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25:念願※
しおりを挟む「…………」
「…………早くないか?」
「こ、ここ、これにはいろいろわけが……」
想いを通い合わせた次の日……ストールから問題無しと送り出されたヘルクラスが夜着に身を包んだ状態でセリアスの前にちょこんと座っていた。
「娘は……グラスは一人で大丈夫なのか?」
「はい。ああ見えてもう一人で寝られる歳なので」
「そうなのか……」
「…………よろ、よろしくお願いします」
何故、こんなにも早く事前準備が終わったのか、なんとなく解っているが口に出す程デリカシーの無い男になりたくはなかった。
「愛し合おう、ヘル」
「ッ!!」
「警備隊の皆が、お前をそう呼んでいたのを聞いて羨ましくなってな」
「ぁ、う……くっ」
「……おい、まさか」
ヘルクラスは、愛称を呼ばれて前屈みになり下腹部を押さえ込んだ。
「…………申し訳ございません」
名を呼ばれただけで、瞬間沸騰でイってしまったようだ。
セリアスは驚きながらも、思っていた以上にヘルクラスが自分を好いている事がわかった。
セリアスもしっかり心の準備を整えて、ヘルクラスに対する恋心を携えていたが、ここまでくると心配になるレベルだ。
「……大丈夫か? 私に抱かれたら、死んでしまわないか?」
「が、頑張ります……けど、出来ればゆっくり」
「ああ。焦らずいこう」
ヘルクラスの頬に触れて、ゆっくり慎重に唇を寄せた。
触れるだけのキスは、徐々に重なりを深め、緩慢な動きで長く続いた。
「ん……んぅ」
ヘルクラスも応えるように、セリアスの唇を味わい続ける。だが、僅かに翻弄されているようで必死さが伺える。
呼吸の合間を縫って、角度を変えながら貪るようなキスを交わし、舌を引くとヘルクラスは放心状態で口端から涎を垂らしていた。
「は、ぁ……魔王様」
息も絶え絶えで、熱に浮かされながらセリアスの身体に腕を伸ばした。
「ヘル、脱がすぞ」
「はい」
互いに撫で擦り、ゆっくりと服を剥いでいく。露わとなったセリアスの肉体美にヘルクラスの全身に鳥肌が立ち、腹の底から熱い欲望がせり上がってくる。
「俺と……全然違う」
「そうだな。けれど、エルフの中では、鍛え抜かれた身体をしているヘルも美しい」
「興奮、しますか?」
「勿論。愛しい人の身体だ。しないわけがない」
「ぁ……」
仰向けに倒されて、首から耳まで舐め上げられる。くすぐったさに肩が跳ねるもセリアスに抱き締められて逃げられない。
足を割り開かれて股を密着させられる。グリと押し当てられ、動かない分しっかりとした存在感に、どれだけ興奮しているか伝わってきて尚のこと興奮してしまう。
「はっ……はっ……はぁっ……」
「ヘル、すまない。刺激が強過ぎたか」
「まぉさっ、魔王様……」
カクンカクンと腰を自ずと振ってしまい、気不味そうにセリアスを伺う。
「いやじゃ……ないですか? こんなっ……はしたない、俺で」
「嫌なわけがない。淫乱なヘルも魅力的だ」
揺れる腰を鷲掴み、スルリと下を脱がす。白濁が絡み付いたヘルクラスのモノは血管を浮かせて硬くそそり勃っていた。
『クチュ』
「んぅ!」
直に撫でられて、甘い痺れが腰に走る。ヘルクラスもセリアスの腹筋に指を滑らせつつ、下へと手を這わせた。
「魔王様も……」
「ん?」
「……欲情して下さってるのですね。もう、こんなに」
「……ふぅ……んッ」
押し付けられているモノの大きさに感嘆しつつ、そっと揉み上げるとセリアスが熱い吐息を漏らす。
「(魔王様の……想像よりずっとおっきくて、硬い……熱い)」
火傷の痛みは今でも悪夢として繰り返し見ているが、セリアスになら神経を焼き切られたって構わない。
ヘルクラスがそんな事を考えてるなどつゆ知らず、セリアスはトロトロと流れ出てくる先走りを手に絡めてヌチヌチと音を立てて上下に扱いていく。
「んっ……んん、ぁ……まおーさま、んッ! イ、って、しまいます」
「あぁ、もうイキそうか?」
「魔王様……ぁ! あ!」
セリアスの手の中に勢いよく放たれた白濁。
『ペロ』
「……エルフの精液はほんのり甘いのだな」
「舐めないで、くらはい」
食生活の違いか、エルフの精には果実の蜜が混入しているようにほんのり甘い。
「(タスクやホープのも知りたいな……)」
大分危うい好奇心を抱きながら、指に絡ませた精液を潤滑油に後ろへあてがう。
『クプン』
「ぁああ……入って、くる……魔王様の、指が」
「すごく、柔らかいな……弾力が心地良い」
「もう、少し……奥に……」
ヘルクラスに乞われれば、断る理由は無い。
ゆっくりだが、根元まで埋めることが出来た。
「……すぐに挿れれそうだ」
「はぅ、あ゛ぁぁ!」
『ピュル!』
押し出されるように少量の白濁を飛ばすヘルクラス。どうやら想像だけで達してしまったようだ。後ろが期待感でキュンキュン疼いてしまう。
「ヘル……本当に大丈夫か?」
「……はぃ」
「少し休憩しよう」
指を抜いて、ヘルクラスが落ち着くまで優しい抱き締めておく。
「まおーさま……」
「?」
ヘルクラスの腕が首に回り、引き寄せられて唇が押し当てられる。
触れるだけのキスを終えた頃には熱に浮かされてトロリとした瞳になっていたものの、意識がハッキリとしてきたようだ。
呼吸も整っている。
「もう大丈夫です……魔王様にも気持ちよくなってもらいたいので」
「…………ヘル、執拗に焦らすが意地悪ではないからな」
「はい」
もう一度指を挿れて、ゆっくりと中を解していく。ヘルクラスの反応を見て、媚薬は少量に留めた。
『ジュプ……グチュ……ヌチ』
「ふぅっあ……んんッ……」
早く中に欲しいが故に、物欲しげに内壁を畝らせ指を締め付ける。
元々自慰行為でそこを使っていただけあり、充分柔らかい。
『ヌプ……グッ』
「んぁ!」
「少しづつだ」
セリアスのモノが解れた孔に先端をあてがわれる。
「魔王様、ぁ、あっ……あつぃ」
『グププ……』
圧迫感はあるが痛みは無い。ゆっくりゆっくり押し広げられる感覚に身を震わせながら深く繋がり合う。
「はっ……まぉ、さまッ!」
「ぁ……ヘル」
根元まで、完全に埋まったところで互いに息を切らして見つめ合う。
「魔王様と繋がって……」
「……こんな些細な事で泣くな。これから先、持たないぞ」
「はぃ」
大粒の涙を零すヘルクラスの目元に口付けながら優しく諭すセリアス。
内壁が収縮して中を押し広げる圧迫感の存在を確かめるような動きに変わっていく。もっと動いてくれと言うかのように不規則にキュンキュン締め付けられて、セリアスが眉を顰める。
「(ゆっくり……優しく……慎重に)」
『ズ、ル』
「ぁあ」
抜ける寸前まで腰を引き、中に戻る。傷付ける心配が無い程柔らかくなっているので抽挿はスムーズだ。
『ジュプ……ヌチ』
「ぁ、あっ……あっく」
出入りする度にビクビクと身体が震えてしまう。自分の喘ぎ声がうるさくて恥ずかしくて口を閉ざそうとするが、ヘルクラスの弱い部分を探すように抉り、押し潰すセリアスの逞しい男根に翻弄されて声を漏らしてしまう。
「んっ、んん゛ッ、まお、さま……」
「はっ……はぁ……」
余裕が無いのか、セリアスも呼吸が早くなって汗が頰を伝ってヘルクラスの胸に落ちる。
緩やかな快楽の熱に浮かされながら、ヘルクラスは腰に絡ませた足をそのまま引き寄せて背中に腕を回して結合を深める。
「んぁ!? ヘル?」
「まぉ……さまッ……おれでっ、もっと気持ちよく、なってくださぃ」
「ッ……頼む、煽らないでくれ」
「もぉ、だいじょぅぶなので……はぁ、んっ! おれの……ことぐちゃぐちゃに、して、くらさい……っ」
「ーーーーッッ」
『………………ズパン!』
奥まで叩き付ける。セリアスの動きから遠慮が消え去り、腰が砕けそうな程の快楽に浸り脳が蕩けていく。
『ジュプ! ジュッパン』
「んあ゛ッアっあっぐ……ぁあああぁあ゛あ゛あ゛!?」
理性が半壊し、セリアスが顔を歪める。早くなる律動に快楽から濁った喘ぎ声を零してながら、ヘルクラスが必死にしがみつく。
下品な水音に肌がぶつかり合う音が重なって部屋に響き出す。
「あっあっ、あぁ゛!! 魔王様……い、くっ……もうッ、あぁあ!!」
「私も、う!」
「イッ、イクっイっぁぁあ゛」
全身を駆け巡る射精感に仰け反り絶頂を迎える。その締め付けにセリアスも奥歯を食いしばって吐精した。
「ンッ……あ、ぁ……まぉさま……うれしぃ、です……俺の、中に」
『グチュ』
「ひぐ!」
「……休憩を挟むか」
「ぃ、いえ、このまま……もっと魔王様を感じさせてください」
繋がったまま、抜かずに抱き締め合って軽くキスをする。
熱に浮かされる。だが、その激しさが逆に冷静さを取り戻す良い抑制剤になる。ヘルクラスの精神と身体を労りながらゆるゆると交わった。
「(これほど乱れても美しさが損なわれないのは贔屓目か、それとも美貌の成せるものなのか……)」
汗だくのヘルクラスも美しくて見惚れていると、不意に頰を舐められた。
「!」
「ふふ、魔王様……すごい、汗ですね」
「お前の方こそ」
貼りついた髪を払うように頬へ手を滑らせ、ヘルクラスの唇を塞ぐ。
「……魔王様」
「ん?」
「俺…………幸せです」
「ああ、私もだ」
セリアスは日付けを跨ぐ前にヘルクラスを抱えて水浴びを済まし、床につくことが出来た。
夜通しでは、ヘルクラスの精神が持たないからだ。
「魔王様と同じ寝床……」
「お前の暮らす小屋でも構わないぞ?」
「……出産があるのでしょう? 家では出来ませんから」
子どもに出産の光景を見られたら生きていけないと青い顔をするヘルクラスの背を摩ってやりながら、居た堪れないよなと同調して頷くセリアス。
「魔王様を独り占め……贅沢過ぎてバチが当たりそうです」
「今まで苦労してきたのだから、この程度でバチなど当たらないさ」
「魔王様はご自分の価値を低く見積もり過ぎておられるように思います」
「お前が卑屈すぎるんだ」
額を擦り合わせて笑い合うと、不意に欠伸がでた。
「もう寝よう。明日は早いぞ」
「……はい。おやすみなさいませ、魔王様……また、明日……」
「ああ、おやすみヘル。また明日な」
軽く口付けを交わし合ってから眠りについた二人。
仲睦まじく、寄り添う二人の間に生まれる命は一際特別な遺伝子を持っていた。
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