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Case6
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張飛にもらったキスの感触を、甘いクリームを舐めるように味わった颯茄は、大きく息を吸って目を閉じた。
「後ろから抱きしめて!」
「イェーイ!」
みんなの声の残響が響き渡ると、真っ暗な視界で静寂が降りた。颯茄を耳を澄ます。足音だってヒントになるのだから、聞き逃してなるものかと。
しかし、いつまで経っても足音は聞こえてこず、まだ始まってないのかと疑心暗鬼に差し掛かろうとすると、いきなり腕を巻きつけられた。
びっくりして思わず、びくっとしたが、もう回答時間が始まっている。颯茄は呼吸を整えて、こんなお化けみたいなことをしてくる人の名前を自信満々で言った。
「夕霧さん」
「正解だ」
地鳴りのような低い声が、背中を伝って響いた。武術の技を使って、瞬間移動でもしたようにあっという間に、颯茄の前へ夕霧命は回り込んだ。
「それでは、誓いの言葉を……」
黒の重厚感が漂うタキシードを着た夕霧命が口を開く。
「お前を永遠に愛すと誓う」
「はい……」
妻が照れたように答えると、三十八センチの身長さを詰めるために、夕霧命はかがむのではなく、妻を直立不動まま軽々と持ち上げた。
「いやいや、何で、地面と直角に持ち上げてるんですか?」
「浮身の修行だ」
「まただ……」
妻は一瞬あきれた顔をしたが、こんな修行バカな夫がやはり好きなのだ。微笑み返して、二人の唇は神聖な祭壇の前で触れた。クラクラとめまいがするような、男の色香が匂い立つキスだった。
二人が離れると、
「理由は何だったすか?」
「足音がしなかったんです。それって、縮地使ってるから……」
「お前も修行バカになってる」
夫全員からツッコミがやってきたが、妻は大騒ぎで否定する。
「いやいや、それは置いといて、足音聞いた人いますか?」
「いや、聞いてない」
「でしょ? すごいと思う武術って。夕霧さんが敵だったら、今頃私やられてますよ。知らないうちに近づかれて……」
夕霧命の技の凄さを見せつけられたゲームだった。
「後ろから抱きしめて!」
「イェーイ!」
みんなの声の残響が響き渡ると、真っ暗な視界で静寂が降りた。颯茄を耳を澄ます。足音だってヒントになるのだから、聞き逃してなるものかと。
しかし、いつまで経っても足音は聞こえてこず、まだ始まってないのかと疑心暗鬼に差し掛かろうとすると、いきなり腕を巻きつけられた。
びっくりして思わず、びくっとしたが、もう回答時間が始まっている。颯茄は呼吸を整えて、こんなお化けみたいなことをしてくる人の名前を自信満々で言った。
「夕霧さん」
「正解だ」
地鳴りのような低い声が、背中を伝って響いた。武術の技を使って、瞬間移動でもしたようにあっという間に、颯茄の前へ夕霧命は回り込んだ。
「それでは、誓いの言葉を……」
黒の重厚感が漂うタキシードを着た夕霧命が口を開く。
「お前を永遠に愛すと誓う」
「はい……」
妻が照れたように答えると、三十八センチの身長さを詰めるために、夕霧命はかがむのではなく、妻を直立不動まま軽々と持ち上げた。
「いやいや、何で、地面と直角に持ち上げてるんですか?」
「浮身の修行だ」
「まただ……」
妻は一瞬あきれた顔をしたが、こんな修行バカな夫がやはり好きなのだ。微笑み返して、二人の唇は神聖な祭壇の前で触れた。クラクラとめまいがするような、男の色香が匂い立つキスだった。
二人が離れると、
「理由は何だったすか?」
「足音がしなかったんです。それって、縮地使ってるから……」
「お前も修行バカになってる」
夫全員からツッコミがやってきたが、妻は大騒ぎで否定する。
「いやいや、それは置いといて、足音聞いた人いますか?」
「いや、聞いてない」
「でしょ? すごいと思う武術って。夕霧さんが敵だったら、今頃私やられてますよ。知らないうちに近づかれて……」
夕霧命の技の凄さを見せつけられたゲームだった。
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