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happy wedding 2
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「さんきゅー」
ブーケを手に取り微笑む涼太は、今日の主役である美織さんよりも綺麗だ、と思う。
「青って何気ロマンチストだよな・・・オレなんかに惚れてなかったら、絶対モテてたのにな。もったいない」
俺が涼太に惚れてなかったら、絶対モテてたのはお前の方だと思うけどな。・・・涼太の恋路を邪魔してたのは俺だし。
「その分、涼太が幸せにしてくれるんだろ?」
「もちろん。・・・あ!そう言えばさ、男どうしでも妊娠できるらしいぞ!」
は?
「なんかー、オレたちは『べーた』っていうらしい。んで、『おめが』っていうのになれれば妊娠できるんだって」
は??
「『べーた』でも、突然『おめが』になる可能性もあるから、望みを捨てんなって言われた」
は?え?・・・涼太何言い出しちゃってんの?
・・・・・・もしかして
「なあ、それって誰に・・・」
「あさみさん」
やっぱり!!
「あのな、涼太・・・それって、あさみさんお得意のBLの・・・」
無表情に戻った涼太の瞳だけが、キラキラと輝いて・・・希望に満ち溢れているのがわかる。
どこまでバカなの?そんな人、現実に見たことあんの?
ねえ涼太くん、マジで大人なんだよね?
「涼太、いいかよく聞け。それ多分あさみさんの・・・」
願望なだけだから、と言いかけて・・・
「『ひーと』、オレにも来るかな?」
涼太の瞳があまりにも純粋に輝き過ぎている・・・!
・・・言えねー・・・。
こんなに無垢な涼太に言えるわけない。それ、BLの架空設定だぞ、なんて・・・
「オレ 青に何回もうなじ噛まれてるから、青とオレは『つがい』なんだって、そんでそんで・・・」
ブーケを抱えたまま、涼太はあさみさんから仕入れた知識を一生懸命俺に語る。
「青が医者でよかった~!『よくせいざい』処方してくれよな!」
つーか、俺、専修外科だし関係ねぇだろ多分。じゃねぇ!
「オレ、青のために『おめが』になれるように頑張るからな!妊娠、できるといいな~」
「あ、うん。ソウダネ・・・」
あさみさん、壮大な誤爆すんなよマジで・・・。
美織さんの結婚式の日に、涼太は何を語って俺は何を聞かされてんだ。まったく・・・。
披露宴も無事に終わり、夫婦揃って医師である美織さん達は、その足で短い新婚旅行のため空港へと向かって行った。
「なあ、青?・・・明日、仕事だよな?」
式場からの帰り、タクシーの中、膝の上にのせた指を涼太がぎゅっと握ってくる。
「仕事だけど。どうした?」
「・・・うん、あのさ・・・なんか・・・来たかも」
来た?何が?
「『ひーと』・・・」
「はあ!?」
来るはずねーだろ!そんなもん・・・
思わず涼太の顔を見ると、虚ろな目で呼吸を荒らげて、頬は真っ赤に上気していた。
「『ひーと』になると『おめが』は『あるふぁ』の精子が欲しくて堪らなくなるって・・・だから・・・絶対そう」
頼むからその呪文みたいな言葉を並べるのはやめてくれ。
つーかそれ、酒飲み過ぎて酔っ払ってるだけだろうが!
「おれ・・・あおのせーし、欲しい」
酔っ払って大胆になっている涼太は、タクシーの中だというのに、俺の首に手を掛けて自分の方へ引き倒そうとしてくる。
ちょいちょいちょい!ドライバーさんがバックミラー越しにめっちゃ見てるし!
「青のせーし、いっぱいいっぱい欲しいから・・・寝かせてやれないかも・・・『ひーと』だから」
「イヤ、涼太それ絶対違うから。そもそも何だよ、ひーとって!」
涼太の腕を外そうと試みるが、更に強い力でしがみついて来て離れようとしない。
可愛い。どちゃクソ可愛いけど・・・。真実を教えた方がいいなこれ。
「あのな、その、ひーとだかミートだか、おめがだかガメラだか知らねぇけど、それ作りもんだぞ、きっと」
「青はっ、オレとのこども、欲しくねーの?ずっと気になってた・・・・・・オレは、限りなくゼロに近い可能性でも信じてんの!青のためならできるって!」
限りなくゼロに近いどころか、可能性はゼロなんだけど・・・。
「涼太のこどもが欲しくないわけ無いだろ。けどな、男女でも難しいケースだって珍しくないんだ。子供ができるって涼太が信じてるなら、俺も信じるから。だから焦んなくていい」
「・・・うん」
こんな非現実的な話に付き合うなんて、我ながらどうかしてるな。
ブーケを手に取り微笑む涼太は、今日の主役である美織さんよりも綺麗だ、と思う。
「青って何気ロマンチストだよな・・・オレなんかに惚れてなかったら、絶対モテてたのにな。もったいない」
俺が涼太に惚れてなかったら、絶対モテてたのはお前の方だと思うけどな。・・・涼太の恋路を邪魔してたのは俺だし。
「その分、涼太が幸せにしてくれるんだろ?」
「もちろん。・・・あ!そう言えばさ、男どうしでも妊娠できるらしいぞ!」
は?
「なんかー、オレたちは『べーた』っていうらしい。んで、『おめが』っていうのになれれば妊娠できるんだって」
は??
「『べーた』でも、突然『おめが』になる可能性もあるから、望みを捨てんなって言われた」
は?え?・・・涼太何言い出しちゃってんの?
・・・・・・もしかして
「なあ、それって誰に・・・」
「あさみさん」
やっぱり!!
「あのな、涼太・・・それって、あさみさんお得意のBLの・・・」
無表情に戻った涼太の瞳だけが、キラキラと輝いて・・・希望に満ち溢れているのがわかる。
どこまでバカなの?そんな人、現実に見たことあんの?
ねえ涼太くん、マジで大人なんだよね?
「涼太、いいかよく聞け。それ多分あさみさんの・・・」
願望なだけだから、と言いかけて・・・
「『ひーと』、オレにも来るかな?」
涼太の瞳があまりにも純粋に輝き過ぎている・・・!
・・・言えねー・・・。
こんなに無垢な涼太に言えるわけない。それ、BLの架空設定だぞ、なんて・・・
「オレ 青に何回もうなじ噛まれてるから、青とオレは『つがい』なんだって、そんでそんで・・・」
ブーケを抱えたまま、涼太はあさみさんから仕入れた知識を一生懸命俺に語る。
「青が医者でよかった~!『よくせいざい』処方してくれよな!」
つーか、俺、専修外科だし関係ねぇだろ多分。じゃねぇ!
「オレ、青のために『おめが』になれるように頑張るからな!妊娠、できるといいな~」
「あ、うん。ソウダネ・・・」
あさみさん、壮大な誤爆すんなよマジで・・・。
美織さんの結婚式の日に、涼太は何を語って俺は何を聞かされてんだ。まったく・・・。
披露宴も無事に終わり、夫婦揃って医師である美織さん達は、その足で短い新婚旅行のため空港へと向かって行った。
「なあ、青?・・・明日、仕事だよな?」
式場からの帰り、タクシーの中、膝の上にのせた指を涼太がぎゅっと握ってくる。
「仕事だけど。どうした?」
「・・・うん、あのさ・・・なんか・・・来たかも」
来た?何が?
「『ひーと』・・・」
「はあ!?」
来るはずねーだろ!そんなもん・・・
思わず涼太の顔を見ると、虚ろな目で呼吸を荒らげて、頬は真っ赤に上気していた。
「『ひーと』になると『おめが』は『あるふぁ』の精子が欲しくて堪らなくなるって・・・だから・・・絶対そう」
頼むからその呪文みたいな言葉を並べるのはやめてくれ。
つーかそれ、酒飲み過ぎて酔っ払ってるだけだろうが!
「おれ・・・あおのせーし、欲しい」
酔っ払って大胆になっている涼太は、タクシーの中だというのに、俺の首に手を掛けて自分の方へ引き倒そうとしてくる。
ちょいちょいちょい!ドライバーさんがバックミラー越しにめっちゃ見てるし!
「青のせーし、いっぱいいっぱい欲しいから・・・寝かせてやれないかも・・・『ひーと』だから」
「イヤ、涼太それ絶対違うから。そもそも何だよ、ひーとって!」
涼太の腕を外そうと試みるが、更に強い力でしがみついて来て離れようとしない。
可愛い。どちゃクソ可愛いけど・・・。真実を教えた方がいいなこれ。
「あのな、その、ひーとだかミートだか、おめがだかガメラだか知らねぇけど、それ作りもんだぞ、きっと」
「青はっ、オレとのこども、欲しくねーの?ずっと気になってた・・・・・・オレは、限りなくゼロに近い可能性でも信じてんの!青のためならできるって!」
限りなくゼロに近いどころか、可能性はゼロなんだけど・・・。
「涼太のこどもが欲しくないわけ無いだろ。けどな、男女でも難しいケースだって珍しくないんだ。子供ができるって涼太が信じてるなら、俺も信じるから。だから焦んなくていい」
「・・・うん」
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