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 シーツの上にハニーブロンドの髪が広がる。
 サラの両手はファビオの筋張った手によって押さえこまれ、逃げられそうにない。そもそも、逃げるつもりもないが。

 アルベルトのおかげで多少身体は動くようにはなったが、まだまだ満足には程遠い。身体がこれから先の展開に期待している。熱のこもった視線に射抜かれ、ズクンと子宮が疼いた。

 サラは余計な言葉を吐き出さないように口を閉じ、覆いかぶさっているファビオを黙って見上げた。
 ファビオの表情は苦しそうに歪んでいる。そんな顔をさせているのは紛れもなく自分だ。

「ファビ」
「それで、アルベルトに触らせたんだ?」

 半笑いで尋ねるファビオ。サラは言葉に詰まった。

「少し、だけ。最後までは、してない。私の『ナイト』はファビオだけっ」

 言った瞬間、言葉選びを間違えたと思った。
 アルベルトから聞いた話。なんとなく自分でも気づいていた。ただ、ファビオを傷つけたくないという気持ちと、自分がどんどん淫乱になっているのを認めたくないという気持ちが大きすぎて、目を逸らし続けていただけで。

 相反する身体と心。自ずと涙が込み上げてくる。――――ダメ。私が泣くのは違うわ。
 下唇を噛んで耐える。すっかり癖になっているせいですぐに血の味を感じた。
 不意にファビオの指がサラの唇に触れる。驚いて顔を上げた。

「噛むな。血が、出ている。……ごめん。本当は俺もわかってるんだ。でも、他の男がおまえに触れたと思うと……気が狂いそうになる」

 ファビオが切なげに顔を歪ませる。その表情を見て、サラの胸も締め付けられた。

 ――――ファビオが謝ることはないのに。むしろ、謝らないといけないのは私。

 サラにとってファビオは第二の兄のような、幼馴染のような、そんな存在だった。でも、今は違う。
 もし……もしもだとしても今更気持ちに応えることはできない。

 この先きっとファビオをたくさん傷つけてしまうだろう。もうサラから離れたいと思う日がくるかもしれない。そうなっても仕方ない。そうなった時はすぐに解放してあげよう。
 でも、それまでは……。今だけは……。

 サラは解放された方の手をファビオへと伸ばした。頬に触れるとファビオがぴくりと反応する。

「サラ? 」
「ファビオ、抱いて? をファビオでいっぱいにして」

 ココと下腹部に触れて微笑む。
 ファビオは己の理性が焼き切れる音を聞いた……気がした。



「ああっ! ファビオ奥ぅっ」
「ああっ。わかってるっ」
「奥すごいっぐりぐりっ」

 最奥に当たっているにも関わらず、さらにねじ込むような動き。降りてきた子宮がファビオのモノをギュッギュッと締め付けているのが自分でもわかる。

 ――――ああ、キモチイイ! キモチイイ……ケド。

 もやっとする思考を追い出し、今は目の前のファビオに集中する。
 サラは自分からファビオの首に腕を巻きつけ唇を重ねた。

「ん。サラ。サラ。好きだっ」
「ん」

 言葉の代わりに唇を何度も重ねる。
 二人だけがいる室内に、荒い呼吸音と、水音が重なり合う。

「ああっ!」
「くっ!」

 何度目かわからない吐精。
 しかし、サラの身体の熱は引く気配がなかった。むしろ、次第に熱さを増している。膣口から入りきらなくなった精子がこぽりと外に零れた。

 ――――ああ、やっぱり。アルベルト様が言っていたことは本当だったのだ。

 絶望感に襲われ、サラはポロポロと涙を零す。

「サラ? 」
「ごめん。ごめんなさいファビオ」
「どうした? サラ?」

 慌てて上半身を起こし、サラの様子を窺うファビオ。けれど、サラは顔を隠し、理由を教えてはくれない。

「激しすぎたか? 痛かった?」
「違う。そうじゃなくてっそうじゃ、なくてっ」
「サラ、大丈夫だから」

 呼吸が乱れ始めたサラの手を握り、ファビオが優しく声をかける。その優しさが今は辛い。
 サラは手を強く握り返し、ファビオを傷つけるだろう言葉を、紡いだ。

「ニーのところに、連れて行って」

 ファビオの目が見開き、悔しそうに歪む。けれど、次の瞬間には笑みを浮かべ、頷き返した。

「わかった。すぐ連れて行ってやるからな」

 サラを横抱きし、ニーノの元へと転移する。

「ニーノ! サラがっ」
「ああ。そこに寝かせろ」

 ニーノは突然現れた二人に驚くこともなく、まるで予期していたかのように冷静に指示した。
 そして、ファビオに有無を言わせない口調で告げる。

「説明は後だ。ファビオは俺がいいというまで外に出ていろ」
「なっ……」

 なぜと聞こうとして青褪める。まさか、と唇が震えた。

「さっき俺が抱いたばかりだぞ?」
「ああ、
「何で」
「言っただろう。後で説明すると。今は、サラを楽にしてやるのが先だ」

 最初の頃よりも明らかに荒い呼吸をしているサラ。ファビオはぐっと奥歯を噛み締め、後ろを向いた。

「わかった。頼んだ」
「……ああ」

 ファビオが出ていき扉が完全に閉まるとニーノは溜息を一つ吐き、着ていた白衣を脱いで近くの椅子にかけた。



 ぎしっとベッドが軋む。
 誰かが私の上に覆いかぶさっている。

 ――――誰?

「ファビオ?」
「……」
「ニー?」

 重い瞼を開くと、すぐ近くにニーノがいた。いつも通り無表情の義兄。けれど、サラに触れる手はいつもより高い。

「ん」

 首筋に触れていた手が離れ、サラの身体を包んでいたシーツをはぎとる。ニーノに裸を見られるのはこれが初めてじゃない……けど恥ずかしい。サラは無意識に手や足で隠そうとした。
 が、ニーノに阻止される。

 強引に股を開かれた。

「これならすぐに入りそうだな」

 ニーノの冷静な視線と言葉にサラの方が恥ずかしくなる。
 邪魔になると思ったのかニーノは片眼鏡を外し、近くのテーブルの上に置いた。
 琥珀色の瞳が改めてサラへと向けられる。サラはどういう顔をすればいいのかわからず、ぎゅっと瞼を閉じた。

 秘部にニーノの熱いモノが触れる。
 ――――ニーが入ってくる!
 と覚悟したが、ニーノはすぐには入れてこなかった。代わりにサラの膣口から溢れている体液を己のモノにまとわせぐちゅぐちゅと擦り付け始めた。

「んっんん」

 外にいるであろうファビオに聞かれたくなくて口を己の手で塞ぐ。ニーノも止めはしなかった。
 ニーノは肉棒でサラの秘裂を擦った。そのたびに中から蜜が溢れてくる。
 亀頭でサラのぷっくり膨れ上がった秘芽を押しつぶすとサラの身体が仰け反った。すっかりサラの身体は出来上がっている。

「ふぅっ……そろそろ、いれるぞ?」

 珍しく乱れている呼吸。冷静さの中に雄の気配を漂わせているニーノ。
 過剰に意識してしまいそうになったサラは無言で何度も頷き返した。

「っ!」

 熱くて大きなモノがサラの中へと押し入ってくる。

「っああ!」

 耐え切れずサラは大きく喘いだ。本能が理性を上回った瞬間だった。
 義兄ニーノが相手だというのにサラの身体は喜んでいる。
 ――――ハヤクモラッテ! カワリニアナタノヲチョウダイ!

 口を開け、舌を天に突き出し、身体をビクビクと震わせる。

「もっと、もっと奥にちょうだいっ!」

 考えるよりも先に言葉が口から出ていた。手と足を使ってニーノの身体を引き寄せる。

「っ」

 サラは必死で目の前のオスに縋り付いた。
 サラの気持ちが伝わったのか、ニーノも強く抱きしめ返してくる。そして、密着したまま奥を何度も突き始めた。

「あっ! あっ! ああっ!」
「くっ、一度、だすぞっ」

 ニーノのモノが大きく膨らんだかと思えば、勢いよく中に発射される。同時に子宮内に溜まっていた蜜がごっそりと持っていかれるのを感じた。

「ああっ」
「くっ。なるほど、これが……」
「ニー……ニー、ごめんね」
「謝るな。こうなることはわかっていた。サラのせいじゃない。気にするな」

 ニーノがサラの目尻に滲んだ涙を指で拭う。

「ニー……」
「それより」
「?」
「念の為もう一度するぞ」
「え」

 でも、まだサラの中にいるニーノはふにゃふにゃのままだ。
 どうするのかと思ったらニーノがおもむろにテーブルの上にあったボールを掴んだ。

「なにそれ?」
「効率を上げる」
「え?」

 戸惑っているとニーノがサラの秘芽にボールを押し当てた。

「え? な、なにこれっ?!」

 不思議なことにボールは形を変形させそのまま秘芽に張り付いてしまった。
 嫌な予感がする。その予感が当たりだということはすぐにわかった。

 ニーノが魔力をボールに注入すると、ボールが震え始めたのだ。

「ああああああ!」

 突然強い快感に襲われたサラは激しく仰け反った。サラの中がニーノをぎゅうぅっとしめつける。
 物理的要素と視覚要素によってニーノの肉棒は再び堅さをとりもどした。
 サラの腕を引き、体位を変える。所謂騎乗位。サラの体重でさらに深くまで入っていく。

「ん、おっきぃ」

 サラの言葉にニーノが反応した。
 ふとニーノは気づく。こういう行為自体久しぶりだということを。今までは溜まったら店に行って吐き出すというのを繰り返していた。いわば、ただの排出作業だったのだが、今回の行為はそれと似ているようで全く違う。

 できることなら毎日、何回でもしたいという異様な依存性がある。まるで薬物のようだ。これも『クイーン』の能力なのだろうか。

 そんなことを考えながら、ニーノはボールに手を伸ばす。もう一度魔力を流した。振動がさらに強くなる。

「あああああ」
「くっ。これはすごいなっ」

 受け取った魔力をこうして使い、消費した分をまたサラから吸い取る。どれくらい続けられるのだろうか。純粋な好奇心。
 気づけばニーノの口角が上がっていた。その表情を見てしまったサラの顔に怯えが走る。
 その顔を見てニーノはさらに興奮するという悪循環。結局、ニーノが満足するまでサラは離してもらえなかった。
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