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狩られる 1
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※この章は 柊視点になります。ご注意ください※
夏に打ち合わせだと言って、ある人に指定された場所へ向かう。
そこは、俺にとっては懐かしくもあり、二度と戻りたく無かった場所。
歓楽街にあるハプニングバー。
男女構わずヤリたいヤツらが集まって、適当な相手を見つけてそういう行為をする場所。
俺は昔、この場所で客を漁っていた。
年齢を偽って店に入り、誘ってきた男との事後に「実は未成年だった」と打ち明け、口止め料として金を払ってもらう、そんな事を繰り返していた。
相手が気に入ってくれれば、別の日にホテルでまた体を買ってもらう。
これが俺のウリの手段だった。
バーに入り、カウンターで約束の相手に言われた名前を告げると、バーの奥の個室へと通された。
待ち構えていたのは、夏が怪我をさせてしまった相手の父親。
俺の昔の客だった。
「待っていたよ。あの教師と違って、君はなかなか利口なようだ」
「長澤さん」
「思い出してくれたのか?」
「・・・ええ」
正直、忘れていたかったけど・・・
貰った名刺と、汚い記憶の中からなんとか引き摺り出して、このオヤジがどんなヤツだったかを思い出した。
「座りなさい」
丸いテーブルを囲む大きな半円形のソファに手を置いた長澤に、横に座るように促される。
俺はソファの中央に座る彼から離れた 端の方に腰を下ろす。
「ふん、経営者にもなると随分ふてぶてしくなるもんだな。必死で男の股ぐらに縋りついていた頃の君が懐かしい」
「思い出話をしに来たのではありませんよね。さっさと本題に入りませんか?」
「まあ待ちなさい。せっかくの運命の再会だったんだ。時間を有意義に使いたい」
客との再会が運命だというなら、俺には数え切れないくらいの運命がある。・・・そんなのを運命なんて呼んでたまるか。
「勘違いなさらないでください。息子に手を出さないと言う条件で最後に一度だけ、と仰るから来たんです」
「もちろん、約束は守るよ。あの頃の君は震えながらも一生懸命で可愛らしかった。だけど今の、洗練されて凛とした君も知りたくなってね。・・・もうそろそろかな」
ウイスキーが入ったグラスを口へ運びながら、長澤は腕時計をチラリと見る。
夏に手を出されるなんて冗談じゃない。
何故ならコイツは・・・
ドアが開き、部屋に入ってくるスーツ姿の中年男性が二人。
「揃ったな。懐かしい顔触れだろう?」
そう言われても、思い出せない。
いや、思い出したくない。
「ああ、そう言えば、三人同時に相手をするのは初めてかな?以前は二人が限界だったようだけど・・・もう立派な大人だから手加減はいらないだろう?」
気持ちの悪い薄ら笑いを浮かべて、長澤がジャケットを脱いでネクタイを緩めた。
それを見た他の二人も同じ様にスーツを脱ぎ始める。
「ミナト、お前も脱ぎなさい。それとも昔のように脱がせて欲しいか?」
コイツは、1人じゃ何もできない卑怯者だった。
こんなヤツらに、夏が何かされるなんて・・・考えただけで反吐が出る。
「自分で脱ぎます」
俺がまいた種で 夏を苦しめるなんて、もう二度としたくない。
夏に打ち合わせだと言って、ある人に指定された場所へ向かう。
そこは、俺にとっては懐かしくもあり、二度と戻りたく無かった場所。
歓楽街にあるハプニングバー。
男女構わずヤリたいヤツらが集まって、適当な相手を見つけてそういう行為をする場所。
俺は昔、この場所で客を漁っていた。
年齢を偽って店に入り、誘ってきた男との事後に「実は未成年だった」と打ち明け、口止め料として金を払ってもらう、そんな事を繰り返していた。
相手が気に入ってくれれば、別の日にホテルでまた体を買ってもらう。
これが俺のウリの手段だった。
バーに入り、カウンターで約束の相手に言われた名前を告げると、バーの奥の個室へと通された。
待ち構えていたのは、夏が怪我をさせてしまった相手の父親。
俺の昔の客だった。
「待っていたよ。あの教師と違って、君はなかなか利口なようだ」
「長澤さん」
「思い出してくれたのか?」
「・・・ええ」
正直、忘れていたかったけど・・・
貰った名刺と、汚い記憶の中からなんとか引き摺り出して、このオヤジがどんなヤツだったかを思い出した。
「座りなさい」
丸いテーブルを囲む大きな半円形のソファに手を置いた長澤に、横に座るように促される。
俺はソファの中央に座る彼から離れた 端の方に腰を下ろす。
「ふん、経営者にもなると随分ふてぶてしくなるもんだな。必死で男の股ぐらに縋りついていた頃の君が懐かしい」
「思い出話をしに来たのではありませんよね。さっさと本題に入りませんか?」
「まあ待ちなさい。せっかくの運命の再会だったんだ。時間を有意義に使いたい」
客との再会が運命だというなら、俺には数え切れないくらいの運命がある。・・・そんなのを運命なんて呼んでたまるか。
「勘違いなさらないでください。息子に手を出さないと言う条件で最後に一度だけ、と仰るから来たんです」
「もちろん、約束は守るよ。あの頃の君は震えながらも一生懸命で可愛らしかった。だけど今の、洗練されて凛とした君も知りたくなってね。・・・もうそろそろかな」
ウイスキーが入ったグラスを口へ運びながら、長澤は腕時計をチラリと見る。
夏に手を出されるなんて冗談じゃない。
何故ならコイツは・・・
ドアが開き、部屋に入ってくるスーツ姿の中年男性が二人。
「揃ったな。懐かしい顔触れだろう?」
そう言われても、思い出せない。
いや、思い出したくない。
「ああ、そう言えば、三人同時に相手をするのは初めてかな?以前は二人が限界だったようだけど・・・もう立派な大人だから手加減はいらないだろう?」
気持ちの悪い薄ら笑いを浮かべて、長澤がジャケットを脱いでネクタイを緩めた。
それを見た他の二人も同じ様にスーツを脱ぎ始める。
「ミナト、お前も脱ぎなさい。それとも昔のように脱がせて欲しいか?」
コイツは、1人じゃ何もできない卑怯者だった。
こんなヤツらに、夏が何かされるなんて・・・考えただけで反吐が出る。
「自分で脱ぎます」
俺がまいた種で 夏を苦しめるなんて、もう二度としたくない。
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