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#1 レツオウガ起動

Chapter03 魔狼 08-04

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 リバウンダーは間に合わない。かといって直撃を受ける訳にもいかない。
「だったらッ!」
 辰巳は右腕のガトリングガンをもぎ取り、ハガラズの弾幕へまっすぐに投げた。霊力と氷の塊が激突し、爆発が両者の視界を遮断する。
「小細工ですねぇ!」
 が、その程度でハガラズの照射が止むはずもない。降り注ぐ雹の嵐が、一秒も経たずに爆煙を吹き消していく。
 しかし、オウガが射線から逃れるにはその一秒未満で十分だった。
 サイドステップで避けたすぐ脇を、荒れ狂う雹の嵐が掠める。しかもその飛礫つぶてをよく見れば、一個一個が鏃のように尖っているではないか。
 明らかに威力が上がっている。現状であんなものを受ければ、装甲が砕けるどころか内部フレームすら持って行かれかねない。
「ったく、とんでもないな。ほうれん草でも食ったのか?」
 言いつつ、辰巳は更に大きく跳んで間合いを放す。
「ハ! この状況で減らず口を!」
 ハガラズの照射を止め、グングニルを構え直したオーディンがそれを追う。煙幕で狙いが逸れる事に焦れたか。
「もしくは動くキノコでもとったのか――」
 言いつつ、辰巳は改めて認めた。ギノアとオーディンの同調率が、加速度的に上がり続けている事を。
 もはや接近戦は互角、射撃に至っては向こうが上だ。模造品とはいえ、流石は戦神オーディンである。
 まさに難敵。だからこそ挑む甲斐がある。
 二年間。空っぽな手の中で、それでも研鑽するしかなかった全てをぶつける相手としては、これ以上なかろう。
「――セット、クナイ! ブレード! ブースト!」
『Roger Kunai Blade Rapidbooster Etherealize』
 これ以上戦闘が長引けば、ギノアの技量は間違いなくこちらを上回る。霊力の残量も少ない現状、恐らくはここが最後の好機。
 迎え撃つは真正面。神槍グングニルを構え、稲妻のように踏み込んでくるオーディンに、辰巳はラピッドブースターを発動させた。
 一閃。交錯する二機の大鎧装。
 きぃん、と。清涼ですらある鋼の残響が、Rフィールド内に鳴り響いた。
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