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恋じゃない 2

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ーー涼太が去って行った後

「あーあ。涼ちゃん行っちゃった・・・」

「のぞむさんが虐めるからでしょう」

「俺のせい!?どう考えたってタケルくんのせいでしょ」

 機嫌が悪そうなタケルくんと並んでホームを歩く。

「俺は涼太さんと一緒にいたいんです。なのに、なんであんたと二人でいなきゃなんないんですか」

「タケルくん、涼ちゃんを独り占めするのは良くないよ」

 二人きりの時間を少しでも奪わなきゃ。涼ちゃん、流されやすいから、そのうちタケルくんにフラフラついてっちゃう。

「恋人でもないのに、よくやりますね」

「恋人じゃなくても、なんかほっとけないんだよなぁ」

「・・・わかります」

 あ、ちょっと顔、緩んだ?

「まあでも、家に帰れば山田にぐっちょぐちょにされてんだろーけど」

 少し緩んだタケルくんの顔が、また険しくなる。

「あのキレイな顔が快感で崩れるとこ、山田しか見れないのか~」

 タケルくんは、何も言わない。

「残念だね。俺も、キミも」

 ニコッとタケルくんに笑顔を向ける。

グイッ
 向き合ったタケルくんに、後頭部に手を回されて後ろ髪をグッと引っ張られる。

「ほんとうるさい」

 タケルくんの唇が、俺の唇に触れそうになる。

「これ以余計なこと言うなら、塞ぎます」

 あ・・・なにコレ・・・

「こんな駅の真ん中で、恥かきたくないなら、もう黙っててもらえませんか?」

「・・・」

 タケルくんの手が俺の髪を離して、接近していた顔が離れる。

「今度、そういう無粋な事言ったら、本当に嫌な思いすることになりますよ。じゃあ、失礼します」

 タケルくんが俺に背を向けて歩いていく。


 別に、あのまま塞いでくれても・・・

 って、あ・・・、俺なに考えてんの。

 俺は涼ちゃんが好きで・・・涼ちゃんを抱きたくて・・・それは確かなのに。

 なのになんで、あんなつり目のモブにドキドキしちゃってんの!

 ちょっと待ってよ。
 俺は、女の子が大好きで、今まで何人の子達とセックスしてきたと思ってんだよ。

 そりゃ、涼ちゃんは男だけど・・・もし涼ちゃんがあんなキレイな顔してなかったら好きになんてなってないし!

 俺はゲイじゃない!決して!

 なのに、なのに・・・

「嘘・・・」

 俺はしばらくその場から動けず、間近に迫ったタケルくんの顔ばかり思い出して、ずっとドキドキしていた。
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