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#1 レツオウガ起動

Chapter03 魔狼 13-11

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 同時に、即席の術式も組み上がる。
 風葉とは違い、手持ちの術式をつなぎ合わせた即席のパッチワーク。
 だが、それで十分だ。
 眼前の敵を、自分の影を、打ち破るのならば。
「ちょいと、がんばってみるか――!」
 今までとは打って変わり、二刀をゆらりと下段に構えるレツオウガ。ともすれば棒立ちにも見える体勢で、レツオウガはオーディンを見上げる。
「――タービュランス・アーマーッ! リミッターアウト!」
 轟。
 辰巳の指令に従い、レツオウガが爆ぜた。
 脚部、腕部、胴体、頭。タービュランス・アーマーから霊力が、瀑布のように噴出したのだ。
 それはまさに烈風――というよりも、もはや台風だ。ヴォルテック・バスターの術式を応用して無理矢理に発動した風の断層は、幾重もの渦を巻きながらオーディンへと直撃。その巨体を空中に縫い止める。
「な、んだこれは!?」
 もがくギノアだが、オーディンは指先一つ動かない。それを頭上に仰ぎながら、レツオウガは改めて二刀を構える。
 水平に、レールのごとくまっすぐに携えながら、辰巳は叫ぶ。
「モードチェンジ! アッセンブル!」
『Roger Executioner's sword Ready』
 瞬間、バシリと。
 二刀の合間に紫電が閃いた。
 ――本来なら正規パイロットである筈の冥が操作し、神影鎧装の力を放射するための処刑剣術式。
 それを、辰巳は無理矢理に起動させたのだ。
 本来の霊力に代わり、投入されるは今しがたフェンリルが喰らったRフィールド、ほぼ全て。
 ともすればオーバーフローを起こしかねない量の霊力を無理矢理に流し込んで圧縮し、形成されるは長大な光の塊。
 灰銀色に輝く、身長の二倍はあるそれを、レツオウガは振りかぶった。
 接合アッセンブルされた二刀を土台として、天を衝く巨大で強大な刃。それを携え、レツオウガは跳ぶ。
「う、お、おぉぉぉっ!」
 咆哮。
 光の軌跡を描きながら一直線に跳ぶさまは、さながら稲妻であり。
 遥か頭上。オーディンを断罪すべく現れたレツオウガの、その圧倒的な輝きに、ギノアは息を呑んだ。
「ブレードッ! スマッシャァァァァッ!!」
 かくして辰巳は、レツオウガは、灰銀に輝く剣を振り下ろす。
 インペイル・バスターの強制接続能力を用いて、無理矢理に接合されていた莫大な霊力塊――ブレード・スマッシャーが、開放される。
 轟。
 手綱を解かれた灰銀の刃は巨大な奔流と化し、オーディンを真正面から飲み込んだ。
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