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天然ノンケの動揺 2

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 あんなかわいい女子からモテてんのか、青は。

「涼ちゃん、もしかして、ヤキモチ?」

「は?なんでオレがヤキモチなんか妬かなきゃなんねーんだよ」

「だいたい、男と男で好き嫌いやってるほーがおかしいだろ。あーゆーのが普通なんだよ」

「ふつう、ねぇ」

 あいかわらず、楽しそうに話すふたり。『加藤さや』さんが、青の上腕に手をあてて笑っている。

 ・・・なんか、なんだろ、胃のあたりがモヤモヤする。
 
 なんか、あーゆーの見たくねえかも・・・

「のぞむ、オレやっぱ帰るわ。スマホ、青に渡しといて」

「あ、ちょっと、涼ちゃん?」

 青のスマホをのぞむにポイっと投げて、オレは外に出た。



 なんか変なもん食ったかな、オレ。
 胃のモヤモヤがひどい。

 はぁ。なんか、髪切りに行くのもめんどくさくなっちゃったな・・・帰ろ。

「涼太!」

「青・・・」

 帰ろうとしたオレを引き止める青。

「スマホ持ってきてくれたんだ。ありがとな」

「暇だったし、何回も着信鳴ってたから、困るかと思って」

 ・・・なんとなく、青の顔が見れない。

「なんか、涼太怒ってる?」

「はあ?なんで怒んなきゃなんねんだよ」

「そっか。怒ってないなら・・・」

 青が急にオレの腕を引いて、顔と顔が近付く。

「ちゃんとこっち見て言えよ。怒ってないって」

 青の顔が近くに迫って、ドキッとする。

「ちょ、青、近い!離せ!」

 青はオレの両肩を掴んで、唇が触れそうな距離まで詰め寄ってくる。

「青っ、ここ、外っ、ちょっとほんと離れろって」

「誰かに見られたら困る?」

「当たり前だろ!つーか、さっきの女の子とかに見られたら、困るのは青の方だろ!」

「涼太、嫉妬してんのか?」

「え・・・」

 嫉妬?誰が、誰に?
もしかして、オレ、が、さっきの女の子に・・・?

「こっち向け、涼太」 

「嫌だ」

 顔が、上げられない。たぶん今、オレはひどい顔をしていると思う。

 自分が思っていた事が、青に分かってしまうのが恥ずかしい。

 あの女は誰で、昨日何があったのかとか、さっき楽しそうに話してたのは何だとか、なんで、オレの事好きって言ったのに・・・とか。

 これが嫉妬・・・?こんな事思ってるなんて、青に知られたくない。

「涼太、泣いてんの?」

「泣いてねえ」

 嘘じゃない。本当に泣いてない。

「でも、泣きそーな顔、してんだけど」

「好きだ」

「・・・え?」

「ってオレが言ったら、どうなんの?」

「今、ここで、涼太が立ってられないくらいキスする」

 なんだよそれ。バカじゃん。

「誰が見てるかわかんねーじゃん」

「誰が見てても関係ない」

「ほんとバカだな、おまえ」

「涼太。俺の事好きだって言えよ」

 言えるわけねーだろ。こんな公衆の面前でキスとか、しかも男同士で。マジでどうかしてるよ、おまえ・・・

 今、自分の気持ちに気付くなんて、ほんとにどうかしてる・・・オレも。



「青が、好きだ」 

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