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水色桔梗ラジオ:ゲスト 月命
カエルと呼ばれて
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気分が高揚するような、華々しいファンファーレみたいな音楽が鳴り、女の声が聞こえてきた。
「ご機嫌よう、みなさん。水色桔梗ラジオ、第一回が始まりました。パーソナリティーは妻の颯茄です」
一呼吸置いて、颯茄がまたしゃべり出す。
「そして、生えある最初のゲストは、月命さんです」
「呼んでいただいて、ありがとうございます」
「我が家の邪悪担当ですからね」
「いいえ、それは少々言い過ぎなんです~」
月命の反論を受けて、颯茄は少しだけ笑った。
「まあ、そうですね。邪悪な感じはしないです。ただ失敗するのは大好きってところは変わらないです」
「うふふふっ」
「前置きはこれくらいにして、本題に入りましょうか?」
颯茄が仕切り直すと、月命が困った顔をした。
「おや、僕は何かやらかしたんでしょうか~?」
「ご名答です!」
「何ですか~?」
「時限爆弾ケーキを回している時にですね、職業を答えたじゃないですか」
「えぇ」
「あそこで、最初『カエル女装』と言って、そのまま説明しないで話が進んでしまったんですね」
「そうですか~」
「そうしたら、読者の方から質問が来たんです」
「何とですか?」
「どういう経緯でああなったのか、と」
「君が急いでいたから、説明を抜かしたんですよ」
「はい、重々承知してます」
しょんぼりした颯茄だったが、気持ちを入れ替えて先に進めた。
「今日はその話をしようかと思って、ゲストに呼んだんです」
「そういうことでしたか~」
「で、本題なんですけど、カエルの話は知ってる人は知ってるんですよね?」
「えぇ、そうです~」
「大人ではなくて、子供の方が知ってるかもしれないです」
「僕の職場での話ですからね」
「月命さんは、姫ノ館という学園の初等部で教師をしています。そこでの話ですね」
「えぇ」
「何があったんでしたっけ?」
「僕がカエルの被り物をして、学校へ行ったんです」
「大胆なことしますよね。でも、それって訳があってしたんですよね?」
「えぇ、僕をモデルにしたキャラクターがカエル族だったんです。だから、カエルを被って学校へ行ったんです」
「生徒たちの反応はどうでしたか?」
「みんな喜んでくれて、僕は大変満足してます」
「こう聞くと、月命さんは笑いを取るのが好きみたいに聞こえるんですが、実は違うんですよね?」
「僕は生徒たちが笑顔になるためなら、何でもしますよ~?」
「そう。教師の鑑みたいな人なんです。妻は惚れ直したわけです」
「うふふふっ」
「カエル先生と今でも呼ばれたりするんですか?」
「えぇ、時々、かぶって行く時がありますからね」
「あと、女装はどうしてですか?」
「そちらは君がいけないんです~」
「私のせいですね。ごもっとも」
妻は咳払いをして、話を続けた。
「別の作品でですね、月命さんをモデルにしたキャラクターが、女装をして金品を騙し取るという話があったんです」
「えぇ、ですから、僕はそちらを参考にして、オーダーメイドで女性用の服を作ったんです」
「校長先生に叱られませんか?」
「いいえ、子供たちのためならば、構わないというお考えでいらっしゃいますからね」
「先生も伸び伸びと働けるいい職場ですね」
「僕はとても幸せ者です」
「おっとっと、忘れるところだった」
「君はいつもおっちょこちょいです~」
「女装の後日談があるんですが、本編で取り上げてもいいかなって思いますので、皆さん楽しみにしていてくださいね」
颯茄は一呼吸置くと、エンディングテーマが小さく流れ始めた。
「それでは、そろそろお時間となりましたが、月命さん、どうでしたか?」
「僕はさっきから気になっていることがあるんです~」
「何をですか?」
「君が僕の名前に命をつけて呼んでいるんです~。距離を置かれているような感じがするんです」
「すみません。ラジオってことで、ちゃんと命をつけてしまいました。これって、尊称みたいなものらしいんですよね。だから、光命さんや夕霧命さんも、私たちの間では命をつけないで呼んでます」
「人前でも、僕の名前は月と呼んでください。そうでないと、僕は君を許しません」
「怒らせると大変なので、きちんと呼びます」
颯茄が頭を下げると、月命はにっこり微笑んで、手を振り始めた。
「それでは、みなさん、さようなら」
「あれ? 月さん、私が仕切るところですよ!」
テーマ曲が大きくなり、やがて静寂がやってきた。
「ご機嫌よう、みなさん。水色桔梗ラジオ、第一回が始まりました。パーソナリティーは妻の颯茄です」
一呼吸置いて、颯茄がまたしゃべり出す。
「そして、生えある最初のゲストは、月命さんです」
「呼んでいただいて、ありがとうございます」
「我が家の邪悪担当ですからね」
「いいえ、それは少々言い過ぎなんです~」
月命の反論を受けて、颯茄は少しだけ笑った。
「まあ、そうですね。邪悪な感じはしないです。ただ失敗するのは大好きってところは変わらないです」
「うふふふっ」
「前置きはこれくらいにして、本題に入りましょうか?」
颯茄が仕切り直すと、月命が困った顔をした。
「おや、僕は何かやらかしたんでしょうか~?」
「ご名答です!」
「何ですか~?」
「時限爆弾ケーキを回している時にですね、職業を答えたじゃないですか」
「えぇ」
「あそこで、最初『カエル女装』と言って、そのまま説明しないで話が進んでしまったんですね」
「そうですか~」
「そうしたら、読者の方から質問が来たんです」
「何とですか?」
「どういう経緯でああなったのか、と」
「君が急いでいたから、説明を抜かしたんですよ」
「はい、重々承知してます」
しょんぼりした颯茄だったが、気持ちを入れ替えて先に進めた。
「今日はその話をしようかと思って、ゲストに呼んだんです」
「そういうことでしたか~」
「で、本題なんですけど、カエルの話は知ってる人は知ってるんですよね?」
「えぇ、そうです~」
「大人ではなくて、子供の方が知ってるかもしれないです」
「僕の職場での話ですからね」
「月命さんは、姫ノ館という学園の初等部で教師をしています。そこでの話ですね」
「えぇ」
「何があったんでしたっけ?」
「僕がカエルの被り物をして、学校へ行ったんです」
「大胆なことしますよね。でも、それって訳があってしたんですよね?」
「えぇ、僕をモデルにしたキャラクターがカエル族だったんです。だから、カエルを被って学校へ行ったんです」
「生徒たちの反応はどうでしたか?」
「みんな喜んでくれて、僕は大変満足してます」
「こう聞くと、月命さんは笑いを取るのが好きみたいに聞こえるんですが、実は違うんですよね?」
「僕は生徒たちが笑顔になるためなら、何でもしますよ~?」
「そう。教師の鑑みたいな人なんです。妻は惚れ直したわけです」
「うふふふっ」
「カエル先生と今でも呼ばれたりするんですか?」
「えぇ、時々、かぶって行く時がありますからね」
「あと、女装はどうしてですか?」
「そちらは君がいけないんです~」
「私のせいですね。ごもっとも」
妻は咳払いをして、話を続けた。
「別の作品でですね、月命さんをモデルにしたキャラクターが、女装をして金品を騙し取るという話があったんです」
「えぇ、ですから、僕はそちらを参考にして、オーダーメイドで女性用の服を作ったんです」
「校長先生に叱られませんか?」
「いいえ、子供たちのためならば、構わないというお考えでいらっしゃいますからね」
「先生も伸び伸びと働けるいい職場ですね」
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「おっとっと、忘れるところだった」
「君はいつもおっちょこちょいです~」
「女装の後日談があるんですが、本編で取り上げてもいいかなって思いますので、皆さん楽しみにしていてくださいね」
颯茄は一呼吸置くと、エンディングテーマが小さく流れ始めた。
「それでは、そろそろお時間となりましたが、月命さん、どうでしたか?」
「僕はさっきから気になっていることがあるんです~」
「何をですか?」
「君が僕の名前に命をつけて呼んでいるんです~。距離を置かれているような感じがするんです」
「すみません。ラジオってことで、ちゃんと命をつけてしまいました。これって、尊称みたいなものらしいんですよね。だから、光命さんや夕霧命さんも、私たちの間では命をつけないで呼んでます」
「人前でも、僕の名前は月と呼んでください。そうでないと、僕は君を許しません」
「怒らせると大変なので、きちんと呼びます」
颯茄が頭を下げると、月命はにっこり微笑んで、手を振り始めた。
「それでは、みなさん、さようなら」
「あれ? 月さん、私が仕切るところですよ!」
テーマ曲が大きくなり、やがて静寂がやってきた。
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