上 下
159 / 210

大人の余裕 4

しおりを挟む
バタン
 玄関のドアを閉めてすぐに、俺は涼太のコートを脱がせて、ワンピースの背中のファスナーを下ろす。

「あ、青!脱ぐのは部屋入ってからでいいだろ!」

「ここで脱げよ。早く男に戻れ」

「なんだよ。この前は女のカッコのままとか言ってたくせに」

 文句を言いながら涼太は、ウィッグを外して髪を両手でバサバサさせる。

「ぶっ!ううっ痛い痛い痛い痛い!」

 脱がせたワンピースで涼太の顔を擦って無理矢理化粧を落とす。

「もー!雑!嫌なら洗ってくるのに!」

「待てない」

 下着一枚にして廊下に押し倒し、深く舌を絡ませながら、下着の中に手を入れ前を強めに弄ると、すぐに先端の小さな穴から涎を垂らす涼太。
 それを掬って後ろに塗り付ける。

「青、待て。こ、ここで?」

「どこでヤったって、涼太が気持ちいいのには変わりねーんだから黙ってされてろよ。入れるぞ」

「え!?もう!?ちょ、ま、・・・っ、いってぇっ」

 解れていない所に無理矢理押し進むと、涼太は体を震わせながら、床についた俺の腕を爪が食い込むほど強く掴む。

「痛い?前、垂らしっぱなしだけど?」

「痛い!ほんとっ今日、雑!」

 優しくする余裕なんか、無い。
 涼太が俺だけに乱れる姿を一秒でも早く見たい。

 ゆっくり抜き差しを繰り返すと、痛みに引き攣っていた涼太の表情がだんだん緩んで、瞳が潤んでくる。

「そこ、じゃ・・・な、くて・・・」

 一番感じるところを避けて動くと、涼太は自分から腰を揺らした。その動きに応えずに、俺は前後させる速度を落とす。

「や・・・、あお・・・」

「なに?」

「わか、てるっ、くせ・・・に」

 わかってるよ。そこに欲しいって事くらい。

「涼太。ごめんって言って?キスされたこと」

「え?や、っぱ、怒ってん、じゃん・・・」

「悪いと思ってんなら言えよ」

「・・・ごめん」

 それでも涼太の欲しい所を刺激しないように動く。

「あおっ、なあ、も・・・ぉ、おねが・・・」

「お願い、じゃなくて、ごめんなさい、だろ?」

「う・・・、っ」

 涼太の瞳から涙が零れる。

「ご、ごめ・・・な、さい」

「聞こえない」

「ごめん・・・、なさ、い」

「もっとちゃんと言えよ」

「ごめんなさい!」

 ハッキリとした言葉を聞いて、俺は涼太の望む所を自分の先で擦るように責める。

「んっ、・・・あ、あっ・・・」

「涼太、気持ちよくなってないで、ちゃんと謝れよ。俺、めちゃくちゃ傷付いてんだけど」

「あ、あ・・・ごめ、んっ・・・なさ、あっ」

「もっと。じゃないと許せねぇ」

「ごめんなさいっ、ん・・・っ、ごめ・・・」

 俺に許されたくて、ぐちゃぐちゃに感じながらもひたすら謝る涼太。
 そんな涼太を見て満たされてるなんて、ほんとどうしようもねぇな、俺。

 やっぱり俺は涼太の事になると、余裕なんかなくなってただの情けない小心者だ。

 あの頃より大人になろうが、医者になろうがそれはきっと変わらない。

「涼太」

『俺がこんなでも、涼太はずっと好きでいてくれんの?』
 
 俺は言いかけた言葉を飲み込むように、涼太の首筋に強く歯を立てた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

僕達の過ち

真田晃
BL
『鈴、好きだ』 『…ん、僕も……』 『なら、一緒に遠くへ行こうか……』 まだ中学生の僕達は ……駆け落ちした その先には、夢のような生活が待っていると思っていた… でもそれは、浅はかな考えだったと 直ぐに思い知らされた

TS陸上防衛隊 〝装脚機〟隊の異世界ストラテジー

EPIC
SF
陸上防衛隊のTS美少女部隊(正体は人相悪い兄ちゃん等)と装脚機(ロボット歩行戦車)、剣と魔法とモンスターの異世界へ―― 本編11話&設定1話で完結。

たまには働かないと、格好がつかないし、ね?

氷室ゆうり
恋愛
さて、今回は異形化、というか融合系ですね。少しばかり男体化要素もあるかなぁ?杏理君はなんだかんだ私の小説では頑張ってくれます。ちょっとばかり苦手な人もいるかもしれませんが、なるべくマイルドに書いたつもりです。…たぶん。 ああ、ダークにはしていないのでそこはご安心ください。 今回も、r18です。 それでは!

どいつもこいつもかかって来やがれ4th season

pino
BL
頭悪し口悪しのヤンキー絶体絶命!?夏休み中に伊織と浮気をしてしまったが、その時の現場を何者かに盗撮されていて、浮気シーンが写った数々の写真が学校中にばら撒かれてしまう。新学期早々生徒指導室に呼び出されて、今度こそ退学か!?面倒くさがりな貴哉に今回降りかかる面倒事は過去最大級だった。 「誰だよ犯人!見つけ出してぶん殴ってやる!」 出席日数ギリギリの貴哉は無事退学を免れる事が出来るのか!? 他にも球技大会もある二学期編スタートです! 青春ドタバタラブコメディ。 貴哉総受け。総愛され。 他にもカップル出てきます。 BLです。 今回の表紙は、学校一の問題児の一条紘夢くんです。 こちらは4th seasonとなっております。 前作の続きとなっておりますので、より楽しみたい方は、完結している『どいつもこいつもかかって来やがれ』『どいつもこいつもかかって来やがれ2nd season』『どいつもこいつもかかって来やがれ3rd season』を先にお読み下さい。 貴哉視点の話です。 ※印がついている話は貴哉以外の視点での話になってます。 今作は途中、視点が色々な人物に変わる時があります。読みにくくなってしまうかもですが、ご了承ください( ; ; )

気弱な男子と強気な女性が入れ替わる話。

氷室ゆうり
恋愛
うーん、最近人気がちょっぴり減ったかもですね。鉄板の入れ替わりで逆転を図ります! 男女の入れ替わりは大人気なはずなので、今後に期待します! ああ、r18ですので、どうぞよろしく! それでは!

ゲイの修羅場に鉢合わせてしまいまして。

ミヒロ
BL
大学も休みの昼下がり。カフェで優雅に過ごしていた孝介は隣の席のゲイの修羅場に鉢合わせ。見て見ぬふりしていよう、と考えていた筈なのに。 ※表紙イラスト as-AIart- 様(素敵なイラストありがとうございます!)

キセキなんか滅んでしまえ!〜ようやくドロドロに溶けた肉体が戻ったと思ったら、美少女と肉体が入れ替わっている〜

マグローK
青春
 かつて体が溶ける不運に見舞われたぼっち体質の主人公遠谷メイト(とおたにめいと)は、クラスだけでなく学校でも浮いている美少女、成山タレカ(なりやまたれか)と肉体が入れ替わってしまう!  過去の伝手を頼り、今回も本人の願いが歪んだ形で叶ってしまうキセキだと判明。  願いを処理してタレカを元の体に戻るため、メイトはタレカの願いを叶えようと奔走する。  果たして、二人は元の体に戻れるのか!? この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません この小説は他サイトでも投稿しています。

菊松と兵衛

七海美桜
BL
陰間茶屋「松葉屋」で働く菊松は、そろそろ引退を考えていた。そんな折、怪我をしてしまった菊松は馴染みである兵衛に自分の代わりの少年を紹介する。そうして、静かに去ろうとしていたのだが…。※一部性的表現を暗喩している箇所はありますので閲覧にはお気を付けください。

処理中です...