マネジメント!

Hiiho

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misinterpret 2

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  湊さんも既婚者だったのか。じゃあ、二人はダブル不倫ってやつ?
  そこに俺も入ってるから・・・トリプル?あ、でも俺結婚してないし・・・

  頭が混乱して変になりそう。
  とにかく爛れた関係であることは間違いない。

  それにしてもこんな息子がいるなんて、万里より若く見えるけど、この人一体何歳なんだろう。
  万里、歳上が好きなのかな・・・。だったら俺に勝ち目なんか無いかもしれない。

「・・・へぇ~。息子にしては大きい。湊さんて実は相当おじさん?」

  なんだか悔しくて、嫌味な言い方になってしまう。

「ははは。夏とは血が繋がってないから。でも、シウくんと夏からしたらおっさんだよ」

  嫌味を笑顔で受け流されてしまう。・・・余裕かよ。くっそぉ~!

  ホントの息子じゃないんだ。て事は、結婚してない可能性も・・・

  あ!ゲイだから、万里がいるから結婚しないとか?でも子供は欲しい、っていうタイプ?
  万里も子供はいないはず。もしかして、夏を二人の子供として育ててんの!?


「夏くんも座ったら?」

  万里が夏に声を掛け、遠慮する夏を強引に打ち合わせに参加させる。

  え!?なんでこんなお茶汲みのバイトを・・・。やっぱり、万里もこいつを可愛がってるんだ!

  真相が知りたい。でも、知ってしまったら俺は、それでも心が折れない自信が無い。


  ・・・でも気になる。


  俺のプロモーションについての話なんかもうどうでも良くなって、頭の中は、同じ空間にいる彼らの事でいっぱいになる。

  とりあえず、やんわり聞き出すしかない。自分が傷付かないように・・・

「夏っていくつ?」

「今年17ですけど・・・」

  って事は俺の3歳下で、万里の10歳下。10歳差の息子・・・?弟的な?うーん、よくわかんないな。

  まさか、こいつも愛人?湊さんと三人で・・・!?

「ふーん。3コ下かぁ。老けてんね、同じくらいかと思った」

  あまりの動揺で、夏にまで嫌味を言ってしまう。

「シウさんこそ、テレビで観るのと印象が違いすぎませんか?」

  ほっとけ!
  俺は今、心が不安定で荒んで自分でもどうしていいかわかんないんだよ!

  メディア越しの自分がどんなかなんて、今は気にしていられない。

  誰かを嫌な気分にさせて、それでいいなんて思ってない。だけど万里の事になると、嫌いな自分がどんどん出てきて止められなくなる。


  ただ、俺だけを見て欲しい。想ってほしい。それは叶わないことなのかな。


「そうなんだよ。ほんとに手にかかる『商品』でね。困ってるんだ」

  俺と夏の会話を聞いていたのか、溜息を吐いた万里の手が頭の上に乗ってくる。

  『商品』・・・。そうだよね。湊さんと夏の前で、それ以上の説明なんてできないよね。
  俺は、それに従えばいいの・・・?

「商品扱いすんな。クソマネージャー」

  ツン、と鼻の奥が痛くなって、俺は万里の手を振り払う。

  ムカつく・・・。
  自分だけのものじゃないのに、湊さんと付き合ってるくせに、俺のことなんか『商品』としか思ってないくせに。


  それでも、万里が触れてくれることが嬉しい。


  上がってくる体温を下げたくて、テーブルに置かれたドリンクを飲む。

  ・・・甘くてシュワシュワしてる、コーラ。

  ふと横を見ると、万里と湊さんの前にはコーヒーカップが置かれている。

  これって、さっき俺がシュワシュワが飲みたいって言ったから、わざわざ用意してもらったってこと?


「『商品』だろ。うちの大事な大事な一級品なんだから」

  払い除けたはずの万里の手が、今度は背中に添えられて、思わず体が反応する。

  視線を感じて湊さんを見返すと、俺達を見て穏やかに笑っている。

  やっぱり余裕なんだ。万里が俺を『商品』って言い切ってるから。・・・悔しい。

「どーせビジュアルだけ」

  きっと、湊さんもそう思ってる。ビジュアルだけのお飾りタレントに負けるわけないって。



  その後は打ち合わせに夏も加わって、話が盛り上がる三人。

  俺は、やっぱりそんなのどうでも良くて、万里と湊さんが二人話し込んだ隙を見て、夏に探りを入れる。

「夏、湊さんの息子ってマジ?」

「はい。養子ですけど。つーかシウさん、自分の事なのに話に入らないんですか?」

  それどころじゃないんだって!

「別にいい。俺はマネージャーが決めた事に従うだけ」

  もう何でもいいよ!仕事の話は!

「そんなことより、息子なら一緒に住んでるんだろ?湊さんって恋人いる?」

「いますよ」

  やっぱり!
  ここで『万里』という答えが返って来るとは思ってない。
  男同士だし、オープンにできる関係でもないだろうし。

「どんなヤツ?夏、知ってる人?」

  傷付くとわかってる。だけど、ここまで来たら聞かずにはいられない。

「はい。よく知ってます。柊さんより少し背が高くて、誰よりも柊さんを想ってるヤツですよ」

  ・・・ああ、確定だな。そんなの、万里しかいない。

「ふーん。そうなんだ」

  精一杯、なんでもないフリをする。

  万里に、俺を好きになって欲しかった。誰よりも想われたかった。
  ・・・でも、現実を突き付けられた今、それは本当に叶わない望みなんだとわかった。


  諦めなきゃいけない。この気持ちを手放さなきゃいけない。
  他の誰かを想ってるって知りながら、万里を想い続けるなんてやっぱり辛すぎる。


  堪らなく切ない気持ちになって横目で万里を盗み見る。瞬間、ぶわっと背中に冷汗が出た。

  くっついてしまいそうなほど顔を近付けている万里と湊さん。

「くそマネ、湊さんに近すぎ。離れろ」

  思わず万里の肩を引っ張って湊さんから遠ざける。

  驚いたように俺を見る万里と湊さん。

  あ・・・なにやってんの俺。嫉妬で勝手に手と口が・・・。
  今さっき諦めなきゃって思ったとこなのに。こんな事くらいで もう揺らいでる。


  どうしてこうも自分を抑えられないんだよ。
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