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1:モーゼへの転属
3話
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バルドは凶悪犯罪特殊部隊モーゼに移動する日を迎え、わずかに緊張しながら部署へと歩いていた。自分にモーゼが勤まるか、早く仕事を覚えられるだろうかと要らないことを考えている間に扉が見え到着した。
バルドは一呼吸してから入室する。中には待機中の隊員やなにかの調査をしている隊員ら10人がいた。まずは長官に挨拶だと奥を見れば、目が合う。
バルドはすれ違う隊員に挨拶をし、モーゼの長官の前にたどり着く。バルドはスッと背筋をただし敬礼をした。
「本日付で配属となりましたバルドです。ご指導ご鞭撻お願いいたします」
「待っていたよ、レンバ大尉。君には期待をしている。しっかり任務に励んでくれ」
「はっ!」
バルドの返事に満足したのか長官は頷く。そしてバルドにバッジを差し出した。受け取り確認すると
”CHAMOIS“(読み方:シャモア)
掘られていた。
「君のコールサインだ。その名の由来は君には言わなくても分かるだろう」
「はい」
「右胸につけなさい。さて君はルーポの隊に入ってもらおうと思っている。ルーポ」
「はい」
呼ばれたルーポという男がシャモアの横に立つ。シャモアは敬礼する。
「ルーポ、シャモアだ。指導してやれ」
「シャモアです。よろしくお願いいたします」
「ルーポだ。よろしく。早速、仕事を一緒にしよう。長官、失礼します」
ルーポに習い長官に挨拶し後をついていく。
「君のことを待っていたんだ。来てくれてうれしいよ」
シャモアはルーポの言葉に戸惑った。ルーポはその様子にクスクスと笑い、シャモアの肩を叩く。
「君は訓練生の頃から有名で、モーゼに来ることを期待していたんだ。何度か生物保護局にもくれないかと打診していたくらいだ」
「初耳です」
シャモアは自分が知らないところでそのようなやり取りがあったことに驚いた。
「じゃあ本当に長官が話を止めていたのか。ついた、ここが我々の事務エリアだ。チームメイトを紹介しよう」
書類やいろいろな魔道具に埋もれる机の陰から頭が二つ飛び出した。
「もしかして彼ですか」
「やっと」
反応に困りながらシャモアは先輩の階級をみて上官であること理解し敬礼する。
「堅苦しいのはいいさ。待ってたぞ、レンバ大尉」
「ルーポ、彼のコールサインは決まったんですか。決まってなかったら決めたいです」
「彼のコールサインはすでに決まっている。シャモアだ」
シャモアを置き去りにテンポよく会話が続く。シャモアは2人の右胸を見る。
(デルフィーノ、セルペンテ)
「あのコールサインは配属後に決まるのですか」
「あぁ、どんなやつなのかを見てから決めることが多いな」
「事前に決められているやつは珍しいけどいないことはない。過去にモーゼに所属した血族がいるとか訓練生の時点で決められているとかな」
「・・・そういうことですか」
(父さんがカヴィアだったからか)
「心あたりあるのか」
「はい、父がモーゼに所属していました」
シャモアの返答に3人は驚いた顔をした。
「そうなのか。しかしレンバという姓は聞いたことがない」
「父のコールサインはカヴィアだと聞いています。ローニン・フェルディマです」
「君はフェルディマ家だったのか!てっきり途絶えたのかと・・・すまない」
「構いません。いろいろあって表に出していませんでした。入隊時もレンバとして入隊し、生物保護局で長官に父のことを聞かれました。似ていたそうです」
「そうか・・・」
重くなってしまった空気にシャモアは慌てるが、こういう時に何を言えば良いのか分からないため何も言えずとりあえず前を見る。どうしようと焦るシャモアに知っている声が聞こえてきた。
「あっ!バルドだ!」
「マルコ・・・えっとリーチョ」
同期のマルコというダボっとした眼鏡をかけている優しくて穏やかな男だ。知っている顔にシャモアはへにゃっと顔を崩す。
「隊長、ただいま戻りました。ヴルカーノとアクィラもあと少しで戻ると思います」
「ご苦労様。そうか、お前たちは同期か」
「はい」
部屋の外からなにか言い合う声が聞こえてくる。シャモアが廊下の方を見るとルーポ達も気が付いたのか苦笑した。
「帰ってきたぞ」
言い合いながら部屋に入ってきたのは、驚くことにシャモアの同期2人だった。女はシャモアを見て懐かしそうに笑いながら駆け寄ってきたが、厳つい男は不貞腐れた顔でやってくる。その様子に相変わらずだとシャモアも笑ってしまう。
「アクィラ、シャモアとバディを組め。で仕事を教えてやれ」
「は?」
不貞腐れたような顔をしていたアクィラはすごく嫌そうな顔をした。ルーポはその反応に慣れているのか気にしていないようで、よろしくとだけ言った。
「・・・チッ、お前とろくても置いてくからな。迷惑かけんなよ」
「頑張る」
舌打ちをして背中を向けて歩き出すアクィラをシャモアは追いかける。着いてくるなとうアクィラにシャモアは何したら良いかと聞き廊下の向こうに消えた。その背を見送りルーポはリーチョとヴルカーノに確認した。
「なぁもしかして仲悪い?」
「アクィラが一方的に威嚇しているだけです」
「いつも通りか」
「はい」
ルーポはため息をついた。
「今回はバディが続くと良いんだが、2人に期待だな」
シャモアはアクィラのバディとしていくつかの事件を担当し4か月が経過した。モーゼの仕事は凶悪なものや特殊なものが多く覚えることも多い。シャモアのノートは5冊目を迎えパンパンになっていた。
「だいたい覚えただろ?」
報告書を仕上げるシャモアの横で同じく報告書を仕上げているアクィラが尋ねる。
「今まで着いた任務ならやること覚えたよ」
「じゃあモーゼの任務内容はだいたいできるな」
「いろいろ教えてくれてありがとう」
「シャモア」
シャモアは報告書から顔をあげアクィラを見る。アクィラは変わらず報告書にペンを走らせているが、眉がすごく中央に寄っている。
「お前は甘い。そんな調子ならいつか死ぬぞ」
「・・・分かった。気を付ける」
「チッ、お前まじで気をつけろよ。判断がおせぇんだよ」
「うん」
シャモアも報告書に目線を戻しペンを走らせた。
バルドは一呼吸してから入室する。中には待機中の隊員やなにかの調査をしている隊員ら10人がいた。まずは長官に挨拶だと奥を見れば、目が合う。
バルドはすれ違う隊員に挨拶をし、モーゼの長官の前にたどり着く。バルドはスッと背筋をただし敬礼をした。
「本日付で配属となりましたバルドです。ご指導ご鞭撻お願いいたします」
「待っていたよ、レンバ大尉。君には期待をしている。しっかり任務に励んでくれ」
「はっ!」
バルドの返事に満足したのか長官は頷く。そしてバルドにバッジを差し出した。受け取り確認すると
”CHAMOIS“(読み方:シャモア)
掘られていた。
「君のコールサインだ。その名の由来は君には言わなくても分かるだろう」
「はい」
「右胸につけなさい。さて君はルーポの隊に入ってもらおうと思っている。ルーポ」
「はい」
呼ばれたルーポという男がシャモアの横に立つ。シャモアは敬礼する。
「ルーポ、シャモアだ。指導してやれ」
「シャモアです。よろしくお願いいたします」
「ルーポだ。よろしく。早速、仕事を一緒にしよう。長官、失礼します」
ルーポに習い長官に挨拶し後をついていく。
「君のことを待っていたんだ。来てくれてうれしいよ」
シャモアはルーポの言葉に戸惑った。ルーポはその様子にクスクスと笑い、シャモアの肩を叩く。
「君は訓練生の頃から有名で、モーゼに来ることを期待していたんだ。何度か生物保護局にもくれないかと打診していたくらいだ」
「初耳です」
シャモアは自分が知らないところでそのようなやり取りがあったことに驚いた。
「じゃあ本当に長官が話を止めていたのか。ついた、ここが我々の事務エリアだ。チームメイトを紹介しよう」
書類やいろいろな魔道具に埋もれる机の陰から頭が二つ飛び出した。
「もしかして彼ですか」
「やっと」
反応に困りながらシャモアは先輩の階級をみて上官であること理解し敬礼する。
「堅苦しいのはいいさ。待ってたぞ、レンバ大尉」
「ルーポ、彼のコールサインは決まったんですか。決まってなかったら決めたいです」
「彼のコールサインはすでに決まっている。シャモアだ」
シャモアを置き去りにテンポよく会話が続く。シャモアは2人の右胸を見る。
(デルフィーノ、セルペンテ)
「あのコールサインは配属後に決まるのですか」
「あぁ、どんなやつなのかを見てから決めることが多いな」
「事前に決められているやつは珍しいけどいないことはない。過去にモーゼに所属した血族がいるとか訓練生の時点で決められているとかな」
「・・・そういうことですか」
(父さんがカヴィアだったからか)
「心あたりあるのか」
「はい、父がモーゼに所属していました」
シャモアの返答に3人は驚いた顔をした。
「そうなのか。しかしレンバという姓は聞いたことがない」
「父のコールサインはカヴィアだと聞いています。ローニン・フェルディマです」
「君はフェルディマ家だったのか!てっきり途絶えたのかと・・・すまない」
「構いません。いろいろあって表に出していませんでした。入隊時もレンバとして入隊し、生物保護局で長官に父のことを聞かれました。似ていたそうです」
「そうか・・・」
重くなってしまった空気にシャモアは慌てるが、こういう時に何を言えば良いのか分からないため何も言えずとりあえず前を見る。どうしようと焦るシャモアに知っている声が聞こえてきた。
「あっ!バルドだ!」
「マルコ・・・えっとリーチョ」
同期のマルコというダボっとした眼鏡をかけている優しくて穏やかな男だ。知っている顔にシャモアはへにゃっと顔を崩す。
「隊長、ただいま戻りました。ヴルカーノとアクィラもあと少しで戻ると思います」
「ご苦労様。そうか、お前たちは同期か」
「はい」
部屋の外からなにか言い合う声が聞こえてくる。シャモアが廊下の方を見るとルーポ達も気が付いたのか苦笑した。
「帰ってきたぞ」
言い合いながら部屋に入ってきたのは、驚くことにシャモアの同期2人だった。女はシャモアを見て懐かしそうに笑いながら駆け寄ってきたが、厳つい男は不貞腐れた顔でやってくる。その様子に相変わらずだとシャモアも笑ってしまう。
「アクィラ、シャモアとバディを組め。で仕事を教えてやれ」
「は?」
不貞腐れたような顔をしていたアクィラはすごく嫌そうな顔をした。ルーポはその反応に慣れているのか気にしていないようで、よろしくとだけ言った。
「・・・チッ、お前とろくても置いてくからな。迷惑かけんなよ」
「頑張る」
舌打ちをして背中を向けて歩き出すアクィラをシャモアは追いかける。着いてくるなとうアクィラにシャモアは何したら良いかと聞き廊下の向こうに消えた。その背を見送りルーポはリーチョとヴルカーノに確認した。
「なぁもしかして仲悪い?」
「アクィラが一方的に威嚇しているだけです」
「いつも通りか」
「はい」
ルーポはため息をついた。
「今回はバディが続くと良いんだが、2人に期待だな」
シャモアはアクィラのバディとしていくつかの事件を担当し4か月が経過した。モーゼの仕事は凶悪なものや特殊なものが多く覚えることも多い。シャモアのノートは5冊目を迎えパンパンになっていた。
「だいたい覚えただろ?」
報告書を仕上げるシャモアの横で同じく報告書を仕上げているアクィラが尋ねる。
「今まで着いた任務ならやること覚えたよ」
「じゃあモーゼの任務内容はだいたいできるな」
「いろいろ教えてくれてありがとう」
「シャモア」
シャモアは報告書から顔をあげアクィラを見る。アクィラは変わらず報告書にペンを走らせているが、眉がすごく中央に寄っている。
「お前は甘い。そんな調子ならいつか死ぬぞ」
「・・・分かった。気を付ける」
「チッ、お前まじで気をつけろよ。判断がおせぇんだよ」
「うん」
シャモアも報告書に目線を戻しペンを走らせた。
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