながら上目遣いでウィルを見上げて「ごめんなさぁい、手を貸して貰ってもいいですかぁ?」と言ってウィルに手を差し伸べられて立ち上がります。そしてその後「親切な方、ありがとうございましたぁ」と言って立ち去ります。それが二人の出会いでした」
早くも聞いていられないと会場にいる誰もが辟易していた。
そう言ってメリルさんに向かってとてもいい笑顔を向けた。
「あ、愛の、メモリー?」
「はい!そうなんです。ウィルは私と婚約関係にあります、でもメリルさんという最愛の方を見付けていずれは私もこの婚約が無かった事になるだろうと思っていました、ですが私達の婚約は両家の政略的なもの…婚約が無かった事になると困ると言ってくるものもいると思ったのです。そこでこの愛のメモリーが役にたつのですわ!ここに書いてある内容を見て二人がこんなにも愛し合っていると知れば周りもしょうがないこんなにも想いあっている二人を引き裂く訳にはいかないとそう思って頂ける筈だと思いまして!」
周りにいた正常な考え方を持つ大半の人間は«いやいやいや!そんな事ある訳無いだろ!»と心の中でツッコミを入れていたが、どうやら元々から正常な考え方を持っていなかったであろうウィルとメリルの二人はシエラの言葉に満更でもないようだった。
「ふ、ふん。お前もたまにはいい事をするな!」
「そうですね……中身の出来によっては虐めていたこと許さない事もないですよ」
«……………………ヤバイ、正真正銘の馬鹿だな»とその場に居たウィル、メリル、シエラ以外の気持ちが完全に一致した瞬間だった。
そんな会場に異様な一体感が漂う空気の中、何にも気付かないようにシエラは口を開く。
「では、序章二人の出会い編~を読ませて頂きますわ」
今から自分達の不貞の内容が明るみにされると気付かない馬鹿な二人は今か遅しとその内容を読まれるのを心待ちにしていた。
そんな光景を誰からも気付かれない場所から見ている四つの影。
男女二人づつのその四人はそれぞれ夫婦らしく、片方の夫婦は顔を真っ赤にしてその表情は怒りに満ちていた。
一方もう片方の夫婦は顔を真っ青にしてブルブルと夫婦身を寄せあって震えていた。
「さあ!早く私とウィルの美しい想い出を聞かせなさい!」
メリルがシエラにそう言うのを聞いて周りは耳を塞いでしまいたかったが流石にそんな訳にもいかず、そうしているうちにシエラは二人の美しい想い出とやらを一言一句余すことなく正確に読み始めた。
「あれは学園の入学式の朝。欠伸をしながら歩くウィルの前に一人の少女が現れます。その少女は急いでいて転けてしまったらしく「痛ったぁい」と言いながら上目遣いでウィルを見上げて「ごめんなさぁい、手を貸して貰ってもいいですかぁ?」と言ってウィルに手を差し伸べられて立ち上がります。そしてその後「親切な方、ありがとうございましたぁ」と言って立ち去ります。それが二人の出会いでした」
早くも聞いていられないと会場にいる誰もが辟易していた。
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