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断罪…………のはずだったんだけど

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「うっぐすっ…」
ずずっと鼻をすする音。…………汚…………コホン。
さっきから指が折れたかもと泣きじゃくるウィル。
それを冷めた目で見る会場の皆……までは良いとしてもメリルさんまで若干引いているし…。
「メリルさん貴方の愛しい愛しいウィルが泣いているのですから何とか慰めて差し上げて下さいな」
私のその言葉を聞いてメリルさんは1歩後ろに下がりウィルは期待の篭った目でメリルさんを見上げた。
「メリル…ぐすっ」
「…………ウィル…」
涙と鼻水でぐしゃぐしゃの顔のウィルと引き攣った顔のメリルさん。
それを見つめる観衆たち……。
「はぁ、もう仕方ないわね。…ウィル見せてみなさい」
そう言って私はウィルの顔をハンカチで拭いてウィルの指を診た。
「折れてないわ大丈夫よ、いつまでもこんな事位で泣くのは止めなさい」
「でもすごく痛い」
「見なさい腫れてもいないし大丈夫よ。第一私が貴方の指を折るわけ無いでしょ」
「うぅ」
「情けない声を出さないのよ。ほら皆見ているわよ。本当に小さい頃から泣き虫なんだから。ほら貴方の愛しいメリルさんも見ているわよ」
私がそう言うとウィルはメリルさんに目を向けて駆け寄った。
やれやれ、そんな気持ちで立ち上がる。
「つい1週間前も転んだと言って泣きながら私の所に来て、次からはメリルさんに慰めて貰って下さいね。いつまでも貴方の世話ばかりしていられないのだから」
「う、うるさい!」
そうして真っ赤な顔で先程と違いキャンキャンと吠えてくるウィル。
「ウィルを泣かせるなんて酷い女!」
と泣きじゃくるウィルを慰めもせずウィルの腕に纏わり付いているメリルさん。
ああもう飽きてきたわねぇ。
「…そういえばメリルさん私に虐められていたとか仰っていませんでした?」
「そ、そうよ!すっごく怖かったんだからァ」
そうしてまたウィルに泣き付くメリルさん。
「今まで普通に話をしていたのにすぐに泣けるなんて…メリルさんそれはすごい才能ですわ!素晴らしいです、余程演技力がおありなんですねぇ」
私がそう言ってメリルさんを褒めると周りからは失笑が起こる。
クスクス、クスクス
途端にメリルさんは顔を真っ赤にしてウィルのように震えだした。
あらあらあらあらメリルさんも感激していらっしゃるのね。本当にお似合いのお二人だわ!
「っ!そ、そうやっていつも私に悪口を言って!本当に怖かったんですぅ!」
メリルさんがそう言うとウィルがこちらをキッと睨み付けて
「いい加減にメリルを虐めるのをやめろ!」
と指ささずにそう言った。
「あら、今度は指をささなかったわね、偉いわウィル。ちゃんと学習能力はあったのね」
「う、うるさい!そんな今更俺を褒めたってお前がメリルを虐めていたのは許さないぞ!」
「あらあら、困りましたわねぇ。私にはウィルを褒めた記憶もメリルさんを虐めた記憶も無いのですが…と言うかメリルさんと話をしたのも今日が初めてだと思うんですの。…もしかしてだけど私の記憶違い?どうも私は興味がない人との会話は覚えていないみたいですわ。もし、以前にお話してた事があったら…覚えていなくてごめんなさいね」
そうして私はおっとりと微笑んだ。
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