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#1 レツオウガ起動
Chapter03 魔狼 12-01
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陣羽織を着込んだ鎧武者。
それが、レツオウガの出で立ちであった。
当然ながら、素体であるオウガの形は一切変わっていない。しかして機体各所――すなわち肩、手首、胸、背中、膝、踝といったEマテリアル上へ追加された霊力装甲により、その姿は群青と灰銀の二色に塗り分けられていた。
鋼の身体を覆う、光の鎧。それだけでも相当に目を引くが、それ以上にギノアを釘付けたのが、新たに展開されたコクピット周りの霊力装甲である。
色は塗り変わった身体に会わせたのか、群青と灰銀のツートンカラー。V字の前立てはオウガの時よりも一回り大きく、鋭くなっている。
そして何よりも目立っているのが、胸元から上半身全体へ展開している、陣羽織型の霊力装甲である。
胸と背中のEマテリアルを軸として構築されたこの陣羽織は、レツオウガのコクピット周りを、高密度の霊力で強力に保護しているのだ。
堅牢、その一言に尽きる姿である。
だが。
「丸腰では、ねぇっ!」
叫び、吶喊するオーディン・シャドー。
その指摘に嘘はない。オウガの時に武器を生成していたEマテリアルは、現在全て霊力装甲の構築と保持に使われているのだ。
当然飛び道具による牽制は一切出来ず、オーディンは安々とレツオウガを間合いに捉える。
「そこ、ですっ!」
助走、跳躍、刺突。単純な脚力のみならず、マントからの霊力噴射も上乗せし、高速の一撃を繰り出すオーディン。
極限の速度と威力を伴い、一瞬だが音の壁すら突破するグングニル。
ビルにすら安々と穴を開けられるだろう一閃は、狙い違わず霊力装甲ごと辰巳を刺し貫いていただろう。
今までの、オウガのままならば。
だが現在。辰巳が操作しているのは、部分的にだが本来の性能を取り戻した神影鎧装、レツオウガである。
「ッ!」
反応速度は、今までの比ではない。
グングニルの切っ先がコクピットを捉える、まさにコンマ数秒前。レツオウガは電撃的な速度の裏拳を放ち、グングニルの穂先を打ち払った。
「おぉ」
息を飲む風葉。ギノア同様、フェンリルによる知覚補強により、その一部始終を捉えることが出来たのだ。
それが、レツオウガの出で立ちであった。
当然ながら、素体であるオウガの形は一切変わっていない。しかして機体各所――すなわち肩、手首、胸、背中、膝、踝といったEマテリアル上へ追加された霊力装甲により、その姿は群青と灰銀の二色に塗り分けられていた。
鋼の身体を覆う、光の鎧。それだけでも相当に目を引くが、それ以上にギノアを釘付けたのが、新たに展開されたコクピット周りの霊力装甲である。
色は塗り変わった身体に会わせたのか、群青と灰銀のツートンカラー。V字の前立てはオウガの時よりも一回り大きく、鋭くなっている。
そして何よりも目立っているのが、胸元から上半身全体へ展開している、陣羽織型の霊力装甲である。
胸と背中のEマテリアルを軸として構築されたこの陣羽織は、レツオウガのコクピット周りを、高密度の霊力で強力に保護しているのだ。
堅牢、その一言に尽きる姿である。
だが。
「丸腰では、ねぇっ!」
叫び、吶喊するオーディン・シャドー。
その指摘に嘘はない。オウガの時に武器を生成していたEマテリアルは、現在全て霊力装甲の構築と保持に使われているのだ。
当然飛び道具による牽制は一切出来ず、オーディンは安々とレツオウガを間合いに捉える。
「そこ、ですっ!」
助走、跳躍、刺突。単純な脚力のみならず、マントからの霊力噴射も上乗せし、高速の一撃を繰り出すオーディン。
極限の速度と威力を伴い、一瞬だが音の壁すら突破するグングニル。
ビルにすら安々と穴を開けられるだろう一閃は、狙い違わず霊力装甲ごと辰巳を刺し貫いていただろう。
今までの、オウガのままならば。
だが現在。辰巳が操作しているのは、部分的にだが本来の性能を取り戻した神影鎧装、レツオウガである。
「ッ!」
反応速度は、今までの比ではない。
グングニルの切っ先がコクピットを捉える、まさにコンマ数秒前。レツオウガは電撃的な速度の裏拳を放ち、グングニルの穂先を打ち払った。
「おぉ」
息を飲む風葉。ギノア同様、フェンリルによる知覚補強により、その一部始終を捉えることが出来たのだ。
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