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不測の事態 2
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「上海、行く気ないか?」
「上海・・・?」
上海って・・・あの・・・
モデルの話より度肝抜かれたんですけど・・・
「上海の店舗が売上いいのはお前も知ってるだろ?日本人の観光客や、滞在してる人も多い。日本人のスタッフが欲しいそうだ」
「でもオレ、英語も中国語もできないですけど・・・」
「向こうに日本語ができるスタッフがひとりいる。それにもしお前が行っても日本人客の対応だろうから心配ない」
「店長、話が急すぎてオレついていけないですよ」
本当に、このオッサンは・・・
「出張、て事ですか?」
「いーや、移動だな。でもな、帰ってきたら本社勤務が約束されてるぞ。涼太、企画部に入りたいって言ってたじゃねーか」
それはそうだけど・・・
「期間はどれくらいですか?」
「今のところは二年。お前はまだ若いし、帰ってきてもまだ24だろ?高卒でそんなスピードで出世できるやつなんて、うちの会社にいねーぞ」
二年・・・青と離れるって事だ。
「モデルの話と違って、本社勤務希望のお前に断る理由、ないだろ?結婚してるわけでもないしな」
断る理由があるとすれば、それは、青だ。
でも、青を理由にして断ったとして、オレは後悔しないって言えるだろうか。
「返事は一週間以内にはしてくれ。二ヶ月後には上海にスタッフを送りたいからな」
「はい」
急な話で驚いたけど、オレは、上海へ行きたいと思った。
ただ、青になんて言おう。
オレが上海へ行くと言ったら、一緒に行くって言いかねないな・・・。
「青、たとえば、たとえば!なんだけど・・・」
ソファに並んで座ってテレビを観ている青に話しかける。
「オレが、遠くに行かなきゃなんなくなったら、どうする?」
「なんだそれ?遠くってどんくらい?」
「・・・海外とか」
「は?冗談でも言うなよ。死ぬ気で引き止める」
ついてくる方じゃねーのかよ!
「それでも行くって言ったら?」
「引き止める。俺はどうしてもやらなきゃなんねー事がある。大学はそのために入ったんだ。辞めるわけいかねーし」
そうだったんだ。何となく行ってるだけだと思ってた。
「青のやりたいことって何だよ?」
「ヒミツ。それが叶った時に教えてやる」
なんだよ。・・・まあ、いずれわかるならいいか。
「青、オレもやりたいことあんだ。今の会社で、企画の仕事したい。そのためには本社に行かなきゃなんねー」
「本社って、近いじゃん。なんで海外が出てくんだよ」
それは・・・
「そのために、上海に二年行くつもり。帰ってきたら本社勤務できるんだ」
「は!?上海!?二年?ふざけんなよ。俺から離れんのか?」
「そう、なるな」
「行くな、って言ったら?」
青の顔が見れない。怒っているのは声でわかる。
「それでも、行きたい」
もし、オレが男じゃなかったら、仕事よりも、青と一緒に居ることを選んだのかな。
もし、結婚できるような関係だったとしたら・・・。
「涼太は、俺と離れて平気なのか?」
・・・正直、わからない。青がいない生活が想像すら出来ないくらい近くに居すぎて。だけど離れても・・・
「離れても、好きなら平気だろ」
そう言うと、青はオレの腕をグッと掴む。
「俺の目が届かねぇ所に行くな。今までを思い出してみろよ。おまえは危なっかしすぎんだよ。俺が面倒みてやんなきゃどーすんだよ」
ぐ・・・。確かにオレは青を怒らせるばっかだったけど。
「オレは、男なんだよ。青に面倒みてもらおうなんて、思った事なんかない」
「上海・・・?」
上海って・・・あの・・・
モデルの話より度肝抜かれたんですけど・・・
「上海の店舗が売上いいのはお前も知ってるだろ?日本人の観光客や、滞在してる人も多い。日本人のスタッフが欲しいそうだ」
「でもオレ、英語も中国語もできないですけど・・・」
「向こうに日本語ができるスタッフがひとりいる。それにもしお前が行っても日本人客の対応だろうから心配ない」
「店長、話が急すぎてオレついていけないですよ」
本当に、このオッサンは・・・
「出張、て事ですか?」
「いーや、移動だな。でもな、帰ってきたら本社勤務が約束されてるぞ。涼太、企画部に入りたいって言ってたじゃねーか」
それはそうだけど・・・
「期間はどれくらいですか?」
「今のところは二年。お前はまだ若いし、帰ってきてもまだ24だろ?高卒でそんなスピードで出世できるやつなんて、うちの会社にいねーぞ」
二年・・・青と離れるって事だ。
「モデルの話と違って、本社勤務希望のお前に断る理由、ないだろ?結婚してるわけでもないしな」
断る理由があるとすれば、それは、青だ。
でも、青を理由にして断ったとして、オレは後悔しないって言えるだろうか。
「返事は一週間以内にはしてくれ。二ヶ月後には上海にスタッフを送りたいからな」
「はい」
急な話で驚いたけど、オレは、上海へ行きたいと思った。
ただ、青になんて言おう。
オレが上海へ行くと言ったら、一緒に行くって言いかねないな・・・。
「青、たとえば、たとえば!なんだけど・・・」
ソファに並んで座ってテレビを観ている青に話しかける。
「オレが、遠くに行かなきゃなんなくなったら、どうする?」
「なんだそれ?遠くってどんくらい?」
「・・・海外とか」
「は?冗談でも言うなよ。死ぬ気で引き止める」
ついてくる方じゃねーのかよ!
「それでも行くって言ったら?」
「引き止める。俺はどうしてもやらなきゃなんねー事がある。大学はそのために入ったんだ。辞めるわけいかねーし」
そうだったんだ。何となく行ってるだけだと思ってた。
「青のやりたいことって何だよ?」
「ヒミツ。それが叶った時に教えてやる」
なんだよ。・・・まあ、いずれわかるならいいか。
「青、オレもやりたいことあんだ。今の会社で、企画の仕事したい。そのためには本社に行かなきゃなんねー」
「本社って、近いじゃん。なんで海外が出てくんだよ」
それは・・・
「そのために、上海に二年行くつもり。帰ってきたら本社勤務できるんだ」
「は!?上海!?二年?ふざけんなよ。俺から離れんのか?」
「そう、なるな」
「行くな、って言ったら?」
青の顔が見れない。怒っているのは声でわかる。
「それでも、行きたい」
もし、オレが男じゃなかったら、仕事よりも、青と一緒に居ることを選んだのかな。
もし、結婚できるような関係だったとしたら・・・。
「涼太は、俺と離れて平気なのか?」
・・・正直、わからない。青がいない生活が想像すら出来ないくらい近くに居すぎて。だけど離れても・・・
「離れても、好きなら平気だろ」
そう言うと、青はオレの腕をグッと掴む。
「俺の目が届かねぇ所に行くな。今までを思い出してみろよ。おまえは危なっかしすぎんだよ。俺が面倒みてやんなきゃどーすんだよ」
ぐ・・・。確かにオレは青を怒らせるばっかだったけど。
「オレは、男なんだよ。青に面倒みてもらおうなんて、思った事なんかない」
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