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悪意 1

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「はあ~」

 ああ、最近青とセックスし過ぎで体が痛い。
 なんか、どんどん気持ちよさ増しちゃってっし、どーしよ・・・。

「涼太さん、お疲れですか?」

「ごめん、タケル、大丈夫だよ。どお?綺麗に縫えた?」

 仕事に集中しなきゃ。後輩もできて、ちゃんと仕事教えなきゃなんないのに、変な事ばっか考えて、なにやってんだオレ。

「チェックしてもらっていいですか?」

 ひとつ下の後輩、加藤タケルが、裾の長さを補正したパンツをオレに渡す。

「うーん。だいたいオッケーだけど、最後もうちょい糸重ねたほうがいいな。でも真っ直ぐ縫えてっし、綺麗だよ」

「ありがとうございます!」

「まだ時間あるし、あと一本縫ったら休憩入ろっか」

「はい!」

 ああ~、後輩!素直でかわいいな!癒されるわ~。

 タケルは、去年、高校のインターンシップでこの店に来て、高卒で社員になったやつ。大卒で入社するスタッフが多い中で、同じ高卒社員の後輩ができたのは正直嬉しい。

 大卒だと、後輩でも年上だしな~。
 トレーニング任されたのが、タケルでよかったわ。
 覚えも早いし、いい子だし、言う事聞くし、顔も悪くないし、なんか大型犬みてーなんだよな、こいつ。

「俺、トレーナーが涼太さんでほんと良かったです!」

 タケル・・・!なんてカワイイやつなんだ~!




「涼太、なんか機嫌いい?」

「あ、わかる?わかっちゃう?」

「だって、今日のメシ、俺の好きなもんばっかだし」

 そういえば今日は、肉じゃがになめこの味噌汁にほうれん草の胡麻和え。青の好きなもんばっか作っちゃったな。

「いや~、最近後輩がかわいくてかわいくて。オレも先輩として板についてきたきたっつーかね」

「ふーん。せいぜい宮野ん時みたいに痛い目合わねぇようにしろよ」

 はあ?

「おまえらみたいな変態がそーそーいるわけねーだろ。タケルをおまえらと一緒にすんな」

「・・・ならいいけど」

 青の心配性もここまで来ると病気だな。心配いらねぇっつーの。





ーーその頃、タケルは家で自分の店のSNSをチェックしていた。

「あー、涼太さん、マジかわいい!」

ーーSNSにアップされた写真には、新作の服を着ている涼太が写っている。

「タケル、あんたいたの?たまに帰ってきた実家にゲイがいるなんて、ほんとキモイわ」

「姉貴に別に迷惑かけてねーだろ」

「家族にまでゲイがいると思うとほんと不快なんだけど」

ーータケルの姉、さやがチッっと舌打ちする。

「涼太さんマジさいこー♡」

ーー自分のスマホを胸の前で、ぎゅっと握りしめるタケル。

 え・・・りょうた?

「ちょっと、それ見せて」

「いいけど、惚れるなよ、姉貴」

 !こいつ・・・。

「職場の先輩なんだよね~。ちょーかわいくない?」

 タケルと一緒に働いてたんだ・・・。

ーー青と涼太に味わわされた屈辱を思い出し、怒りが込み上げてくるさや。

「タケル、いいこと教えたげよっか」

「姉貴、涼太さんの事知ってんの?」

「こいつ、あんたとお仲間だから」

「え!マジで!?」

「男に突っ込まれて喜んじゃうヤツなの。よかったわね、惚れてる相手が同族なんて、ラッキーじゃない」

「マジか~!なんか燃えてきた!」

 フン。私に恥をかかせた代償は大きいんだから。



ーー青と涼太は、近くに魔の手が迫っていることを知るはずもなかった。
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