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#1 レツオウガ起動

Chapter02 凪守 03-03

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「こんなもん、か」
 かくして辰巳の火線を押し潰し、竜牙兵の群れが殺到しながら我先にと刃を振るう。
 薙ぎ、斬り、突き、払い、徹底的に振るわれる竜牙兵団の両刃剣__グラディウス__#。高い頑健さと切断力を併せ持つ刃の群れが、肉よ裂け鉄よ砕けろと荒れ狂う。
 ただ一撃受けただけでも、腕の一、二本は切り落とされかねない敵意の嵐。
 その只中を、辰巳は己の技量のみで強引にかき分けていた。
 ―― 一対多の状況に置いて、最も避けるべき事態は多方向からの挟撃だ。殺気を読めば敵の動きを先んじる事は可能だし、実際辰巳はそうやってスペクターの猛攻をいなした。
 だがそんな辰巳でも、真正面から対応できるのは両腕分、せいぜい二方向が限度だ。それも、守りに徹するという前提があって、だ。
 ならば、どうするのか。
 単純な話だ。真正面からぶつからなければ良いのだ。
「GGIIIッ!」
 真正面から斬り込む竜牙兵。大上段から振り下ろされる一撃。その手首に、辰巳は義手の拳を打ち据えて逸らす。
「奮__フン__#ッ!」
「GIIッ!?」
 当然怯む竜牙兵だが、この隙を狙って別の竜牙兵二体がが斬りかかる。
「GIIIッ!」
 左、右。辰巳の逃げ場を塞ぐように襲い来る連続斬撃。それをに対し、辰巳はたたらを踏んでいた正面の竜牙兵の手首を掴む。
「GIッ!?」
「そらよっ!」
 更にローキックを叩き込み、左側へ重心を崩させる。
「GIIIIIッ!?」
 ぶつかり合う二体の竜牙兵、中断される連続斬撃。その隙を縫って辰巳は右、正面、左の順に自動拳銃を照準、射撃。
「GIIIIIッ――」
 脳天に穴を穿たれ、霊力の残滓となって消滅していく竜牙兵達。
 だが辰巳はそんな光景に見向きもせず、新たに現れる髑髏を打ちながら、あるいは撃ちながら、奥へ奥へと突き進む。
 辰巳は、自ら望んで敵陣へと飛び込み、乱戦状況を造り出しているのだ。
 敵の身体そのものを、盾として立ち回るために。
 故に、辰巳は足を止めない。突風のように、稲妻のように敵陣を駆け巡りながら、辰巳は竜牙兵の剣を避け、逸らし、いなし、受け流す。
 更に反撃の拳を打ち込み、銃撃を撃ち込み、手近な髑髏を蹴り飛ばして盾にする。
 その様はまさしく台風の目だ。辰巳に近寄られたが最後、嵐のような攻撃とそれに伴う乱闘が、一帯全ての竜牙兵を打ち崩してしまうのだから。
 スペクターと拳を交えた時とは、また趣を異にする絶技だ。今この瞬間は押していようとも、次の一秒で僅かでも対応を誤れば、一方的に斬殺されかねないのだから。
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