158 / 210
大人の余裕 3
しおりを挟む
「外のライトが邪魔ね・・・」
「・・・なあ、俺たち何やってんの?」
ーー観覧車が一望できるショッピングモール内で、双眼鏡を構えるあさみと、望遠レンズ装備のカメラを構える雄大。
「うるさい。ちゃんと撮れたの?」
「一応」
ーー雄大からカメラをもぎ取り、あさみが確認する。
「まあまあね。でもやっぱり、オトコの娘じゃ萌えないわ。せっかくの誘い受なのに・・・。今日は不発ね」
「おまえ、盗撮は犯罪だぞ」
「失礼ね!ちゃんと本人から許可もらってるわよ」
ーー涼太と青が観覧車から降りたのを確認して、あさみは双眼鏡とカメラをバッグにしまう。
「同居人に知らせたの、おまえか?」
「そうよ。私が小林くんのメイクしたんだから!騙されたでしょ?」
「・・・まあな。つーか、騙すつもりなら邪魔しに来るなよ」
「青くんは嫉妬深いから、なんか面白いことにならないかと期待したんだけど・・・ダメだわ。今の女装した小林くんじゃ萌えない・・・」
ーーあさみはがっくりと肩を落とす。
「俺はかなり萌えたけどな。いっそ本物の女になって欲しいくらいだよ」
「ちょっと佐々木。あんたはただの当て馬的存在でしょ。立場をわきまえなさいよ」
「当て馬、ねぇ」
「小林くんは青くんじゃないとダメなの!もちろん男としてね!」
「当て馬が本気出したらどうなんのかね?」
「本命は決まってるの!勝てるわけないわ」
「そーかな?あの本命くん、涼太に入れこみすぎて、周り見えてなさそうだけどな」
ーー涼太に手を引かれて歩く青をガラス越しに見下ろす雄大。
「そこがあのふたりのいい所なのよ!そういう所が萌えポイントなの!」
「・・・なるほどね」
ーー鼻息を荒くするあさみを、呆れた表情で雄大が見る。
「にしても、涼太がキレてるとこ初めて見たな」
「あんた何やらかしたのよ。まさか、この短時間で手出したんじゃないでしょうね?」
「はは。あんなん手出したうちに入らねーよ」
「信じらんない!触るなって言ったでしょ!小林くんが汚れるわ!」
あんなキス、子供じゃないんだからどうってことないだろ。
それよりも、涼太の目が鋭くなった時、最高にかわいかったな。
それに、涼太を連れて歩いた時の周囲のヤツらからの羨望の眼差し。優越感が半端なかった。
あれだけ綺麗なら注目されて当然か。
「涼太のせいで俺、バイになっちゃいそうだわ」
「どーぞご自由に。どうせ散々女と遊んできて飽きちゃってるんでしょ?言っとくけど、私、あんたじゃ萌えないから、あの二人に関係無いところでやってよね」
「冷たいな~。相変わらず。俺がどんだけ誘っても靡かなかったもんな~あさみだけは。俺と涼太のカラミ見たくない?最後まで思う存分見学させてやるのに」
「そういう余裕ぶったチャラい所が嫌いなのよ」
ーーあさみは雄大を横目で睨む。
「余裕ぶってんじゃないんだよ。余裕なんだって」
「くっだらない。帰るわ。じゃあね」
ーー雄大を残し、あさみは颯爽と帰って行く。
腐ってなきゃいい女なんだけどな、マジで。
「・・・なあ、俺たち何やってんの?」
ーー観覧車が一望できるショッピングモール内で、双眼鏡を構えるあさみと、望遠レンズ装備のカメラを構える雄大。
「うるさい。ちゃんと撮れたの?」
「一応」
ーー雄大からカメラをもぎ取り、あさみが確認する。
「まあまあね。でもやっぱり、オトコの娘じゃ萌えないわ。せっかくの誘い受なのに・・・。今日は不発ね」
「おまえ、盗撮は犯罪だぞ」
「失礼ね!ちゃんと本人から許可もらってるわよ」
ーー涼太と青が観覧車から降りたのを確認して、あさみは双眼鏡とカメラをバッグにしまう。
「同居人に知らせたの、おまえか?」
「そうよ。私が小林くんのメイクしたんだから!騙されたでしょ?」
「・・・まあな。つーか、騙すつもりなら邪魔しに来るなよ」
「青くんは嫉妬深いから、なんか面白いことにならないかと期待したんだけど・・・ダメだわ。今の女装した小林くんじゃ萌えない・・・」
ーーあさみはがっくりと肩を落とす。
「俺はかなり萌えたけどな。いっそ本物の女になって欲しいくらいだよ」
「ちょっと佐々木。あんたはただの当て馬的存在でしょ。立場をわきまえなさいよ」
「当て馬、ねぇ」
「小林くんは青くんじゃないとダメなの!もちろん男としてね!」
「当て馬が本気出したらどうなんのかね?」
「本命は決まってるの!勝てるわけないわ」
「そーかな?あの本命くん、涼太に入れこみすぎて、周り見えてなさそうだけどな」
ーー涼太に手を引かれて歩く青をガラス越しに見下ろす雄大。
「そこがあのふたりのいい所なのよ!そういう所が萌えポイントなの!」
「・・・なるほどね」
ーー鼻息を荒くするあさみを、呆れた表情で雄大が見る。
「にしても、涼太がキレてるとこ初めて見たな」
「あんた何やらかしたのよ。まさか、この短時間で手出したんじゃないでしょうね?」
「はは。あんなん手出したうちに入らねーよ」
「信じらんない!触るなって言ったでしょ!小林くんが汚れるわ!」
あんなキス、子供じゃないんだからどうってことないだろ。
それよりも、涼太の目が鋭くなった時、最高にかわいかったな。
それに、涼太を連れて歩いた時の周囲のヤツらからの羨望の眼差し。優越感が半端なかった。
あれだけ綺麗なら注目されて当然か。
「涼太のせいで俺、バイになっちゃいそうだわ」
「どーぞご自由に。どうせ散々女と遊んできて飽きちゃってるんでしょ?言っとくけど、私、あんたじゃ萌えないから、あの二人に関係無いところでやってよね」
「冷たいな~。相変わらず。俺がどんだけ誘っても靡かなかったもんな~あさみだけは。俺と涼太のカラミ見たくない?最後まで思う存分見学させてやるのに」
「そういう余裕ぶったチャラい所が嫌いなのよ」
ーーあさみは雄大を横目で睨む。
「余裕ぶってんじゃないんだよ。余裕なんだって」
「くっだらない。帰るわ。じゃあね」
ーー雄大を残し、あさみは颯爽と帰って行く。
腐ってなきゃいい女なんだけどな、マジで。
0
お気に入りに追加
285
あなたにおすすめの小説
僕達の過ち
真田晃
BL
『鈴、好きだ』
『…ん、僕も……』
『なら、一緒に遠くへ行こうか……』
まだ中学生の僕達は
……駆け落ちした
その先には、夢のような生活が待っていると思っていた…
でもそれは、浅はかな考えだったと
直ぐに思い知らされた
TS陸上防衛隊 〝装脚機〟隊の異世界ストラテジー
EPIC
SF
陸上防衛隊のTS美少女部隊(正体は人相悪い兄ちゃん等)と装脚機(ロボット歩行戦車)、剣と魔法とモンスターの異世界へ――
本編11話&設定1話で完結。
たまには働かないと、格好がつかないし、ね?
氷室ゆうり
恋愛
さて、今回は異形化、というか融合系ですね。少しばかり男体化要素もあるかなぁ?杏理君はなんだかんだ私の小説では頑張ってくれます。ちょっとばかり苦手な人もいるかもしれませんが、なるべくマイルドに書いたつもりです。…たぶん。
ああ、ダークにはしていないのでそこはご安心ください。
今回も、r18です。
それでは!
どいつもこいつもかかって来やがれ4th season
pino
BL
頭悪し口悪しのヤンキー絶体絶命!?夏休み中に伊織と浮気をしてしまったが、その時の現場を何者かに盗撮されていて、浮気シーンが写った数々の写真が学校中にばら撒かれてしまう。新学期早々生徒指導室に呼び出されて、今度こそ退学か!?面倒くさがりな貴哉に今回降りかかる面倒事は過去最大級だった。
「誰だよ犯人!見つけ出してぶん殴ってやる!」
出席日数ギリギリの貴哉は無事退学を免れる事が出来るのか!?
他にも球技大会もある二学期編スタートです!
青春ドタバタラブコメディ。
貴哉総受け。総愛され。
他にもカップル出てきます。
BLです。
今回の表紙は、学校一の問題児の一条紘夢くんです。
こちらは4th seasonとなっております。
前作の続きとなっておりますので、より楽しみたい方は、完結している『どいつもこいつもかかって来やがれ』『どいつもこいつもかかって来やがれ2nd season』『どいつもこいつもかかって来やがれ3rd season』を先にお読み下さい。
貴哉視点の話です。
※印がついている話は貴哉以外の視点での話になってます。
今作は途中、視点が色々な人物に変わる時があります。読みにくくなってしまうかもですが、ご了承ください( ; ; )
気弱な男子と強気な女性が入れ替わる話。
氷室ゆうり
恋愛
うーん、最近人気がちょっぴり減ったかもですね。鉄板の入れ替わりで逆転を図ります!
男女の入れ替わりは大人気なはずなので、今後に期待します!
ああ、r18ですので、どうぞよろしく!
それでは!
ゲイの修羅場に鉢合わせてしまいまして。
ミヒロ
BL
大学も休みの昼下がり。カフェで優雅に過ごしていた孝介は隣の席のゲイの修羅場に鉢合わせ。見て見ぬふりしていよう、と考えていた筈なのに。
※表紙イラスト as-AIart- 様(素敵なイラストありがとうございます!)
キセキなんか滅んでしまえ!〜ようやくドロドロに溶けた肉体が戻ったと思ったら、美少女と肉体が入れ替わっている〜
マグローK
青春
かつて体が溶ける不運に見舞われたぼっち体質の主人公遠谷メイト(とおたにめいと)は、クラスだけでなく学校でも浮いている美少女、成山タレカ(なりやまたれか)と肉体が入れ替わってしまう!
過去の伝手を頼り、今回も本人の願いが歪んだ形で叶ってしまうキセキだと判明。
願いを処理してタレカを元の体に戻るため、メイトはタレカの願いを叶えようと奔走する。
果たして、二人は元の体に戻れるのか!?
この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません
この小説は他サイトでも投稿しています。
菊松と兵衛
七海美桜
BL
陰間茶屋「松葉屋」で働く菊松は、そろそろ引退を考えていた。そんな折、怪我をしてしまった菊松は馴染みである兵衛に自分の代わりの少年を紹介する。そうして、静かに去ろうとしていたのだが…。※一部性的表現を暗喩している箇所はありますので閲覧にはお気を付けください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる