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大人の余裕 3

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「外のライトが邪魔ね・・・」

「・・・なあ、俺たち何やってんの?」

ーー観覧車が一望できるショッピングモール内で、双眼鏡を構えるあさみと、望遠レンズ装備のカメラを構える雄大。

「うるさい。ちゃんと撮れたの?」

「一応」

ーー雄大からカメラをもぎ取り、あさみが確認する。

「まあまあね。でもやっぱり、オトコの娘じゃ萌えないわ。せっかくの誘い受なのに・・・。今日は不発ね」

「おまえ、盗撮は犯罪だぞ」

「失礼ね!ちゃんと本人から許可もらってるわよ」

ーー涼太と青が観覧車から降りたのを確認して、あさみは双眼鏡とカメラをバッグにしまう。

「同居人に知らせたの、おまえか?」

「そうよ。私が小林くんのメイクしたんだから!騙されたでしょ?」

「・・・まあな。つーか、騙すつもりなら邪魔しに来るなよ」

「青くんは嫉妬深いから、なんか面白いことにならないかと期待したんだけど・・・ダメだわ。今の女装した小林くんじゃ萌えない・・・」

ーーあさみはがっくりと肩を落とす。

「俺はかなり萌えたけどな。いっそ本物の女になって欲しいくらいだよ」

「ちょっと佐々木。あんたはただの当て馬的存在でしょ。立場をわきまえなさいよ」

「当て馬、ねぇ」

「小林くんは青くんじゃないとダメなの!もちろん男としてね!」

「当て馬が本気出したらどうなんのかね?」

「本命は決まってるの!勝てるわけないわ」

「そーかな?あの本命くん、涼太に入れこみすぎて、周り見えてなさそうだけどな」

ーー涼太に手を引かれて歩く青をガラス越しに見下ろす雄大。

「そこがあのふたりのいい所なのよ!そういう所が萌えポイントなの!」

「・・・なるほどね」

ーー鼻息を荒くするあさみを、呆れた表情で雄大が見る。

「にしても、涼太がキレてるとこ初めて見たな」

「あんた何やらかしたのよ。まさか、この短時間で手出したんじゃないでしょうね?」

「はは。あんなん手出したうちに入らねーよ」

「信じらんない!触るなって言ったでしょ!小林くんが汚れるわ!」

 あんなキス、子供じゃないんだからどうってことないだろ。
 それよりも、涼太の目が鋭くなった時、最高にかわいかったな。
 それに、涼太を連れて歩いた時の周囲のヤツらからの羨望の眼差し。優越感が半端なかった。
 あれだけ綺麗なら注目されて当然か。

「涼太のせいで俺、バイになっちゃいそうだわ」

「どーぞご自由に。どうせ散々女と遊んできて飽きちゃってるんでしょ?言っとくけど、私、あんたじゃ萌えないから、あの二人に関係無いところでやってよね」

「冷たいな~。相変わらず。俺がどんだけ誘っても靡かなかったもんな~あさみだけは。俺と涼太のカラミ見たくない?最後まで思う存分見学させてやるのに」

「そういう余裕ぶったチャラい所が嫌いなのよ」

ーーあさみは雄大を横目で睨む。

「余裕ぶってんじゃないんだよ。余裕なんだって」

「くっだらない。帰るわ。じゃあね」

ーー雄大を残し、あさみは颯爽と帰って行く。

 腐ってなきゃいい女なんだけどな、マジで。

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