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#1 レツオウガ起動
Chapter03 魔狼 07-05
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二年前。暴走事故が起きたあの日以前の記憶が、辰巳にはない。
両親は居ない。友人も居ない。同僚はいるが――いかんせん、こんな間柄だ。信頼しきれるものではない。
故に辰巳には、戦う以外にする事がなかった。
拳を握り、銃把を握り、命令に従って敵を打つ、撃つ、討つ。
ある意味、気楽ではあった。考える必要なんてない。ただ一個の暴力装置であれば良いのだ。
無慈悲に、正確に、確実に。
排除すべき対象を、容赦なく殺す。
だが、今この瞬間。
人造Rフィールドを潰すため、暴力装置であるファントム4は、晴れてお払い箱となった。
伝令がやって来るまで、恐らくあと十分もないだろう。
それまで、防御に徹するか? 逃げ回って時間を稼ぐか?
「ああ、ふざけていやがる」
そのどちらも、辰巳は選ばない。
ただ、ゆらりと。
生身の時はいつもそうするように、左腕を盾のように掲げ、右足を一歩引いて半身に構える。
「ほう?」
こちらの構えも変わった事にギノアが嘆息するが、生憎お門違いだ。
これからする事に、きっと意味は無い。
数分後、間違いなく自分は死ぬ。それはもう覆しようのない事実だ。
だが。いや、だからこそ。
二年間。今まで培った戦闘技法が、なけなしである自分の全てが、どこまで通用するのか試したい――そんな、あまりにもちっぽけで、あまりにも滑稽な、決意と反発の表れであった。
「悪いが付き合って貰うぞ、ギノア・フリードマン!」
「それはこっちのセリフですよ、ファントム4ッ!」
かくして終焉間際であるRフィールドの中央で、二体の鎧装は激突する。
かたや夢のために、かたや意地のために。
両親は居ない。友人も居ない。同僚はいるが――いかんせん、こんな間柄だ。信頼しきれるものではない。
故に辰巳には、戦う以外にする事がなかった。
拳を握り、銃把を握り、命令に従って敵を打つ、撃つ、討つ。
ある意味、気楽ではあった。考える必要なんてない。ただ一個の暴力装置であれば良いのだ。
無慈悲に、正確に、確実に。
排除すべき対象を、容赦なく殺す。
だが、今この瞬間。
人造Rフィールドを潰すため、暴力装置であるファントム4は、晴れてお払い箱となった。
伝令がやって来るまで、恐らくあと十分もないだろう。
それまで、防御に徹するか? 逃げ回って時間を稼ぐか?
「ああ、ふざけていやがる」
そのどちらも、辰巳は選ばない。
ただ、ゆらりと。
生身の時はいつもそうするように、左腕を盾のように掲げ、右足を一歩引いて半身に構える。
「ほう?」
こちらの構えも変わった事にギノアが嘆息するが、生憎お門違いだ。
これからする事に、きっと意味は無い。
数分後、間違いなく自分は死ぬ。それはもう覆しようのない事実だ。
だが。いや、だからこそ。
二年間。今まで培った戦闘技法が、なけなしである自分の全てが、どこまで通用するのか試したい――そんな、あまりにもちっぽけで、あまりにも滑稽な、決意と反発の表れであった。
「悪いが付き合って貰うぞ、ギノア・フリードマン!」
「それはこっちのセリフですよ、ファントム4ッ!」
かくして終焉間際であるRフィールドの中央で、二体の鎧装は激突する。
かたや夢のために、かたや意地のために。
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