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「本当の事だ。諦めろトレバー」
静かな、だけど威厳のある声でその場に入って来たのは…。
「父上!」
そう、私達の話し合いの場に入って来たのはトレバーのお父様と私の父だった。
「お前がこんなに愚かだったとは」
「っ父上!それは誤解です」
「誤解?何が誤解だ?今のリアムの話も部屋の外で全て聞いていた。お前は父親になるべき人間では無かった…」
義父様のその言葉にトレバーは崩れ落ちるようにその場に座り込んだ。
実の父親にそんな事言われて流石にショックだったのだろうか。
「アシュリー…今まで本当に済まなかった」
「…いいえ」
「…リアム、お前にも辛い思いをさせたね」
「おじいさま」
「まだおじい様と呼んでくれるかい?」
「?」
「トレバーと別れても義父様はリアムの大好きなおじい様ですわ」
私がそう言うと「そうか」そう言って義父様はリアムをそっと抱き締めた。
「トレバー、あの会社はアシュリーに譲る」
「?!」
「何を驚いている、当然だ。あんな女に良いように会社の金を使わせるような奴に会社は任せられん」
「ですが!アシュリーには経営など出来ないでしょう!」
「…最早そんな事お前に心配される事では無いが言っておく。アシュリーはこの5年、お前が家族を蔑ろにし女の所に行っている間、領地の事、会社の事全て私に教えを乞いに来ていた」
「!」
夫は酷く驚いた顔をした。まぁ、当然かそんな事をしている事…夫には一言も言っていないもの。
「お前はあの会社で1社員として働きなさい」
「そんな!」
「何がそんなだ。平民に落とされたお前が他に出来る事があるのか?無一文で外にほおり出されないだけマシだと思え」
「そんな!そんな恥ずかしい事!父上は私にあの会社で恥を晒しながら働けと仰るのですか?」
「ふんっ、お前のした事が恥ずかしい事だと理解しているようだな。それで何故自分のした事が悪い事だと理解出来ん?…本当に自分の事ばかりだな。お前にはどれほど言葉を尽くしても伝わる気がせんわ……もういい連れて行け」
お父様がそう言うとどこから現れたのか1人の男性がトレバーを連れて行った。
「ありがとうございます義父様…あっもう義父様とは呼べませんね」
「……いや、アシュリーが構わないなら今まで通り義父様と…」
「はい。ありがとうございます」
そして私は部屋を出て行く義父様に頭を下げた。
「アシュリー!よく頑張ったな」
「お父様…」
泣きながら私に抱きついてくる。
「リアムの後見人の事、ありがとうございます」
「何を言ってるんだ!当たり前だろう。それよりも今まで力になってやれなくて済まなかった」
お父様のその言葉に普段滅多に泣いたりしないお母様も少し泣いているようだった。
随分心配かけていたんだわ。改めて親の有り難さを思い知る。
「侯爵家の事…リアムの事は私に任せなさい!お前は会社の方をしっかりやりなさい!」
「はい!」
私達の新たな道はここから始まる。
私達はやっと心の底から微笑み合った。
静かな、だけど威厳のある声でその場に入って来たのは…。
「父上!」
そう、私達の話し合いの場に入って来たのはトレバーのお父様と私の父だった。
「お前がこんなに愚かだったとは」
「っ父上!それは誤解です」
「誤解?何が誤解だ?今のリアムの話も部屋の外で全て聞いていた。お前は父親になるべき人間では無かった…」
義父様のその言葉にトレバーは崩れ落ちるようにその場に座り込んだ。
実の父親にそんな事言われて流石にショックだったのだろうか。
「アシュリー…今まで本当に済まなかった」
「…いいえ」
「…リアム、お前にも辛い思いをさせたね」
「おじいさま」
「まだおじい様と呼んでくれるかい?」
「?」
「トレバーと別れても義父様はリアムの大好きなおじい様ですわ」
私がそう言うと「そうか」そう言って義父様はリアムをそっと抱き締めた。
「トレバー、あの会社はアシュリーに譲る」
「?!」
「何を驚いている、当然だ。あんな女に良いように会社の金を使わせるような奴に会社は任せられん」
「ですが!アシュリーには経営など出来ないでしょう!」
「…最早そんな事お前に心配される事では無いが言っておく。アシュリーはこの5年、お前が家族を蔑ろにし女の所に行っている間、領地の事、会社の事全て私に教えを乞いに来ていた」
「!」
夫は酷く驚いた顔をした。まぁ、当然かそんな事をしている事…夫には一言も言っていないもの。
「お前はあの会社で1社員として働きなさい」
「そんな!」
「何がそんなだ。平民に落とされたお前が他に出来る事があるのか?無一文で外にほおり出されないだけマシだと思え」
「そんな!そんな恥ずかしい事!父上は私にあの会社で恥を晒しながら働けと仰るのですか?」
「ふんっ、お前のした事が恥ずかしい事だと理解しているようだな。それで何故自分のした事が悪い事だと理解出来ん?…本当に自分の事ばかりだな。お前にはどれほど言葉を尽くしても伝わる気がせんわ……もういい連れて行け」
お父様がそう言うとどこから現れたのか1人の男性がトレバーを連れて行った。
「ありがとうございます義父様…あっもう義父様とは呼べませんね」
「……いや、アシュリーが構わないなら今まで通り義父様と…」
「はい。ありがとうございます」
そして私は部屋を出て行く義父様に頭を下げた。
「アシュリー!よく頑張ったな」
「お父様…」
泣きながら私に抱きついてくる。
「リアムの後見人の事、ありがとうございます」
「何を言ってるんだ!当たり前だろう。それよりも今まで力になってやれなくて済まなかった」
お父様のその言葉に普段滅多に泣いたりしないお母様も少し泣いているようだった。
随分心配かけていたんだわ。改めて親の有り難さを思い知る。
「侯爵家の事…リアムの事は私に任せなさい!お前は会社の方をしっかりやりなさい!」
「はい!」
私達の新たな道はここから始まる。
私達はやっと心の底から微笑み合った。
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