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#1 レツオウガ起動
Chapter03 魔狼 13-06
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「五辻くん? どしたの?」
「――ん、ああ。ちょいと探偵ごっこをな」
思考を中断し、辰巳は改めて前を、オーディンを見る。
ギノアの怒りが、まっすぐにこちらを見ていた。
純粋にこちらを憎んでいるのか、それすら制御装置のもたらした感情なのか。
どうあれ、辰巳は瞑目する。
「……なんて、カラッポなんだ」
気付いてしまったのだ。
用途を強制された、敷かれたレールの上を歩く生き方。
自分の知らない何者か達に、ひたすら利用されるだけの生き方。
――それは五辻辰巳の在り方と、何が違うのか。
風葉が嫌いだと言った在り方と、一体何が違うというのか。
「同じ、だよな」
「何が?」
「ん、ああ、いやさ」
茶を濁しつつ、辰巳はもう一度バックミラーを表示。
霧宮風葉。数奇な紆余曲折を経て、同じ場所へ立つことになってしまった一般人。
彼女が居なければ、彼女の言葉が無ければ、辰巳はこの事実に気付けなかっただろう。
「……あんがとよ」
「えっ」
「や、何でもない」
ごまかしがてら、バックミラーを消去する辰巳。
しかし悲しいかな。風葉の耳は現在四つあり、うち二つは狼のそれだったりするため、しっかり聞こえていたりするのだ。
さりとて、それを追求している状況ではなくなった。
「おおおお――!」
溢れるギノアの激昂。それを余すこと無く体現し、いよいよ突貫を敢行するオーディン。
爆発的な量の霊力をたなびかせるその姿は、もはや一個の爆発だ。
「ち、ぃっ!」
すぐさまサイドステップで回避する辰巳。だがオーディンは電柱を足場として跳ね返り、返す刀でレツオウガを強襲。
「は、あ、あァッ!」
僅かに反応が遅れ、肩部霊力装甲が削られる。たったそれだけで、凄まじい衝撃がレツオウガのコクピットを揺らした。
「きゃああ!?」
「くっ!? 威力が上がってるのか!?」
うろたえるパイロット達。その合間にも、オーディンは建物を、電線を、街路樹を。ありとあらゆる物体を足場として、縦横無尽に跳ね続ける。
その軌道上へ、常にレツオウガを照準しながら。
「――ん、ああ。ちょいと探偵ごっこをな」
思考を中断し、辰巳は改めて前を、オーディンを見る。
ギノアの怒りが、まっすぐにこちらを見ていた。
純粋にこちらを憎んでいるのか、それすら制御装置のもたらした感情なのか。
どうあれ、辰巳は瞑目する。
「……なんて、カラッポなんだ」
気付いてしまったのだ。
用途を強制された、敷かれたレールの上を歩く生き方。
自分の知らない何者か達に、ひたすら利用されるだけの生き方。
――それは五辻辰巳の在り方と、何が違うのか。
風葉が嫌いだと言った在り方と、一体何が違うというのか。
「同じ、だよな」
「何が?」
「ん、ああ、いやさ」
茶を濁しつつ、辰巳はもう一度バックミラーを表示。
霧宮風葉。数奇な紆余曲折を経て、同じ場所へ立つことになってしまった一般人。
彼女が居なければ、彼女の言葉が無ければ、辰巳はこの事実に気付けなかっただろう。
「……あんがとよ」
「えっ」
「や、何でもない」
ごまかしがてら、バックミラーを消去する辰巳。
しかし悲しいかな。風葉の耳は現在四つあり、うち二つは狼のそれだったりするため、しっかり聞こえていたりするのだ。
さりとて、それを追求している状況ではなくなった。
「おおおお――!」
溢れるギノアの激昂。それを余すこと無く体現し、いよいよ突貫を敢行するオーディン。
爆発的な量の霊力をたなびかせるその姿は、もはや一個の爆発だ。
「ち、ぃっ!」
すぐさまサイドステップで回避する辰巳。だがオーディンは電柱を足場として跳ね返り、返す刀でレツオウガを強襲。
「は、あ、あァッ!」
僅かに反応が遅れ、肩部霊力装甲が削られる。たったそれだけで、凄まじい衝撃がレツオウガのコクピットを揺らした。
「きゃああ!?」
「くっ!? 威力が上がってるのか!?」
うろたえるパイロット達。その合間にも、オーディンは建物を、電線を、街路樹を。ありとあらゆる物体を足場として、縦横無尽に跳ね続ける。
その軌道上へ、常にレツオウガを照準しながら。
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