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その日 万里は一緒には寝てくれなくて、次の日からマンションに帰って来なくなった。
朝、玄関まで迎えに来て、夜はどんなに遅くなっても俺だけをマンションに残して行ってしまう。
始めは万里に縋りついて一緒にいて欲しいと懇願していた俺も、1ヶ月も経てば嫌でも気付く。
社長から宛てがわれた俺が、都合良く万里を求めた。だから抱いたんだって。
それでもいい。それでも、良かったのに・・・。
万里への気持ちが大きくなりすぎてた俺は、それでもいいと思ってた事にすら深く傷付いてしまう。
「明日は10時過ぎに迎えに来る。夜更かししないで早く寝ろよ」
「うん」
玄関へ入って俺の靴を片付け、背を向けドアノブに手を掛ける万里。
ドラマの撮影も終わって前より時間にゆとりができた。だけど、万里と一緒にいれる時間も少しだけ減ってしまった。
寂しい。帰らないで。俺以外の場所に。
「待って!」
咄嗟に万里の腕を掴む。
「・・・なんだよ」
無機質な声。ズキン、と胸が重く痛む。
「・・・あの、まだ早いし・・・えと、部屋汚いけど、ちょっとだけ・・・寄ってかない?」
一緒にいて欲しい。
「汚い・・・?また片付けてねぇのかよ!いつも言ってんだろ、ちゃんと片付けろって!おまえもう韓国じゃ立派な成人だぞ、自分の部屋くらい綺麗にしとけなくてどうすんだよ」
怒り出す万里に、なんだかこっちまで腹が立ってくる。
「少しだよ!」
本当は少しじゃない。
「・・・やっぱいい。帰れば?」
ちゃんと片付けて掃除して、綺麗になってからにしよう。
一緒にいたいけど、怒られるのは嫌だ。
「入るぞ」
万里は俺を押し退けてリビングに向かう。
げっ!!
「ちょ、ちょっと、片付けてからっ」
絶対もっと怒られちゃうよ!
なんで寄ってけなんて言ったんだよ俺~!
リビングのドアを開けた万里が絶句している。
脱ぎっぱなしの服と散乱したゴミ。撮影が終わってしまったドラマの台本もそのまま。
ああ~・・・。台本くらいは片付けとけば良かった・・・。
「いつからこの状態なんだ」
万里が出てってから、片付けも掃除もしてない。
なんて言ったら殺されちゃうかもしれない。
「えっとぉ、いつかな?1週間くらい?」
「1週間でこんな惨状になるわけねえだろ!!」
うう、1週間は無理があったか・・・、ミスった。
「だって、マネージャーがいないから。だいたい勝手に出ていった方が悪いだろ!俺は万里がいなきゃ・・・」
万里がいなきゃダメなんだ。って、またそんなこと言ってこの人を困らせんの?
言ったところで冷たくあしらわれて、また傷付くだけじゃん。
「はあ。よくもまあ こんな汚部屋に人を招こうなんて思えたな。ちょっと片付けたくらいじゃどうにもなんねぇだろーが!・・・ゴミ袋持ってこい」
「どこにあるの?」
「はあ!?マジかよ・・・キッチンの一番下の引き出しの中。早く持ってこい」
「・・・うん」
ゴミ袋の保管場所すら知らなかった俺に怒る気も失せたのか、万里は黙々と部屋を片付け始める。
手伝った方がいいよな。
散らばった服を拾い集めて洗濯機へ入れ、洗剤の箱らしきものを開ける。
「え、何コレ?」
薄いフィルムで包まれたぷにぷにした・・・グミ?
ただの白いプラスチックの箱に入っているだけだから用途がわからない。他の並んだボトルを見ると、柔軟剤、漂白剤、と書いてある。
ってことはこのぷにぷにが洗剤・・・なのかな?それっぽい匂いがするし。
洗濯機に入れればいいの?何個?
・・・うーん、とりあえず10個くらい入れておこう。
ドラムの中にぷにぷにを10個入れてみる。
「おい、本気かそれ」
すぐ後ろで万里の呆れた声。
「もういい、おまえは風呂入れ。俺がやる」
「見てたなら教えてくれたらいいじゃん。俺だって洗濯くらいできる」
「あーハイハイそうだな。・・・今度教えてやる、だから今日はいい。邪魔になるだけだ」
万里は俺が洗濯機に入れたぷにぷにと服を出し、何故か服は分別して、手際よくぷにぷにと柔軟剤を入れスタートボタンを押す。
2個でよかったのか。あのまま10個入れてたらどうなっちゃってたんだろ。
「なにやってんだ。さっさと風呂入れよ」
棚からバスタオルを出し渡してくれる万里。
「うん。でも俺、スタジオでシャワー入って来てるんだけど・・・」
バスルームの掃除もしたくないから、シャワーがある所ならいつもそうしてる。
「おまえなあ、ちゃんと湯船につかんねーと・・・。まあいいや、好きにしろ」
ポン、と頭に大きな手が乗ってすぐに離れて、万里はリビングに戻って行く。
久しぶりに万里に触られた頭が、じん、と熱くなる。髪の先まで神経があるかのよう。
触れてくれたことが嬉しい。ほんの一瞬感じた彼の体温が、1ヶ月前のセックスの記憶を甦らせる。
万里に、抱かれたい。
俺は男なのに、どうしてそう思うんだろう。女の子に対しては抱きたいって思ってた。なんで万里には抱かれたいんだ?
あんなところに挿入されてあんなに痛いのに、自分の出す声に死にたいくらい恥ずかしくなるのに、でもそんなのどうでもよくなるくらい気持ち良かった。
万里が好き。
この気持ちは届かない。
それなのに体の熱はいつまでも燻り続ける。
いっそ他の誰かに同じようにしてもらえたら、楽になるのかな。
万里のこと、またマネージャーとして見れるようになるのかな。
俺の気持ちに対する万里からの答えは、もうとっくに出てる。
自分の気持ちは自分で整理しなきゃ。どんなにぐちゃぐちゃでも、心の中は万里に片付けてもらえないんだから。
朝、玄関まで迎えに来て、夜はどんなに遅くなっても俺だけをマンションに残して行ってしまう。
始めは万里に縋りついて一緒にいて欲しいと懇願していた俺も、1ヶ月も経てば嫌でも気付く。
社長から宛てがわれた俺が、都合良く万里を求めた。だから抱いたんだって。
それでもいい。それでも、良かったのに・・・。
万里への気持ちが大きくなりすぎてた俺は、それでもいいと思ってた事にすら深く傷付いてしまう。
「明日は10時過ぎに迎えに来る。夜更かししないで早く寝ろよ」
「うん」
玄関へ入って俺の靴を片付け、背を向けドアノブに手を掛ける万里。
ドラマの撮影も終わって前より時間にゆとりができた。だけど、万里と一緒にいれる時間も少しだけ減ってしまった。
寂しい。帰らないで。俺以外の場所に。
「待って!」
咄嗟に万里の腕を掴む。
「・・・なんだよ」
無機質な声。ズキン、と胸が重く痛む。
「・・・あの、まだ早いし・・・えと、部屋汚いけど、ちょっとだけ・・・寄ってかない?」
一緒にいて欲しい。
「汚い・・・?また片付けてねぇのかよ!いつも言ってんだろ、ちゃんと片付けろって!おまえもう韓国じゃ立派な成人だぞ、自分の部屋くらい綺麗にしとけなくてどうすんだよ」
怒り出す万里に、なんだかこっちまで腹が立ってくる。
「少しだよ!」
本当は少しじゃない。
「・・・やっぱいい。帰れば?」
ちゃんと片付けて掃除して、綺麗になってからにしよう。
一緒にいたいけど、怒られるのは嫌だ。
「入るぞ」
万里は俺を押し退けてリビングに向かう。
げっ!!
「ちょ、ちょっと、片付けてからっ」
絶対もっと怒られちゃうよ!
なんで寄ってけなんて言ったんだよ俺~!
リビングのドアを開けた万里が絶句している。
脱ぎっぱなしの服と散乱したゴミ。撮影が終わってしまったドラマの台本もそのまま。
ああ~・・・。台本くらいは片付けとけば良かった・・・。
「いつからこの状態なんだ」
万里が出てってから、片付けも掃除もしてない。
なんて言ったら殺されちゃうかもしれない。
「えっとぉ、いつかな?1週間くらい?」
「1週間でこんな惨状になるわけねえだろ!!」
うう、1週間は無理があったか・・・、ミスった。
「だって、マネージャーがいないから。だいたい勝手に出ていった方が悪いだろ!俺は万里がいなきゃ・・・」
万里がいなきゃダメなんだ。って、またそんなこと言ってこの人を困らせんの?
言ったところで冷たくあしらわれて、また傷付くだけじゃん。
「はあ。よくもまあ こんな汚部屋に人を招こうなんて思えたな。ちょっと片付けたくらいじゃどうにもなんねぇだろーが!・・・ゴミ袋持ってこい」
「どこにあるの?」
「はあ!?マジかよ・・・キッチンの一番下の引き出しの中。早く持ってこい」
「・・・うん」
ゴミ袋の保管場所すら知らなかった俺に怒る気も失せたのか、万里は黙々と部屋を片付け始める。
手伝った方がいいよな。
散らばった服を拾い集めて洗濯機へ入れ、洗剤の箱らしきものを開ける。
「え、何コレ?」
薄いフィルムで包まれたぷにぷにした・・・グミ?
ただの白いプラスチックの箱に入っているだけだから用途がわからない。他の並んだボトルを見ると、柔軟剤、漂白剤、と書いてある。
ってことはこのぷにぷにが洗剤・・・なのかな?それっぽい匂いがするし。
洗濯機に入れればいいの?何個?
・・・うーん、とりあえず10個くらい入れておこう。
ドラムの中にぷにぷにを10個入れてみる。
「おい、本気かそれ」
すぐ後ろで万里の呆れた声。
「もういい、おまえは風呂入れ。俺がやる」
「見てたなら教えてくれたらいいじゃん。俺だって洗濯くらいできる」
「あーハイハイそうだな。・・・今度教えてやる、だから今日はいい。邪魔になるだけだ」
万里は俺が洗濯機に入れたぷにぷにと服を出し、何故か服は分別して、手際よくぷにぷにと柔軟剤を入れスタートボタンを押す。
2個でよかったのか。あのまま10個入れてたらどうなっちゃってたんだろ。
「なにやってんだ。さっさと風呂入れよ」
棚からバスタオルを出し渡してくれる万里。
「うん。でも俺、スタジオでシャワー入って来てるんだけど・・・」
バスルームの掃除もしたくないから、シャワーがある所ならいつもそうしてる。
「おまえなあ、ちゃんと湯船につかんねーと・・・。まあいいや、好きにしろ」
ポン、と頭に大きな手が乗ってすぐに離れて、万里はリビングに戻って行く。
久しぶりに万里に触られた頭が、じん、と熱くなる。髪の先まで神経があるかのよう。
触れてくれたことが嬉しい。ほんの一瞬感じた彼の体温が、1ヶ月前のセックスの記憶を甦らせる。
万里に、抱かれたい。
俺は男なのに、どうしてそう思うんだろう。女の子に対しては抱きたいって思ってた。なんで万里には抱かれたいんだ?
あんなところに挿入されてあんなに痛いのに、自分の出す声に死にたいくらい恥ずかしくなるのに、でもそんなのどうでもよくなるくらい気持ち良かった。
万里が好き。
この気持ちは届かない。
それなのに体の熱はいつまでも燻り続ける。
いっそ他の誰かに同じようにしてもらえたら、楽になるのかな。
万里のこと、またマネージャーとして見れるようになるのかな。
俺の気持ちに対する万里からの答えは、もうとっくに出てる。
自分の気持ちは自分で整理しなきゃ。どんなにぐちゃぐちゃでも、心の中は万里に片付けてもらえないんだから。
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