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翌朝
俺はひとり、柊さんのベッドで目を覚ます。
柊さんが眠ってしまった後、気持ち良さそうな寝顔を見ていたら、いつの間にか俺も眠っていたらしい。
昨日は色々ありすぎて、万里さんに言われるまま柊さんを抱いた事も、過去を聞いたことも、俺の腕の中で眠った彼のことも・・・夢だったんじゃないかと思ってしまう。
・・・柊さんのベッドなのに、本人いねーし・・・
しばらくそのまま横になっていると、部屋のドアが開いた音がした。
柊さんと顔を合わせるのがなんとなく恥ずかしくて、俺は目を瞑る。
「夏、まだ寝てる?」
ふわっとシャンプーの匂いがして、柊さんが近くにいる気配。
風呂入ってたのか。
・・・つーか、もしかして柊さん、俺の寝顔見てる・・・?
顔の近くにある気配がなかなか遠のかない。
やべー、目開けるタイミング完全に見失った。
「夏はほんとに、あの子なのか?あんな小さくて軽かったのに・・・・・・・・・」
・・・・・・・・・・・・
小さくて軽かったのに、なんだよ?
片目をうっすら開けてみると、顔を真っ赤にして恥ずかしそうに俺を見る柊さんと目が合ってしまった。
「あ!あー・・・夏、おはよ」
「おはようございます。風呂、入ってたんですか?」
「え?うん、そう。夏も入ってきな」
「なんで勝手に入っちゃうんですか?昨日寝ちゃった分、今日ヤるって言ったのに」
柊さんの顔が更に赤くなる。
「だっ・・・て、昨日は・・・万里に抱かれた後そのままだったし、少しでもキレイに・・・した方がいいと思って」
あー・・・もう・・・。
可愛いすぎかよ。
「ところで、『小さくて軽かった』俺がなんですか?」
「聞いてたのか!?ってゆーか起きてたのか?寝たフリしてるなんて狡いぞ!」
「ズルくないですよ。柊さんが勝手に喋ってたんじゃないですか。・・・で、なんなんです?」
「う・・・・・・あのチビがこんな男らしくなったなんて信じられない、って思っただけ!」
床に座ったままの柊さんは、ぼすっ、とベッドに顔を埋める。
「可愛いですね、柊さん」
まだ乾き切っていない柊さんの髪に指を通す様に頭を撫でると、恨めしそうな声が返ってくる。
「大人をからかうなよ。早く風呂入ってこい!」
「はいはい~」
ベッドから降りて部屋を出ようとした俺に、柊さんが呟く。
「ったく。可愛くない息子になっちゃったな」
息子・・・?
昨日あんな事して、あれだけの告白したのに、俺はまだ柊さんにとって息子以上になってないのか?
ムカついた俺は、床に座ってベッドに凭れている柊さんの胸ぐらを掴んで、ベッドに引き上げ覆い被さるようにキスをする。
「ん・・・っぅ・・・な・・・」
「息子にキスされてチンコ立たせるなんて、父親失格ですよ」
「っ!」
「風呂上がったらキス以上の事もするんで、待っててくださいね、お父さん」
「え・・・」
柊さんから離れて部屋を出る。
俺が『お父さん』って呼んだ時、傷付いたような顔したのは・・・気のせいかな・・・。
風呂から上がって自分の部屋に入ると、柊さんがベッドに座っていた。
「どうしたんです?息子の部屋に無断で入るなんて、初めてじゃないですか?」
「息子・・・じゃない」
柊さんはシーツをぎゅっと握りしめた。
「どうしたんですか、急に」
「さっき夏に、お父さん、って呼ばれて・・・なんか違うって思った」
違う?
「まあ・・・血も繋がってないし、親子ってほど歳も離れて無いですしね」
「そういう事じゃなくて・・・やっぱり夏の父親失格なのかもしれないなって」
俯いて声を震わせる。
「さっきのは・・・すみません。ちょっと意地悪過ぎましたね」
「そうじゃなくて!・・・夏の言う通り、父親は息子に欲情なんかしないだろ」
俯いたままの柊さんを床に膝まづいて見上げると、瞳いっぱいに涙を溜めていた。
「俺はっ、夏から家族を奪って・・・それなのに、夏に抱いて欲しいなんて思ってる。心から自分を軽蔑してるのに・・・、止められないんだ」
柊さんの涙が、俺の頬に落ちてくる。
「一緒に堕ちるって言ったじゃないですか。俺の事、信じられませんか?」
「・・・・・・」
返事はなくて、柊さんの瞳から零れてくる涙が俺の頬を濡らしていくだけ。
どうしたら、この人の闇を少しでも明るくしてあげられるんだろう。
俺は柊さんの手を強く握る。
「そうだ!柊さん、今日出掛けませんか?」
「え・・・セックスは・・・」
「帰ってきてからでもできますよ。昼は俺に付き合ってください」
俺はひとり、柊さんのベッドで目を覚ます。
柊さんが眠ってしまった後、気持ち良さそうな寝顔を見ていたら、いつの間にか俺も眠っていたらしい。
昨日は色々ありすぎて、万里さんに言われるまま柊さんを抱いた事も、過去を聞いたことも、俺の腕の中で眠った彼のことも・・・夢だったんじゃないかと思ってしまう。
・・・柊さんのベッドなのに、本人いねーし・・・
しばらくそのまま横になっていると、部屋のドアが開いた音がした。
柊さんと顔を合わせるのがなんとなく恥ずかしくて、俺は目を瞑る。
「夏、まだ寝てる?」
ふわっとシャンプーの匂いがして、柊さんが近くにいる気配。
風呂入ってたのか。
・・・つーか、もしかして柊さん、俺の寝顔見てる・・・?
顔の近くにある気配がなかなか遠のかない。
やべー、目開けるタイミング完全に見失った。
「夏はほんとに、あの子なのか?あんな小さくて軽かったのに・・・・・・・・・」
・・・・・・・・・・・・
小さくて軽かったのに、なんだよ?
片目をうっすら開けてみると、顔を真っ赤にして恥ずかしそうに俺を見る柊さんと目が合ってしまった。
「あ!あー・・・夏、おはよ」
「おはようございます。風呂、入ってたんですか?」
「え?うん、そう。夏も入ってきな」
「なんで勝手に入っちゃうんですか?昨日寝ちゃった分、今日ヤるって言ったのに」
柊さんの顔が更に赤くなる。
「だっ・・・て、昨日は・・・万里に抱かれた後そのままだったし、少しでもキレイに・・・した方がいいと思って」
あー・・・もう・・・。
可愛いすぎかよ。
「ところで、『小さくて軽かった』俺がなんですか?」
「聞いてたのか!?ってゆーか起きてたのか?寝たフリしてるなんて狡いぞ!」
「ズルくないですよ。柊さんが勝手に喋ってたんじゃないですか。・・・で、なんなんです?」
「う・・・・・・あのチビがこんな男らしくなったなんて信じられない、って思っただけ!」
床に座ったままの柊さんは、ぼすっ、とベッドに顔を埋める。
「可愛いですね、柊さん」
まだ乾き切っていない柊さんの髪に指を通す様に頭を撫でると、恨めしそうな声が返ってくる。
「大人をからかうなよ。早く風呂入ってこい!」
「はいはい~」
ベッドから降りて部屋を出ようとした俺に、柊さんが呟く。
「ったく。可愛くない息子になっちゃったな」
息子・・・?
昨日あんな事して、あれだけの告白したのに、俺はまだ柊さんにとって息子以上になってないのか?
ムカついた俺は、床に座ってベッドに凭れている柊さんの胸ぐらを掴んで、ベッドに引き上げ覆い被さるようにキスをする。
「ん・・・っぅ・・・な・・・」
「息子にキスされてチンコ立たせるなんて、父親失格ですよ」
「っ!」
「風呂上がったらキス以上の事もするんで、待っててくださいね、お父さん」
「え・・・」
柊さんから離れて部屋を出る。
俺が『お父さん』って呼んだ時、傷付いたような顔したのは・・・気のせいかな・・・。
風呂から上がって自分の部屋に入ると、柊さんがベッドに座っていた。
「どうしたんです?息子の部屋に無断で入るなんて、初めてじゃないですか?」
「息子・・・じゃない」
柊さんはシーツをぎゅっと握りしめた。
「どうしたんですか、急に」
「さっき夏に、お父さん、って呼ばれて・・・なんか違うって思った」
違う?
「まあ・・・血も繋がってないし、親子ってほど歳も離れて無いですしね」
「そういう事じゃなくて・・・やっぱり夏の父親失格なのかもしれないなって」
俯いて声を震わせる。
「さっきのは・・・すみません。ちょっと意地悪過ぎましたね」
「そうじゃなくて!・・・夏の言う通り、父親は息子に欲情なんかしないだろ」
俯いたままの柊さんを床に膝まづいて見上げると、瞳いっぱいに涙を溜めていた。
「俺はっ、夏から家族を奪って・・・それなのに、夏に抱いて欲しいなんて思ってる。心から自分を軽蔑してるのに・・・、止められないんだ」
柊さんの涙が、俺の頬に落ちてくる。
「一緒に堕ちるって言ったじゃないですか。俺の事、信じられませんか?」
「・・・・・・」
返事はなくて、柊さんの瞳から零れてくる涙が俺の頬を濡らしていくだけ。
どうしたら、この人の闇を少しでも明るくしてあげられるんだろう。
俺は柊さんの手を強く握る。
「そうだ!柊さん、今日出掛けませんか?」
「え・・・セックスは・・・」
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