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#1 レツオウガ起動
Chapter01 邂逅 05-03
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「WOOOOOOOッ!?」
クナイは丁度立ち上がったキクロプスの右肩口に突き刺さり、すぐさま消失。形を失った霊力が青い粒子となって飛び散り、直後に開いた傷口から噴出するキクロプスの赤い霊力が、血風のように辺りを染め上げる。
その光景を見ながら、悠々と着地するオウガ。小型ロケットにも似た形状のリバウンダーが消失するのもそこそこに、オウガは改めて拳を構える。
丁度最初の立ち位置と入れ替わった両者は、状態に大きく差がついていた。
左腕部装甲が軽くひしゃげた程度のオウガに対し、キクロプスは右肩口から今も霊力を流し続けている。しかも経路を寸断されたのか、五指は糸が切れたかのようにだらりとぶら下がっていた。
戦力差は明白。加えて二人の保護対象も抱えている辰巳は、ここで一気に勝負に出た。
「セット! ガトリング! 並びにランチャー!」
『Roger GatlingGun LocketLauncher Etherealize』
キクロプスへ向け、一直線に突き出されるオウガの両腕。その両手首に嵌め込まれているEマテリアルが輝き、光のワイヤーフレームを腕上に生成。
針金細工のように絡み合い、組み上がっていく青色の格子は、やはりクナイの時と同じように形を与えられて顕現する。
右手には円柱状の銃身を備えた連発銃、ガトリングガン。
左手には弾頭を覗かせる無骨な直方体、ロケットランチャー。
かくしてオウガに二つの火器を構えさせた辰巳は、前方のターゲットに向けて無造作に引鉄を引き絞る。
雨のように降り注ぐ弾丸が、余剰霊力を白煙代わりになびかせる弾頭が、キクロプス目がけて殺到した。
「WOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOッ!?」
無慈悲に直撃し、炸裂する弾丸と弾頭の雨霰。容赦なく周囲に飛び散る爆音と爆煙は、キクロプスの悲鳴ごとその巨体を覆い隠してしまった。
「ちとやりすぎたかな」
大した感慨もなさげに鼻を鳴らす辰巳を、風葉はぎくしゃくと振り仰ぐ。
「や、やったの?」
「さぁな。煙が晴れれば分かるさ」
役目を終えたガトリングガンとロケットランチャーを消去した後、改めて構える辰巳。
きっかりその十秒後、晴れた煙の向こうからキクロプスは姿を現す。一つ目を固く閉じている巨人の身体は、全身に酷い損傷を負っていた。身体のあちこちが焼け焦げ、穴が空き、右腕に至っては肘から下が消し飛んでしまっている。
切磋に右半身を前にする事で右腕を盾にしたらしかったが、その程度でどうにかなる厚さの弾幕ではなかったのだ。
だが、だからこそ辰巳は眉をひそめた。
クナイは丁度立ち上がったキクロプスの右肩口に突き刺さり、すぐさま消失。形を失った霊力が青い粒子となって飛び散り、直後に開いた傷口から噴出するキクロプスの赤い霊力が、血風のように辺りを染め上げる。
その光景を見ながら、悠々と着地するオウガ。小型ロケットにも似た形状のリバウンダーが消失するのもそこそこに、オウガは改めて拳を構える。
丁度最初の立ち位置と入れ替わった両者は、状態に大きく差がついていた。
左腕部装甲が軽くひしゃげた程度のオウガに対し、キクロプスは右肩口から今も霊力を流し続けている。しかも経路を寸断されたのか、五指は糸が切れたかのようにだらりとぶら下がっていた。
戦力差は明白。加えて二人の保護対象も抱えている辰巳は、ここで一気に勝負に出た。
「セット! ガトリング! 並びにランチャー!」
『Roger GatlingGun LocketLauncher Etherealize』
キクロプスへ向け、一直線に突き出されるオウガの両腕。その両手首に嵌め込まれているEマテリアルが輝き、光のワイヤーフレームを腕上に生成。
針金細工のように絡み合い、組み上がっていく青色の格子は、やはりクナイの時と同じように形を与えられて顕現する。
右手には円柱状の銃身を備えた連発銃、ガトリングガン。
左手には弾頭を覗かせる無骨な直方体、ロケットランチャー。
かくしてオウガに二つの火器を構えさせた辰巳は、前方のターゲットに向けて無造作に引鉄を引き絞る。
雨のように降り注ぐ弾丸が、余剰霊力を白煙代わりになびかせる弾頭が、キクロプス目がけて殺到した。
「WOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOッ!?」
無慈悲に直撃し、炸裂する弾丸と弾頭の雨霰。容赦なく周囲に飛び散る爆音と爆煙は、キクロプスの悲鳴ごとその巨体を覆い隠してしまった。
「ちとやりすぎたかな」
大した感慨もなさげに鼻を鳴らす辰巳を、風葉はぎくしゃくと振り仰ぐ。
「や、やったの?」
「さぁな。煙が晴れれば分かるさ」
役目を終えたガトリングガンとロケットランチャーを消去した後、改めて構える辰巳。
きっかりその十秒後、晴れた煙の向こうからキクロプスは姿を現す。一つ目を固く閉じている巨人の身体は、全身に酷い損傷を負っていた。身体のあちこちが焼け焦げ、穴が空き、右腕に至っては肘から下が消し飛んでしまっている。
切磋に右半身を前にする事で右腕を盾にしたらしかったが、その程度でどうにかなる厚さの弾幕ではなかったのだ。
だが、だからこそ辰巳は眉をひそめた。
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