拗らせΩは恋を知らない

Hiiho

文字の大きさ
上 下
15 / 55

未知との遭遇 3

しおりを挟む

「・・・っ、・・・、」

「あかね・・・っ、俺を、受け入れて」

「・・・りっ」

無理っっ!
いくらΩが濡れるからといって、処女にその大きさがすんなり受け入れられると思っているのか!このクソ童貞め!


αの生殖器がそれなりに大きいことは、葵のを見た時に知っていた。けれど、勃起状態のものにこんなにも硬度と質量があるなんて・・・、これは暴力と言っても過言では無い。
それを受け入れる為にΩは性交時、ある程度の大きさに拡がるはずなのに。

全ては知識だけだ。実践がこんなにも苦痛を伴う行為だなんて、経験しなければ分からなかったこと。

つい数秒前欲しくて堪らなかったものが、不快にすら思えてくる。


「ぅ・・・」

「ごめん、茜。つらい?」

見ればわかるだろう!その両目は機能していないのか!?
けれど、これを求めたのは俺自身だ。何が何でも全部受け入れてみせる・・・!

ガタガタと震える体は嫌でも力が入り、汗ばむ手の平でシーツを手繰る。
仰向けの俺の腰を掴んだ綾木に脇腹を摩られフッ と息を吐いたと同時に、少しだけ押し挿ってくる猛獣に、 ビクン と下半身が跳ねた。

きゅうっ と狭くなった内壁が綾木の先端の膨らみを包んで、中が擽られているような、何とも言えないもどかしさが下腹部を襲う。

「は・・・ぁ、ぁっ」

「ここ、気持ちイイ?」

浅い部分を解すようにゆっくりと短く行き来され、痛みの中に見つけた僅かな快感が次第に大きくなってゆく。

「・・・んぅ、ん・・・っ」

「茜の声、甘くなった」

自分の反応を逐一見られていることが恥ずかしくなり、俺は咄嗟に手の甲で口を塞ぎ、もう片方の腕で顔を隠す。

「隠しても無駄。こっちは正直だから」

「んんっ!? んぅ──・・・っ」

三本の指で軽く潰すように亀頭を摘まれて揉まれ、せり上がってくる白濁が びゅっ と吹き出す。
胸元を汚し、顔を覆った腕にまで飛び散ったそれを、綾木が ペロリ と舌で掬い飲み込む。

「スゲ・・・茜ってこんな、味なんだ・・・」

「あ・・・・・・ぇ?」


腕の隙間から見える綾木の顔が、瞳が、いつもと違う。いや、違わないのかもしれない、けれどそこにいるのは俺が知ってる綾木ではなかった。

全身に悪寒が走り、じわじわと汗が出る。イッたばかりだというのに、もう触られていないのに、またすぐに射精感に襲われる。


綾木から発せられている この甘い香り。これのせいだ。これが、αのフェロモン・・・?


「あや・・・あ、ぁっ」

奥に向かい進んで来る猛獣を、身体は自然に受け入れようとする。さっきまでとは何かが違う。

「は・・・、あぅ・・・っ」

腹の奥に ズン と重い衝撃。

入った・・・。奥まで。俺の中に・・・綾木が。

それだけしか思考は働かず、内壁を擦り押し上げられる感覚に、次第に速度を上げる綾木に、漂う甘い彼の香りに、快感で満たされるだけの身体。

「茜・・・っ、あか、ね・・・」

「ひぁ・・・っ、あ、あ゙っっ」

何度も名前を呼ばれ、悦に浸る間もなく責め立てられ、壊れた蛇口のように白濁が漏れる。


荒らげた息遣いが首元にかかる。
本能で感じた。綾木に噛まれるんだ、と。

けれど仰向けになっていることで項を差し出せず、綾木の歯は僧帽筋の上にくい込む。

「んぁ・・・っ、あ──・・・ぁ」

皮膚を薄く突き破られ、痛みを超えて熱を持つ首元。
遠くなりそうな意識は、込み上げる快楽へと何度も引き戻される。


それは綾木が達するまで繰り返され、彼の白濁が腹上に吐き出された頃、指一本動かすことも困難なほどの快感と疲労から逃れるように、ようやく俺は目を閉じた。








たっぷりと時間をかけて瞼を上げると、白の天井と薄いグレーの壁紙。
リビングの床で落ちてしまった俺を、綾木がベッドまで運んでくれたのだと気付く。

「茜、・・・大丈夫か?」

耳の傍で綾木の声がして、視界の端に綾木の心配しうな顔が映る。

「・・・いたのか。俺は大丈夫だ。そんな事より、地べたに座るその癖を直せ。αらしくし・・・ぅえほっ、ケホッ」

声が掠れて咳き込む俺。

「水、飲む?」

「ん。・・・んん?」

起き上がろうとしたが、腰が痛くて体に力が入らない。尻も痛いし脚も痛い。どうしたことだ。

「引きこもりの運動不足が祟ったんじゃねーの?あれくらいで情けないな~茜は」

「あれくらい、だと!? 初体験であんなにイかされて喘がされて、快感で何度も気を失いそうになった!死ぬかと思ったんだぞ!それをぅぷっ」

恨み言を綾木の唇で塞がれ、咥内に流れ込んで来た水と一緒に無理矢理飲み込まされる。

「要するにめちゃくちゃ気持ち良かった、って事だろ? トロトロになってる茜、可愛くて堪んなかった」

満足そうに笑顔になる綾木。

「ち、ちょっ、調子に乗るなぁっっ!」

俺が、とろとろで、可愛いかったって!?
とろとろ、って。とろとろ、・・・って、ああもう、恥ずかしいっ!!

布団を頭上まで引き上げ、火が出そうなくらい熱くなった顔を隠す。

「調子に乗らせろって。俺のこと好きになるんだろ?」

上に乗ってきた綾木に掛け布団ごと ぎゅっ と包まれて、昨晩の彼の荒々しさと甘い香りを思い出し、治まったはずの欲がまた疼き出す。
それもそのはず、発情期間中のΩは、食欲や睡眠欲よりも性欲に身体が支配されてしまうのだ。

昨晩から発情期に入って、落ち着くのは約一週間後・・・。
初めてだ。ひとりきりじゃない発情期を過ごすのは。



たぶんきっと、俺は綾木を好きになる。
彼に溺れる予感がする。

何もかもが初めてで、未知の世界。けれど『運命』とは、そういうものなのだろう。

きっと・・・。







しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

壁穴奴隷No.19 麻袋の男

猫丸
BL
壁穴奴隷シリーズ・第二弾、壁穴奴隷No.19の男の話。 麻袋で顔を隠して働いていた壁穴奴隷19番、レオが誘拐されてしまった。彼の正体は、実は新王国の第二王子。変態的な性癖を持つ王子を連れ去った犯人の目的は? シンプルにドS(攻)✕ドM(受※ちょっとビッチ気味)の組合せ。 前編・後編+後日談の全3話 SM系で鞭多めです。ハッピーエンド。 ※壁穴奴隷シリーズのNo.18で使えなかった特殊性癖を含む内容です。地雷のある方はキーワードを確認してからお読みください。 ※No.18の話と世界観(設定)は一緒で、一部にNo.18の登場人物がでてきますが、No.19からお読みいただいても問題ありません。

【R18】息子とすることになりました♡

みんくす
BL
【完結】イケメン息子×ガタイのいい父親が、オナニーをきっかけにセックスして恋人同士になる話。 近親相姦(息子×父)・ハート喘ぎ・濁点喘ぎあり。 章ごとに話を区切っている、短編シリーズとなっています。 最初から読んでいただけると、分かりやすいかと思います。 攻め:優人(ゆうと) 19歳 父親より小柄なものの、整った顔立ちをしているイケメンで周囲からの人気も高い。 だが父である和志に対して恋心と劣情を抱いているため、そんな周囲のことには興味がない。 受け:和志(かずし) 43歳 学生時代から筋トレが趣味で、ガタイがよく体毛も濃い。 元妻とは15年ほど前に離婚し、それ以来息子の優人と2人暮らし。 pixivにも投稿しています。

男色医師

虎 正規
BL
ゲイの医者、黒河の毒牙から逃れられるか?

秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~

めぐみ
BL
☆俺はお前を何度も抱き、俺なしではいられぬ淫らな身体にする。宿命という名の数奇な運命に翻弄される王子達☆ ―俺はそなたを玩具だと思ったことはなかった。ただ、そなたの身体は俺のものだ。俺はそなたを何度でも抱き、俺なしではいられないような淫らな身体にする。抱き潰すくらいに抱けば、そなたもあの宦官のことなど思い出しもしなくなる。― モンゴル大帝国の皇帝を祖父に持ちモンゴル帝国直系の皇女を生母として生まれた彼は、生まれながらの高麗の王太子だった。 だが、そんな王太子の運命を激変させる出来事が起こった。 そう、あの「秘密」が表に出るまでは。

もう一度、貴方に出会えたなら。今度こそ、共に生きてもらえませんか。

天海みつき
BL
 何気なく母が買ってきた、安物のペットボトルの紅茶。何故か湧き上がる嫌悪感に疑問を持ちつつもグラスに注がれる琥珀色の液体を眺め、安っぽい香りに違和感を覚えて、それでも抑えきれない好奇心に負けて口に含んで人工的な甘みを感じた瞬間。大量に流れ込んできた、人ひとり分の短くも壮絶な人生の記憶に押しつぶされて意識を失うなんて、思いもしなかった――。  自作「貴方の事を心から愛していました。ありがとう。」のIFストーリー、もしも二人が生まれ変わったらという設定。平和になった世界で、戸惑う僕と、それでも僕を求める彼の出会いから手を取り合うまでの穏やかなお話。

側妻になった男の僕。

selen
BL
国王と平民による禁断の主従らぶ。。を書くつもりです(⌒▽⌒)よかったらみてね☆☆

とろけてなくなる

瀬楽英津子
BL
ヤクザの車を傷を付けた櫻井雅(さくらいみやび)十八歳は、多額の借金を背負わされ、ゲイ風俗で働かされることになってしまった。 連れて行かれたのは教育係の逢坂英二(おうさかえいじ)の自宅マンション。 雅はそこで、逢坂英二(おうさかえいじ)に性技を教わることになるが、逢坂英二(おうさかえいじ)は、ガサツで乱暴な男だった。  無骨なヤクザ×ドライな少年。  歳の差。

元執着ヤンデレ夫だったので警戒しています。

くまだった
BL
 新入生の歓迎会で壇上に立つアーサー アグレンを見た時に、記憶がざっと戻った。  金髪金目のこの才色兼備の男はおれの元執着ヤンデレ夫だ。絶対この男とは関わらない!とおれは決めた。 貴族金髪金目 元執着ヤンデレ夫 先輩攻め→→→茶髪黒目童顔平凡受け ムーンさんで先行投稿してます。 感想頂けたら嬉しいです!

処理中です...