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#1 レツオウガ起動

Chapter03 魔狼 11-05

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 しかしてそんな事情など考えつきもしない辰巳は、新型の術式かなんかだろうと勘違いした。
「セット、ランチャー! 並びにジャンプ!」
『Roger LocketLauncher  Rebounder Etherealize』
 どうあれ辰巳は動いた。ロケットランチャーとリバウンダーを生成し、即座に起動。
「っ!? やらせません!」
 すぐさま気付き、グングニルを振り下ろすギノア。だがコンマ数秒遅い。弧を描く切っ先は、オウガの右上腕装甲を掠めるだけに留まった。
 すぐさま構え直すオーディンだが、既に間合いが遠い。リバウンダーの起動によって、オウガはほぼ真横へ、半ば吹き飛ぶようにして距離を開けていたのだ。
 更にオウガはダメ押しとばかりにランチャーから霊力のミサイルが放たれ、オーディンの追撃を的確に阻む。
「小癪、なぁっ!」
 グングニルを打ち払い、オーディンは衝撃波でミサイルをまとめて撃墜。
 それによって生じた爆風に乗り、オウガは更に加速。直に叩きつける爆煙と、リバウンダー自体からもたらされる突風を物ともせず、辰巳は落下中の二輪へ通信を繋ぐ。
「早くしろファントム3、長くは持たん!」
『ちょ、ちょっと待ってぇ!?』
 スピーカーから聞こえるファントム3の声は、なぜか非常にうろたえていた。
「……?」
 らしくない。声の調子もおかしい気がする。
 しかし、今の辰巳にそれを気にしている余裕は無い。一歩ごとに悲鳴を上げる制御系をなだめ、飛来する雹嵐ハガラズを遮二無二に回避。更にその最中、辰巳はオウガにもインストールされていたプログラムを閲覧、瞬時に理解する。
「システム起動権限はコアのそっち持ちだ! キーワードを叫べ!」
『キーワード……?』
 凄まじい速度で落下しながら、レックウのライダーは記憶を探る。風圧のせいで起きた混乱をどうにか抑えこみ、フェンリルと再同調。
 改めて確認した知識と闘争心のまま、彼女はキーワードを反射的に叫んだ。
『オーバー・エミュレートモード起動! 神影合体!!』
 そして、改めて今自分が叫んだ内容を反芻する。
『……ええっ!? 合体!?』
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