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憧れの同棲生活未満
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俺、山田 青は、この春から希望していたK大学の医学部に通うことになった、自分で言うのもなんだが、高身長スタイル抜群のピチピチ18歳のイケメン君だ。
幼い頃から女子達の熱い視線を浴び続け、言い寄ってくる女は数え切れないほど。
だがしかし、今までの経験人数はたったのひとり。その相手も1度きりという不甲斐なさ・・・
なぜかと言うと、原因は今、俺の正面で無表情でフライドポテトを食べながらコーラを飲みつつ、スマホ片手にエロ動画を観ているこいつにある。
こいつの名前は小林 涼太。身長は170cm俺より15cmほど低いが、バランスのとれたスリムなスタイルで、顔も俺よりは少し劣るが、世間一般で言うイケメン君18歳。俺と並んでいるせいで霞んではいるが、こいつもなかなかのモテ男である。
がしかし、こいつにいたっては、彼女のひとりもいたことのないピッカピカの童貞さまなのである。
理由は明確!白昼堂々ファストフードの店の無料WiFiを使い、人目もはばからずにエロ動画を無表情で観ている様なやつを誰も彼氏になどはしたくないだろう。
良く言えば、周りからの評価を気にせず自分に正直に生きているカッコイイやつ。悪く言えば、無神経でデリカシーの無いやつなのだ。
話は逸れてしまったが、なぜこいつよりモテモテの俺の女経験が乏しいかというと・・・
俺は、なぜかこの無表情男にどうしようもなく恋しているのだ!
中学生の時にクラスが一緒になり、席が近かった為話すようになり、一緒に遊ぶようになり、なぜかいつの間にか、こいつの事を目で追うようになっていて、高校も自分のレベルを下げてまで同じところを受験して友人関係を続けながらずっと片想いしていた。
男を好きになるなんて気の迷いでは?と思い、当時の家庭教師だったおねえさまと付き合ってみたがうまくいかず、高校を卒業し、俺は大学に進学、こいつはアパレル企業に就職し、一緒に過ごす時間が少なくなった今でも、まだ俺の片思いは進行中だ。
「この女優、もっとかわいかったら抜けるんだけどなぁ」
おい、久しぶりに一緒に飯食って話す事がそれかよ!
俺は呆れながら涼太に思いっきり聞こえるようにため息をついた。
「んなことより、お前から飯食おーなんて珍しーんだから、なんか話あったんじゃねぇの?」
俺は涼太からの誘いだったからテンション上がってたのに・・・とは言えないが。
「そーなんだよ!オレさ、職場にも慣れてきたし、そろそろ家出ようかと思って、家から会社まで距離あるし」
ようやくスマホをテーブルに置いた涼太が相変わらずの無表情で言った。
「へえ~・・・」
俺はその一言しか返せずにいた。
待てよ待て待て、涼太が一人暮らし?彼女でもできてしまったら、部屋に連れ込んであんなことやこんなこと、こいつの頭ん中はエロしかねえんだから絶対一人暮らしなんてさせらんねえだろ。
かといって反対すんのもおかしいか?どうしたらこいつの一人暮らしを止められるんだよ。
平静を装っていても俺の頭の中はプチパニックを起こしていた。そんな俺を気にする様子もなく、涼太は話を続けた。
「こことか良くね?駅近だしさ~、家賃の割に広いし、2LDKだし」
不動産屋から持ってきたチラシを広げ部屋の間取りを見始める涼太。
は?一人暮らしなのに2LDK?え?おかしくね?
そもそも一人暮らしなんて涼太は一言も言っていない。もしかして、一緒に住む予定の誰かがすでにいるのかもしれない・・・
お互い慣れない環境に忙しく過ごしていたこの2ヶ月の間に・・・
「ふたりで住むには十分だと思わねぇ?寝室も別にできるし、一緒に住んでもプライベートな空間って大事じゃん」
俺が涼太の事を思わない日が無かったこの2ヶ月の間に・・・
「お前の大学からも近いしさ」
どこの馬の骨ともわっかんねえ女との愛の巣に俺を招こうってか?
「いいと思わねぇ?」
「思わねえよ!」
俺は思わず強い口調で涼太にそう答えていた。
「あ、悪い・・・」
すかさず謝ったが、気まずい空気の中ちらりと涼太の顔を見ると、相変わらず何を考えてるのかわからない無表情の中に、少ししょぼんとしたニュアンスの瞳があった。
涼太のポーカーフェイスに潜んだ少しの表情の違いがわかるようになるほど、俺はこいつの事をずっと見てきたんだ。ぽっと出の女なんかに涼太を盗られるわけにはいかない。
だけど・・・
「お前が決めた事なんだろ?いいんじゃねぇ?」
涼太が幸せになるならそう言うしかないだろ。
俺には気持ちを伝えるなんて勇気すら無いんだから。
「やっぱり青ならそう言ってくれると思ってたんだよ~」
そう言った涼太の顔はいつもの無表情が崩れていた。
久しぶりに見た涼太の笑顔に俺の心臓は耳の奥に響くくらいうるさく鳴っていた。
まあいいか、涼太にこんな顔をさせる女なんだからいい女なんだろう。
寝室が別なだけでも救いとしよう・・・
「じゃあここに決めるわ。」
ああ、そうしろよ、涼太との同棲生活は俺の憧れでもあったけどな・・・
「引越しは来月だな」
来月、お前の生活も誰かのものになってしまうのか・・・
「青の休みに合わせて、オレも休み入れとくわ」
「ああ・・・」
おいおい、傷心の俺に引越し手伝わせるつもりかよ・・・相変わらずの無神経だな・・・
「お前も早めに荷物まとめとけよ」
「ああ・・・」
俺も荷物、まとめなきゃな・・・
・・・え?
て、え?
「え?一緒に住むの俺?」
待って。思考が追いつかない。
「はぁ?お前以外に誰がいんだよ。意味わかんねえな」
意味わかんねえのはお前だよ!
無駄に傷付いた俺はなんなんだよ!
てことは、涼太をあの笑顔にさせたのは、俺、って事?
期待せずにはいられない。
涼太の表情はいつものポーカーフェイスに戻っていた。
俺はというと、この上ないくらいのアホ面で、耳の奥まで鳴り響く心臓の音にずっと体を揺さぶられていた。
幼い頃から女子達の熱い視線を浴び続け、言い寄ってくる女は数え切れないほど。
だがしかし、今までの経験人数はたったのひとり。その相手も1度きりという不甲斐なさ・・・
なぜかと言うと、原因は今、俺の正面で無表情でフライドポテトを食べながらコーラを飲みつつ、スマホ片手にエロ動画を観ているこいつにある。
こいつの名前は小林 涼太。身長は170cm俺より15cmほど低いが、バランスのとれたスリムなスタイルで、顔も俺よりは少し劣るが、世間一般で言うイケメン君18歳。俺と並んでいるせいで霞んではいるが、こいつもなかなかのモテ男である。
がしかし、こいつにいたっては、彼女のひとりもいたことのないピッカピカの童貞さまなのである。
理由は明確!白昼堂々ファストフードの店の無料WiFiを使い、人目もはばからずにエロ動画を無表情で観ている様なやつを誰も彼氏になどはしたくないだろう。
良く言えば、周りからの評価を気にせず自分に正直に生きているカッコイイやつ。悪く言えば、無神経でデリカシーの無いやつなのだ。
話は逸れてしまったが、なぜこいつよりモテモテの俺の女経験が乏しいかというと・・・
俺は、なぜかこの無表情男にどうしようもなく恋しているのだ!
中学生の時にクラスが一緒になり、席が近かった為話すようになり、一緒に遊ぶようになり、なぜかいつの間にか、こいつの事を目で追うようになっていて、高校も自分のレベルを下げてまで同じところを受験して友人関係を続けながらずっと片想いしていた。
男を好きになるなんて気の迷いでは?と思い、当時の家庭教師だったおねえさまと付き合ってみたがうまくいかず、高校を卒業し、俺は大学に進学、こいつはアパレル企業に就職し、一緒に過ごす時間が少なくなった今でも、まだ俺の片思いは進行中だ。
「この女優、もっとかわいかったら抜けるんだけどなぁ」
おい、久しぶりに一緒に飯食って話す事がそれかよ!
俺は呆れながら涼太に思いっきり聞こえるようにため息をついた。
「んなことより、お前から飯食おーなんて珍しーんだから、なんか話あったんじゃねぇの?」
俺は涼太からの誘いだったからテンション上がってたのに・・・とは言えないが。
「そーなんだよ!オレさ、職場にも慣れてきたし、そろそろ家出ようかと思って、家から会社まで距離あるし」
ようやくスマホをテーブルに置いた涼太が相変わらずの無表情で言った。
「へえ~・・・」
俺はその一言しか返せずにいた。
待てよ待て待て、涼太が一人暮らし?彼女でもできてしまったら、部屋に連れ込んであんなことやこんなこと、こいつの頭ん中はエロしかねえんだから絶対一人暮らしなんてさせらんねえだろ。
かといって反対すんのもおかしいか?どうしたらこいつの一人暮らしを止められるんだよ。
平静を装っていても俺の頭の中はプチパニックを起こしていた。そんな俺を気にする様子もなく、涼太は話を続けた。
「こことか良くね?駅近だしさ~、家賃の割に広いし、2LDKだし」
不動産屋から持ってきたチラシを広げ部屋の間取りを見始める涼太。
は?一人暮らしなのに2LDK?え?おかしくね?
そもそも一人暮らしなんて涼太は一言も言っていない。もしかして、一緒に住む予定の誰かがすでにいるのかもしれない・・・
お互い慣れない環境に忙しく過ごしていたこの2ヶ月の間に・・・
「ふたりで住むには十分だと思わねぇ?寝室も別にできるし、一緒に住んでもプライベートな空間って大事じゃん」
俺が涼太の事を思わない日が無かったこの2ヶ月の間に・・・
「お前の大学からも近いしさ」
どこの馬の骨ともわっかんねえ女との愛の巣に俺を招こうってか?
「いいと思わねぇ?」
「思わねえよ!」
俺は思わず強い口調で涼太にそう答えていた。
「あ、悪い・・・」
すかさず謝ったが、気まずい空気の中ちらりと涼太の顔を見ると、相変わらず何を考えてるのかわからない無表情の中に、少ししょぼんとしたニュアンスの瞳があった。
涼太のポーカーフェイスに潜んだ少しの表情の違いがわかるようになるほど、俺はこいつの事をずっと見てきたんだ。ぽっと出の女なんかに涼太を盗られるわけにはいかない。
だけど・・・
「お前が決めた事なんだろ?いいんじゃねぇ?」
涼太が幸せになるならそう言うしかないだろ。
俺には気持ちを伝えるなんて勇気すら無いんだから。
「やっぱり青ならそう言ってくれると思ってたんだよ~」
そう言った涼太の顔はいつもの無表情が崩れていた。
久しぶりに見た涼太の笑顔に俺の心臓は耳の奥に響くくらいうるさく鳴っていた。
まあいいか、涼太にこんな顔をさせる女なんだからいい女なんだろう。
寝室が別なだけでも救いとしよう・・・
「じゃあここに決めるわ。」
ああ、そうしろよ、涼太との同棲生活は俺の憧れでもあったけどな・・・
「引越しは来月だな」
来月、お前の生活も誰かのものになってしまうのか・・・
「青の休みに合わせて、オレも休み入れとくわ」
「ああ・・・」
おいおい、傷心の俺に引越し手伝わせるつもりかよ・・・相変わらずの無神経だな・・・
「お前も早めに荷物まとめとけよ」
「ああ・・・」
俺も荷物、まとめなきゃな・・・
・・・え?
て、え?
「え?一緒に住むの俺?」
待って。思考が追いつかない。
「はぁ?お前以外に誰がいんだよ。意味わかんねえな」
意味わかんねえのはお前だよ!
無駄に傷付いた俺はなんなんだよ!
てことは、涼太をあの笑顔にさせたのは、俺、って事?
期待せずにはいられない。
涼太の表情はいつものポーカーフェイスに戻っていた。
俺はというと、この上ないくらいのアホ面で、耳の奥まで鳴り響く心臓の音にずっと体を揺さぶられていた。
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