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スキャンダル童貞 1
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めいっぱい満喫したオフはあっという間に終わり、またいつもの忙しい日常に戻る。
事務所のパーティ後、金子さんのお陰で知り合った企業の社長に気に入られた俺は、芸能活動以外でもコスメやアクセサリーのプロデュースまでさせて貰えるようになった。
芝居に関するオファーもあるみたいだけど、恋愛系は、すばると共演したドラマと、まだ公開されていない 金子さんと共演した映画だけ。他は・・・単発のゲストだったり、脇役だったり。
・・・俺って、演技の才能無いのかな?
日本で役者の仕事をするようになって、自分とは違う色んな人物になる事ができて楽しいのに。
特にこの前の映画の撮影は、俺にとっては凄く意味のある仕事だったと思う。
同性愛がテーマだったし、男の万里を好きになった自分にとっては特別な作品になるはず。
始めのうちは、金子さんが相手でどうなっちゃうんだろう、って少し不安だったけど。
だけど、撮影が進むうちに結構いい人だってわかって、めっちゃ仲良くなれたし、なんでもご馳走してくれるし。
そのうえ俺のソロになってからの歌も完璧に覚えてくれてたり、クアイルの曲までカラオケで歌ってくれたりして。
今ではメッセージのやりとりをしたり、プライベートで遊ぶほどに親しくなった。
プロデュースしているコスメ商品のデザイン会議中に、テーブルの上で震えるスマホ。
『シウ今日、何時まで仕事? 一緒にメシ食べない?』
あ、噂をすれば、ジャストタイミングで金子さんじゃん。
『マネージャーと一緒でもいいですか?あと1時間くらいで終わります』
『いいよ。何食べたいか考えといて』
『はい』
また奢ってくれるのかな~。お肉がいいなぁ・・・・・・あっ!そうだ!
俺は社長から貰った焼肉屋の食事券があった事を思い出す。
『焼肉でもいいですか?今日は俺がご馳走します!』
『シウが奢ってくれるの? 感激(涙)今日は記念日になりそうだ(涙)』
大袈裟な金子さんのメッセージ。焼肉奢るだけなのに、変な人。
『社長から食事券もらったので。じゃあ終わったら連絡しますね』
『うん。死んでも待ってる』
・・・やっぱり変な人だ。
会議が終わってすぐに、テーブルの端に座る万里に、金子さんと食事に行こう、と誘う。
けど
「俺はまだ事務所で仕事がある。送迎はするから二人で食ってこい」
と、素っ気なく断られてしまった。
金子さんと仲良くなったのはいいけど、万里が前みたいに嫉妬してくれなくなったのが少し寂しい。
もしも万里が湊さんと二人で会う、なんて考えたら、今はもう二人に体の関係が無いってわかっていても俺は不安になるし、すごく嫌な気分になる。
俺って、本当に心が狭いな。
もっと大人にならなきゃ。万里に甘えてばかりじゃなくて、この人に頼ってもらえる大人の男になりたいのに・・・。
「2時間くらいで俺も来れると思うから。その間にヒロムに襲われるなよ。・・・まあ、心配はしてねぇけど」
万里が予約を入れてくれた焼肉屋の個室の前で一旦彼と別れる。
心配してないのかぁ。・・・寂しいな。
独占欲剥き出しだった数ヶ月前の万里が懐かしい・・・。
個室に入って暫く待つと、ソフトハットに伊達メガネとマスクという重装備の金子さんが、倉持さんと一緒に入って来る。
「お疲れ様です」
俺が言うと
「お疲れ様なのはシウさんだけっすよ。金子さん、今日一日オフだったんで、疲れてないっすから」
と倉持さんが答える。
「うっせーな!俺がオフなのは山田ともっちーが営業サボってるからだろ。文句があんなら仕事持って来いよ~」
「金子さんのスキャンダル揉み消すのに忙しくて そこまで手回んないっす。自業自得っすよ。じゃあ俺は事務所帰って営業先ピックアップしてきますね。帰る時、連絡ください」
ぺこ と倉持さんは浅く頭を下げる。
「あのっ、ば・・・河森も後で来るし、倉持さんも良かったら・・・」
「マジっすか、ありがとうございます!シウさん、ほんと天使過ぎますよ。金子さんがクソに思えてきますわ、マジで」
「早く行けよもっちー!」
怒鳴る金子さんを「ハイハイ」とあしらって倉持さんは個室から出て行った。
二人きりになった狭い個室がやけに静かだ。
タッチパネルで注文したドリンクが小鉢と一緒に運ばれて来て、俺達は軽くグラスを合わせる。
スキャンダルって言ってたけど、金子さんて確かバイセクシャルなんだよな?
揉み消すくらいなんだから、相手はやっぱり男なのかな?
「金子さんって・・・結構遊んでるんですか? ・・・その、えと、男の人とも・・・」
ふと気になった俺は、遠慮しながらも思い切って聞いてみる。
「前はね。今は、遊ぶのは・・・女の子ばっかりかな」
何となく気まずそうな金子さんがグラスに入ったビールを一口飲む。
やっぱり聞いちゃいけないことだったかな。
「前にさ、シウはフリーか、って聞いたじゃん? 俺」
「えっ? ああ! はい」
そういやそうだったっけ?
「ショックだから気付きたくは無かったんだけどさ・・・、アレ、嘘だよな?」
「・・・・・・・・・」
遠慮がちに、それでいて探るような金子さんからのクエスチョン。図星なだけに、どういうアンサーを返していいのかわからない。
やばい。
逆に質問されるなんて、予想してなかった。
嘘じゃない、と言えばいい。だけど、俺の質問に正直に答えてくれた金子さんに、嘘をつくのは誠実じゃないような気がした。
答えられず動揺を隠せない俺に、金子さんのダメ押しの一声がかかる。
「シウさ・・・、河森マネージャーと付き合ってるんだろ?」
めいっぱい満喫したオフはあっという間に終わり、またいつもの忙しい日常に戻る。
事務所のパーティ後、金子さんのお陰で知り合った企業の社長に気に入られた俺は、芸能活動以外でもコスメやアクセサリーのプロデュースまでさせて貰えるようになった。
芝居に関するオファーもあるみたいだけど、恋愛系は、すばると共演したドラマと、まだ公開されていない 金子さんと共演した映画だけ。他は・・・単発のゲストだったり、脇役だったり。
・・・俺って、演技の才能無いのかな?
日本で役者の仕事をするようになって、自分とは違う色んな人物になる事ができて楽しいのに。
特にこの前の映画の撮影は、俺にとっては凄く意味のある仕事だったと思う。
同性愛がテーマだったし、男の万里を好きになった自分にとっては特別な作品になるはず。
始めのうちは、金子さんが相手でどうなっちゃうんだろう、って少し不安だったけど。
だけど、撮影が進むうちに結構いい人だってわかって、めっちゃ仲良くなれたし、なんでもご馳走してくれるし。
そのうえ俺のソロになってからの歌も完璧に覚えてくれてたり、クアイルの曲までカラオケで歌ってくれたりして。
今ではメッセージのやりとりをしたり、プライベートで遊ぶほどに親しくなった。
プロデュースしているコスメ商品のデザイン会議中に、テーブルの上で震えるスマホ。
『シウ今日、何時まで仕事? 一緒にメシ食べない?』
あ、噂をすれば、ジャストタイミングで金子さんじゃん。
『マネージャーと一緒でもいいですか?あと1時間くらいで終わります』
『いいよ。何食べたいか考えといて』
『はい』
また奢ってくれるのかな~。お肉がいいなぁ・・・・・・あっ!そうだ!
俺は社長から貰った焼肉屋の食事券があった事を思い出す。
『焼肉でもいいですか?今日は俺がご馳走します!』
『シウが奢ってくれるの? 感激(涙)今日は記念日になりそうだ(涙)』
大袈裟な金子さんのメッセージ。焼肉奢るだけなのに、変な人。
『社長から食事券もらったので。じゃあ終わったら連絡しますね』
『うん。死んでも待ってる』
・・・やっぱり変な人だ。
会議が終わってすぐに、テーブルの端に座る万里に、金子さんと食事に行こう、と誘う。
けど
「俺はまだ事務所で仕事がある。送迎はするから二人で食ってこい」
と、素っ気なく断られてしまった。
金子さんと仲良くなったのはいいけど、万里が前みたいに嫉妬してくれなくなったのが少し寂しい。
もしも万里が湊さんと二人で会う、なんて考えたら、今はもう二人に体の関係が無いってわかっていても俺は不安になるし、すごく嫌な気分になる。
俺って、本当に心が狭いな。
もっと大人にならなきゃ。万里に甘えてばかりじゃなくて、この人に頼ってもらえる大人の男になりたいのに・・・。
「2時間くらいで俺も来れると思うから。その間にヒロムに襲われるなよ。・・・まあ、心配はしてねぇけど」
万里が予約を入れてくれた焼肉屋の個室の前で一旦彼と別れる。
心配してないのかぁ。・・・寂しいな。
独占欲剥き出しだった数ヶ月前の万里が懐かしい・・・。
個室に入って暫く待つと、ソフトハットに伊達メガネとマスクという重装備の金子さんが、倉持さんと一緒に入って来る。
「お疲れ様です」
俺が言うと
「お疲れ様なのはシウさんだけっすよ。金子さん、今日一日オフだったんで、疲れてないっすから」
と倉持さんが答える。
「うっせーな!俺がオフなのは山田ともっちーが営業サボってるからだろ。文句があんなら仕事持って来いよ~」
「金子さんのスキャンダル揉み消すのに忙しくて そこまで手回んないっす。自業自得っすよ。じゃあ俺は事務所帰って営業先ピックアップしてきますね。帰る時、連絡ください」
ぺこ と倉持さんは浅く頭を下げる。
「あのっ、ば・・・河森も後で来るし、倉持さんも良かったら・・・」
「マジっすか、ありがとうございます!シウさん、ほんと天使過ぎますよ。金子さんがクソに思えてきますわ、マジで」
「早く行けよもっちー!」
怒鳴る金子さんを「ハイハイ」とあしらって倉持さんは個室から出て行った。
二人きりになった狭い個室がやけに静かだ。
タッチパネルで注文したドリンクが小鉢と一緒に運ばれて来て、俺達は軽くグラスを合わせる。
スキャンダルって言ってたけど、金子さんて確かバイセクシャルなんだよな?
揉み消すくらいなんだから、相手はやっぱり男なのかな?
「金子さんって・・・結構遊んでるんですか? ・・・その、えと、男の人とも・・・」
ふと気になった俺は、遠慮しながらも思い切って聞いてみる。
「前はね。今は、遊ぶのは・・・女の子ばっかりかな」
何となく気まずそうな金子さんがグラスに入ったビールを一口飲む。
やっぱり聞いちゃいけないことだったかな。
「前にさ、シウはフリーか、って聞いたじゃん? 俺」
「えっ? ああ! はい」
そういやそうだったっけ?
「ショックだから気付きたくは無かったんだけどさ・・・、アレ、嘘だよな?」
「・・・・・・・・・」
遠慮がちに、それでいて探るような金子さんからのクエスチョン。図星なだけに、どういうアンサーを返していいのかわからない。
やばい。
逆に質問されるなんて、予想してなかった。
嘘じゃない、と言えばいい。だけど、俺の質問に正直に答えてくれた金子さんに、嘘をつくのは誠実じゃないような気がした。
答えられず動揺を隠せない俺に、金子さんのダメ押しの一声がかかる。
「シウさ・・・、河森マネージャーと付き合ってるんだろ?」
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