上 下
73 / 210

誘惑の夜 2

しおりを挟む
「おはようございます。涼太さん、二日間、お願いします」

「おはよ。荷物後ろ乗っけて、前乗って」

 今日から二日間、オレとタケルはここから車で3時間半ほどの新店まで出張。
 
「朝早かったから、寝てていーよ。着いたら起こすし」

「運転してもらってんのに、寝れないですよ。それに、涼太さん隣にいて寝るなんてもったいないです。メガネとか・・・反則です」

 反則??なんで?

「あー、運転すんには視力足んねーから」

「そうなんですね。メガネかけてると、大人っぽく見えますね」

 ・・・一応、成人した大人なんだけどな、オレ。

 タケルと仕事の話をしながら3時間半の道のり。気づけばいつの間にかタケルは、助手席のドアにもたれて眠っていた。

 朝早かったもんな。お子ちゃまは眠いよな。
 オレも眠いわ・・・。結局、4日間連続で青とヤっちゃってるし。まあ、突っ込まれたのは初日だけだったけど。

「タケル、着いたぞ。起きろ」

 駐車場に車を停め、タケルの肩を揺らす。

「ん・・・、あ!すいません。俺寝ちゃってた」

「気持ちよさそーに寝てたわ」

「涼太さんの運転、意外にも丁寧で・・・もっと荒いかと思ってました」

「オイ、失礼だぞ」

「ははは。すいません」



 新店はまだオープン前の準備期間のため、売り場のレイアウト作成、商品の陳列、新人スタッフの育成などをして一日目が終わる。

「あー、やっと終わった!ずっと裏方の作業で12時間拘束って疲れますね。俺、接客の方が合ってる気がします」

「タケル、愛想笑いとか得意そーだもんな」

「愛想笑いじゃないですよ!心からの笑顔ですって」

「あ、エリア長からメール来てるわ。部屋とってあるから、フロントでオレの名前言えばいいって」

 エリア長からのメールでホテルの場所を確認して向かう。



「すみません。予約してある小林です」

 ホテルのフロントでカードキーを受け取る。

 ・・・え?一枚?

「あ、えと、もうひと部屋取ってないですか?」

「少々お待ちください。・・・小林涼太様、二名様。ツインのお部屋でお伺いしております」

 え!同じ部屋!?

「あー、えと、別々にしてもらう事って・・・」

「申し訳ございません。週末でして、あいにくお部屋が埋まってしまっております」

「あ、ソウデスカ・・・」

 ・・・まあ、タケルなんもしないっつってっし、同じベッドで寝るわけじゃねーしな。

 エレベーターに乗り込み6階のボタンを押す。

 ・・・なんかこのエレベーター、狭いし、タケルが近い気が・・・

 背中のすぐ後ろにタケルの気配があって、なんだか落ち着かない。

 青やのぞむだったら、こーゆー時、ちょっかい出してくるはず。
 ああ~、早く着けよ、6階!

 エレベーターが6階で止まり、ドアが開く。

 ホッ、何もなかった。

 そして、オレ達はひとつの部屋へと入った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

僕達の過ち

真田晃
BL
『鈴、好きだ』 『…ん、僕も……』 『なら、一緒に遠くへ行こうか……』 まだ中学生の僕達は ……駆け落ちした その先には、夢のような生活が待っていると思っていた… でもそれは、浅はかな考えだったと 直ぐに思い知らされた

TS陸上防衛隊 〝装脚機〟隊の異世界ストラテジー

EPIC
SF
陸上防衛隊のTS美少女部隊(正体は人相悪い兄ちゃん等)と装脚機(ロボット歩行戦車)、剣と魔法とモンスターの異世界へ―― 本編11話&設定1話で完結。

たまには働かないと、格好がつかないし、ね?

氷室ゆうり
恋愛
さて、今回は異形化、というか融合系ですね。少しばかり男体化要素もあるかなぁ?杏理君はなんだかんだ私の小説では頑張ってくれます。ちょっとばかり苦手な人もいるかもしれませんが、なるべくマイルドに書いたつもりです。…たぶん。 ああ、ダークにはしていないのでそこはご安心ください。 今回も、r18です。 それでは!

どいつもこいつもかかって来やがれ4th season

pino
BL
頭悪し口悪しのヤンキー絶体絶命!?夏休み中に伊織と浮気をしてしまったが、その時の現場を何者かに盗撮されていて、浮気シーンが写った数々の写真が学校中にばら撒かれてしまう。新学期早々生徒指導室に呼び出されて、今度こそ退学か!?面倒くさがりな貴哉に今回降りかかる面倒事は過去最大級だった。 「誰だよ犯人!見つけ出してぶん殴ってやる!」 出席日数ギリギリの貴哉は無事退学を免れる事が出来るのか!? 他にも球技大会もある二学期編スタートです! 青春ドタバタラブコメディ。 貴哉総受け。総愛され。 他にもカップル出てきます。 BLです。 今回の表紙は、学校一の問題児の一条紘夢くんです。 こちらは4th seasonとなっております。 前作の続きとなっておりますので、より楽しみたい方は、完結している『どいつもこいつもかかって来やがれ』『どいつもこいつもかかって来やがれ2nd season』『どいつもこいつもかかって来やがれ3rd season』を先にお読み下さい。 貴哉視点の話です。 ※印がついている話は貴哉以外の視点での話になってます。 今作は途中、視点が色々な人物に変わる時があります。読みにくくなってしまうかもですが、ご了承ください( ; ; )

気弱な男子と強気な女性が入れ替わる話。

氷室ゆうり
恋愛
うーん、最近人気がちょっぴり減ったかもですね。鉄板の入れ替わりで逆転を図ります! 男女の入れ替わりは大人気なはずなので、今後に期待します! ああ、r18ですので、どうぞよろしく! それでは!

ゲイの修羅場に鉢合わせてしまいまして。

ミヒロ
BL
大学も休みの昼下がり。カフェで優雅に過ごしていた孝介は隣の席のゲイの修羅場に鉢合わせ。見て見ぬふりしていよう、と考えていた筈なのに。 ※表紙イラスト as-AIart- 様(素敵なイラストありがとうございます!)

キセキなんか滅んでしまえ!〜ようやくドロドロに溶けた肉体が戻ったと思ったら、美少女と肉体が入れ替わっている〜

マグローK
青春
 かつて体が溶ける不運に見舞われたぼっち体質の主人公遠谷メイト(とおたにめいと)は、クラスだけでなく学校でも浮いている美少女、成山タレカ(なりやまたれか)と肉体が入れ替わってしまう!  過去の伝手を頼り、今回も本人の願いが歪んだ形で叶ってしまうキセキだと判明。  願いを処理してタレカを元の体に戻るため、メイトはタレカの願いを叶えようと奔走する。  果たして、二人は元の体に戻れるのか!? この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません この小説は他サイトでも投稿しています。

菊松と兵衛

七海美桜
BL
陰間茶屋「松葉屋」で働く菊松は、そろそろ引退を考えていた。そんな折、怪我をしてしまった菊松は馴染みである兵衛に自分の代わりの少年を紹介する。そうして、静かに去ろうとしていたのだが…。※一部性的表現を暗喩している箇所はありますので閲覧にはお気を付けください。

処理中です...