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心霊探偵はエレガントに〜karma〜
Spiritual liar/8
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紺の髪は赤い雨を吸って、重たい紫色に変わり、神経質な頬には血の涙を流したように滴がいくつもいくつも落ちてゆく。
おかしい――
言わない。そちらは裏を返せば……重要であるということです。
こちらの可能性が75.43%――
隣に立っているラジュの金色をした髪が風に吹かれ、崇剛の視界が不良になり、気がつくとまた現実へと意識は戻っていた。
白髪まじりの男を真正面から見て、崇剛は今までのデータから事実を探ってゆく。
すぐにわかるような嘘をつく。
こちらのようなことをする方の一番の傾向――。
そちらは、邪神界、正神界に関係なく、霊層が非常に低いということです。
すなわち、魂が濁っており、人としてもレベルが低いということです。
そうですね……?
隣でさっきからずっとニコニコしている天使に、聖霊師は意識を傾けた。
ラジュの不気味な含み笑いが崇剛の心にだけ聞こえてきた。神の目で判断してつけられたランクづけを告げる。
「うふふふっ。四百九十五段です~。あと六段下がれば、地獄行きです~。あと三つ嘘をつけば、血の池へ突き落としましょうか~?」
天使の仕事をまっとうしているのか、趣味なのか判断しかねるラジュに、崇剛は心の中で返事を返した。
「なぜ嘘をつかれるのですか? 邪神界の者は霊層は五百一段以下にはなりません」
数字が大きくなればなるほど、霊層は低くなるシステムだった。
「ですが、正神界へと戻ってきた時には、この者は千段以下に落ちるかもしれませんよ? 邪神界へ行っただけで、罪はずいぶん重なりますからね~?」
「ですから、邪神界から戻ってこないのかもしれませんね」
「そちらもありますが、地獄の設備に不備が――」
メシア保有者と天使だけの会話がどこまでも続いていきそうだったが、元のおどおどした声が割って入った。
「あ、あの……先生、悪霊とか憑いてませんか?」
(よく、そういう理由ってあるだろう)
天使と守護霊によって、結界を張られた屋敷内。診療所の椅子に座っている崇剛とラジュを残して、色をなくした。
千里眼の持ち主の前で、全ての出来事が逆再生されてゆく。元は椅子から立ち上がり、後ろ歩きでドアから出ていった。
呪縛霊。
怨霊。
生霊……そのようなものは見えません。
従って……。
正常な色を取り戻し、今現在の診療室で、冷静な水色の瞳は横へゆっくり揺れる。
「今のところ、そちらは心配ありません」
そうとしか言いようがなかった。行動が自由な怨霊と生霊は行方が追えない。今いないだけかもしれないのだから。
ラジュの他に目に見えない人物がもう一人いた。それは元の背後に立っている真っ白い男だった。
すぐ近くにある本棚のガラス窓には映っていない、この世のものではない者。
ですが……別のものがついています。
額の上に三角の白い布をつけた霊体。
そちらは先祖であるという可能性が98.74%――。
正式な守護霊ではないみたいです。
すなわち、一種の呪縛霊です。
そうですね……?
白いローブと金の長い髪を視界の端に映しながら、崇剛は肘掛にもたれた。
霊層の低い方は、事実を事実として受け入れられないという傾向が非常に高い。
従って、こちらのことと、大きな事件であるということは、今は伏せておきましょう。
さらに、先ほどから過去世を見ようとしているのですが、何かが邪魔をしていて、見ることが出来ません。
待ってはみたものの、凛とした澄んだ女性的な声はいつまでも聞こえてこなかった。崇剛は少しだけ左へ顔を向け、心の中で金髪天使に意見を求めた。
(ラジュ天使、教えていただけないのですか?)
いつの間にかシロツメグサの花冠をかぶっていて、女性みたいなトラップ天使はニコニコしながら、手堅く守護してくる。
「崇剛の修業になりませんし、この者のためにも、今はなりませんからね。教えませんよ~?」
花冠を直す指先は男の線なのに、全体的に女性と勘違いさせる天使は、手厳しく啓示する。
「今真実を告げても、この者が改心できるという可能性は0.001%です~。ゼロに非常に近いです」
依頼主は天使からサジを投げられていた。
「そうですか」
同じ思考回路の天使。人間よりもはるかに長い時を生きている相手。策略など通用しない。崇剛は天使からの情報収集はあきらめ、元に顔を戻した。
「恩田さん、今ところは何とも言えませんが、ひとつだけはきちんと答えて差し上げられます」
おかしい――
言わない。そちらは裏を返せば……重要であるということです。
こちらの可能性が75.43%――
隣に立っているラジュの金色をした髪が風に吹かれ、崇剛の視界が不良になり、気がつくとまた現実へと意識は戻っていた。
白髪まじりの男を真正面から見て、崇剛は今までのデータから事実を探ってゆく。
すぐにわかるような嘘をつく。
こちらのようなことをする方の一番の傾向――。
そちらは、邪神界、正神界に関係なく、霊層が非常に低いということです。
すなわち、魂が濁っており、人としてもレベルが低いということです。
そうですね……?
隣でさっきからずっとニコニコしている天使に、聖霊師は意識を傾けた。
ラジュの不気味な含み笑いが崇剛の心にだけ聞こえてきた。神の目で判断してつけられたランクづけを告げる。
「うふふふっ。四百九十五段です~。あと六段下がれば、地獄行きです~。あと三つ嘘をつけば、血の池へ突き落としましょうか~?」
天使の仕事をまっとうしているのか、趣味なのか判断しかねるラジュに、崇剛は心の中で返事を返した。
「なぜ嘘をつかれるのですか? 邪神界の者は霊層は五百一段以下にはなりません」
数字が大きくなればなるほど、霊層は低くなるシステムだった。
「ですが、正神界へと戻ってきた時には、この者は千段以下に落ちるかもしれませんよ? 邪神界へ行っただけで、罪はずいぶん重なりますからね~?」
「ですから、邪神界から戻ってこないのかもしれませんね」
「そちらもありますが、地獄の設備に不備が――」
メシア保有者と天使だけの会話がどこまでも続いていきそうだったが、元のおどおどした声が割って入った。
「あ、あの……先生、悪霊とか憑いてませんか?」
(よく、そういう理由ってあるだろう)
天使と守護霊によって、結界を張られた屋敷内。診療所の椅子に座っている崇剛とラジュを残して、色をなくした。
千里眼の持ち主の前で、全ての出来事が逆再生されてゆく。元は椅子から立ち上がり、後ろ歩きでドアから出ていった。
呪縛霊。
怨霊。
生霊……そのようなものは見えません。
従って……。
正常な色を取り戻し、今現在の診療室で、冷静な水色の瞳は横へゆっくり揺れる。
「今のところ、そちらは心配ありません」
そうとしか言いようがなかった。行動が自由な怨霊と生霊は行方が追えない。今いないだけかもしれないのだから。
ラジュの他に目に見えない人物がもう一人いた。それは元の背後に立っている真っ白い男だった。
すぐ近くにある本棚のガラス窓には映っていない、この世のものではない者。
ですが……別のものがついています。
額の上に三角の白い布をつけた霊体。
そちらは先祖であるという可能性が98.74%――。
正式な守護霊ではないみたいです。
すなわち、一種の呪縛霊です。
そうですね……?
白いローブと金の長い髪を視界の端に映しながら、崇剛は肘掛にもたれた。
霊層の低い方は、事実を事実として受け入れられないという傾向が非常に高い。
従って、こちらのことと、大きな事件であるということは、今は伏せておきましょう。
さらに、先ほどから過去世を見ようとしているのですが、何かが邪魔をしていて、見ることが出来ません。
待ってはみたものの、凛とした澄んだ女性的な声はいつまでも聞こえてこなかった。崇剛は少しだけ左へ顔を向け、心の中で金髪天使に意見を求めた。
(ラジュ天使、教えていただけないのですか?)
いつの間にかシロツメグサの花冠をかぶっていて、女性みたいなトラップ天使はニコニコしながら、手堅く守護してくる。
「崇剛の修業になりませんし、この者のためにも、今はなりませんからね。教えませんよ~?」
花冠を直す指先は男の線なのに、全体的に女性と勘違いさせる天使は、手厳しく啓示する。
「今真実を告げても、この者が改心できるという可能性は0.001%です~。ゼロに非常に近いです」
依頼主は天使からサジを投げられていた。
「そうですか」
同じ思考回路の天使。人間よりもはるかに長い時を生きている相手。策略など通用しない。崇剛は天使からの情報収集はあきらめ、元に顔を戻した。
「恩田さん、今ところは何とも言えませんが、ひとつだけはきちんと答えて差し上げられます」
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